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第十七話 エンリデンヌの火種

これまでに最長になりました・・・夜の四時までやってたのにはびっくりしましたよ!ですが結構いい感じになったような気はします。お楽しみくださいー

 第十三大隊と出会ってから二日後、ライ達はエンリデンヌえと出発した。


 それから一月の期間をエンリデンヌに到着することとなる。


 ライ達の軍を見てエンリデンヌは騒がしくなりこの都市の使いという人が慌ててこちらに馬を飛ばしてきた。


 馬を飛ばしてきた使いのものはこのような軍勢を連れてきて一体どういう用件なのか、この町に何をするつもりなのかを確認してきた。


 それに対してライは国王から命令されてきた。しばらく駐留すると伝えるとすぐに戻っていき半刻後戻ってくる。


 「主が一度お会いしたいと申しております。代表者の方はこちらに来ていただけないでしょうか」


 そういわれたライは、リエルとティアを護衛として連れエンリデンヌの中へと入っていく。ラッシュには自分達がいない間部隊のことを任せた。


 ライ達はエンリデンヌの町を歩いていると、道行く人たちがずっとこちらの様子を伺っている。最初は王国の兵士が来たということから見られていると思っていた。しかし、なんだか雰囲気がおかしい。


 視線に興味と疑問の他に何かが混ざっているような気がするのだ。そう、なんというか



 「軍師殿こちらにございます」


 視線の正体を探ろうとしていたライだったが使者に言われて思考を目の前に戻す。


 使者に連れてこられた場所はとある屋敷であった。周りを見てもこれ以上の建物はないことからおそらく領主の屋敷なのだろう。


 確かここに住んでいる人物の名は出立する前に聞いていた。


 名前はドール・ヴァン伯爵。 


 伯爵にしては物静かで慎重に者を動かすことを主とし民からの信頼も厚いらしい。何か黒い話はないのかと聞くとラッシュは慌てて口を閉ざしたぐらいだった。


 「ライ、この国でそんなことをあまり言っちゃなんねぇ。ドール伯の話は有名なんだ。もし他の兵士にきかれでもしたらいらない火種が立つぞ?」


 そんなことを出発前にいっていたのだ。人物としては完璧な模範となるような人物みたいだ。


 だが、ならなぜそんな人が納める領地から不穏な動きがあるなどという噂がたつ?


 疑問に思いつつも案内されるままに応接間を通されここで待機するように言われる。


 「では少々お待ちください」


 そういって使者の人は出て行った。


 出て行った使者を見てライは中央にあるソファーに座る。右にはティアが座りリエルも座る。


 しばらく待っていると、メイドさんがやってきて


 「もう少し時間が掛かるとのことでしたので紅茶とお菓子を用意させていただきました。こちらをお召し上がりになりお待ちください」


 そういって、メイドは引いていった。


 持ってこられたお菓子は焼き菓子で砂糖がまぶしてありとても甘そうだった。まだ作りたてのお菓子なのかおいしそうだ。


 長い行軍の中で紅茶やお菓子などはとても貴重なもの。お菓子には砂糖が使われてもおり行軍中に贅沢もできるはずもなく、久方食べていない。


 喉も渇いていたことから紅茶に手を伸ばそうとしたときふと気がつく。


 リエルのほうを見るとお菓子と紅茶に手をつけようとはしないのだ。行軍中にもじつは少しずつ持参したお菓子をポリポリ大事そうに食べていたのは知っていた。さすがに紅茶は持ってきていないみたいだったが、それでも王都では紅茶とお菓子を一緒に食べているのは数回目にしている。


 なのにリエルは食べようとしない。ティアもそんなリエルを見て食べるのをやめていた。


 そのような時間がしばらくつづき待っていると扉を開けて入ってくる人物がいた。


 「申し訳ない。こちらの政務が届こうってしまって。私がこのエンリデンヌを納めているドール・ヴァンと申す」

 

 ドール伯爵は頭を下げながら謝罪してきた。


 ライとしてはもっと威厳を持ち強い口調で喋る人物と予想していたがどうやら腰が低く若い。年齢で言えば三十を一定内容に見える。そう思いつつライも頭を下げる。


 「こちらこそ突然の訪問申し訳ない。自分の名前はライ・ジュリアール。先日国王陛下から伯爵の地位と軍師の地位を拝命した者。ちなみに右にいるのが副官のティアリス・フロレンス、左にいるのがリエル・シュリエルです」


 紹介された二人にもドール伯は一度挨拶をすると椅子に座りライに語りかける。


 「それでこの町には不穏な動きが確認されたので原因を取り除きにきた。最悪実力行使で不安分子を排除するであっていますか?」


 「はい、そのようになります」


 「なるほど・・・」


 「状況確認のためにいくつかこちらの質問に答えていただきたい」


 「分かりましたなんなりと」


 「ではまず不穏な動きといわれる最初の発端となったのが軍馬を大量に買い集め荷物を運ぶ馬車も大量に集めているとか。その理由をお聞きしたい」


 「まず軍馬を大量に買い集めているのは周りにいる貴族の方々が受注しているからです。それを私が買い集めていたに過ぎません。あと、馬車についても同じです」


 「なんだって?」


 「どこかおかしなところがおありか?」


 「少し待ってほしい、こちらが聞いた話では軍馬を大量に買い入れたのは開墾をするために馬を利用するから大量に買い込み、馬車も農作物を輸送するためにと聞いていたんだが」


 それを聞いてドールは首をかしげる。


 「それはおかしな話です。私は軍馬を買い入れいるように言われました。確かに私も最初はなぜそのように馬を大量に買い付けるのか分からずある貴族に聞いたのですが、その貴族は王命を受けた秘事ということで聞くこことはできませんでした」


 「聞いた人物は一人なんですか?」


 「いえ数人に聞くと同じような言葉が返ってきましたね。・・・今思えばおかしいかもしれません」


 ライは話を聴きながら考え始める。まずいくつかの疑問が浮上しているのだ。


 疑問を解消するために質問を続けていく。


 「少しはなしは変わりますがこの町には今どのような噂が流れているのですか?」


 「噂・・・ですか、特に耳に入ってきておりませんが」


 「そうですか、なら先ほどきたメイドさんを呼んでもらっていいですか?」


 「先ほど来たメイド?」


 「はい、じつはここに用意してくれた紅茶とお菓子はそのメイドさんが用意してくれたものでその人に噂を聞けば知っていないかなと思ったのです」


 「なるほど、私も最近は執務室で篭っていたのでメイド達のほうが詳しいでしょう。誰かいないか!」


 ドールは大声で言うと扉の外で待機していたらしい紅茶を用意してくれたメイドさんがやってきた。


 「おお、お前だったか紅茶とお菓子を用意してくれたのは」


 「はい、ご主人様がお忙しそうだったので」


 「ありがとな、それでジュリエこちらにいるライ殿が今流れている噂はないかと質問されていてな、私は知らないがお主はしらぬか?」


 そういうと、ジュリエと呼ばれたメイドは考え込むしぐさを見せて何か心当たりがあったのが話し始めた。


 「そういえば・・・」


 「なにかあったのか?」


 「はい、以前といっても数日前からなのですが一つの噂が流れ始めていたんです」


 「内容は?」


 「フェレス王国 王都リミルに不穏な動きがあり。しばらくしてこの町に軍勢を率いてくるだろうと」


 「なんと!?そのような噂が流れていたのか!?」


 本当に知らなかったらしいドールは心底驚いていた。


 「はい、最初はただの噂だと思っていたのですが本当に来られたので・・・」


 ここでライはなるほどと納得する。だから住民はあのような目でこちらを見ていたのだ。それで納得いく。


 なら次の質問・・・ではなく『確認』をしなくてはならない。


 「ではドール伯次の質問です。貴方は私たちが来ることを知らなかったのですよね?」


 「知りません、ですからこうやって理由をお聞きするためにお呼びしたのですが」


 「本当に知らなかったのですね?」


 「先ほどからどうしたというのですか?何度も申し上げてるではありませんか」


 何回も確認を取ってくるライに苛立ちを持ち始めたドールを見てライは関係ないと判断する。


 よし、だったら問題は


 ライはニコリと笑顔を浮かべ謝罪する。


 「何度もしつこく確認を取ってしまい申し訳ない。どうしても確認したかったことだったので」


 ライがすんなりと謝罪したことで溜飲をさげたのだろう。


 「いえ、こちらも少し強く言い過ぎました。申し訳ない」


 あちらも謝罪をしてくる。その態度を見て市民に人気があることに納得がいく。このような自分より年下の相手にこうまで礼を尽くしてくれるのだから。


 なら早速ことを起そう。


 「ところでメイドのジュリエさんでしたっけ?少しお願いを聞いてもらえませんか?」


 「はい?えっといかがなされたのでしょうか」


 いきなり話しかけられたジュリエは驚き戸惑っていた。しかも一瞬おびえが見えた。


 「いや、このお菓子とてもおいしそうだから一体どこで作られたのかなと思って。一体どこで作ったんですか?」


 「この屋敷の厨房で作ったのですが・・・」


 「厨房でですか」


 「それがどうしたのです?」


 少しだけ言葉をとめたライは手に持った菓子をジュリエに渡す。


 「ならジュリエさん。これ食べてみてもらっていいですか?」


 といってライは砂糖がふんだんに使われまだほんのり暖かい菓子をジュリエに渡そうとする。


 「い、いえ。それは使者様たちに召し上がっていただくためにお作りしたものなので私が食べるわけには」


 「いいよ、自分で『さっき』作ったんだから味見ぐらいしてみてよ」


 「えっと、その。」

 

 言葉を明瞭に返さない反応をライは見てティアに指示を出す。


 「ティアお願い」


 「了解」


 そういってティアは立ち上がるとすぐさまジュリエに襲い掛かる。


 襲いかかれたジュリエは驚き半歩下がろうとしたが、いつの間に動いていたのかリエルがジュリエの後ろにおり簡単につかまってしまった。


 その一部始終を見ていたドールは慌てて声を荒げる。


 「ラ、ライ殿!?なぜジュリエに乱暴をするのです!返答によっては許しませんよ!」


 あまり状況を分かっていないドールは怒鳴るが冷静にライは説明する。


 「このジュリエというメイドが刺客だからですよ」


 「な、なんだって!でも何を根拠に」


 「それはこれですよ」


 そういってさらに盛られたお菓子を前に出す。


 「菓子がなんだというのですか」


 「ドール伯はおかしいと思いませんか?先ほど聞いていた会話では貴方は菓子を出す指示をしていなかったですね?」


 「あ、ああ。それがどうした?気を使ってくれただけだろう」


 「ええ、それだけなら問題ないんですよ。菓子を作ってわざわざもてなしてくれるのですから。」


 「ならどうして」


 「けど、伯爵お聞きしますがジュリエさんは、どうして『作る』ことができたんですか?」


 「は?」


 まだ分からないようでその様子をみてライは一度ため息をついて説明をはじめた。


 「いいか?俺達が来たのはさっきだ。使者をだして一度戻って貴方に情報が来たはず。・・・ならなぜジュリエは来たとたんに菓子を作り始めたんだ?菓子を触るとほんのり温かく作りたてた。ドール伯はいきなり噂の軍が現れて悠長に菓子を作るか?」


 ドール伯は反論ができずに無言だがライは言葉を続ける。


 「それに、この菓子は主人であるドール伯が遅れるから出された菓子だ。なぜドール伯が遅れるということを予知して菓子を作る?おかしいだろ」


 「で、でも今日たまたまつくって」


 「その可能性も考えた。でもならなんでジュリエは菓子を食べない。食べればいいだろう。まあ、食べれないんだろうがな。菓子の中に薬が入っていることを知っている本人なら」


 そこまで話しジュリエのほうを見るとジュリエはガタガタと小刻みに震えていた。今もう何も言っても無駄だとわかりこの後自分のみに起こるであろう事を想像して恐怖を感じているのだ。


 ライの推測とジュリエの反応を見てドール伯はライの言っていることが正しいことを知る。


 徐々にドール伯は顔を真っ赤にし


 「この!ジュリエ!?お主はなんと言うことをしてくれた!こうしたからには覚悟はできているであろうな!」


 「お許しくださいドール様!どうか、どうかお慈悲を!」


 「ならん!危うく取り返しのつかないことをするところだったのだ!誰かいるか!」

 

 「ドール伯。少し待ってもらってもいいか?」


 ライが話しかけてきてドール伯はいきなり土下座する。


 「この度は申し訳ありませんでした!とんだご迷惑を!この罪人には死よりもキツイ拷問をかけたうえ死罪にしますのでどうかそれおでお許しください!」


 「ドール様!?どうかお慈悲を!」


 二人の声が埋め尽くす中、ライはため息をつく。


 「あの話聞いてた?少しまってって」


 「そうですが」


 「結論から言うと彼女は脅されてる。最初から暗殺者として動いてるわけじゃないよ」


 「へ?」


 「おそらく何日か前噂が広がるぐらいに噂を広めたのもジュリエ君だろ?」


 ジュリエは反論はしなかった。


 「おそらく誰かに言われたんだろうな」


 「脅されたとは・・・」


 「彼女がもし暗殺者だったらこんな作ったばかりのお菓子を出してくるはずがない。長く保存がきくお菓子を出すはず。それならば気がつきにくいし。それでどうなの?」


 ライが聞いても無言のジュリエだ。


 「どうなんだ!ジュリエ!」


 「ひぃ!?」


 「ドール伯落ち着いてくれ。そんなんじゃ喋れない」


 「む、すまない」


 二人の視線を受けて畏縮してしまっているジュリエ。


 その様子を見かねたティアがジュリエに話しかける。


 「ねえジュリエさん正直に話したほうが言いと思うよ?もし自分の意志でやったことなら私も許さないけど・・・脅されて人質どかとられてるなら私達が何とかするから。ね?」


 ティアが言うとジュリエの反応は劇的だった。


 「ほ、本当ですか?本当に助けてくれるのですか!」


 「うん、私達の軍師は困っている人を放って置けない人なんだ。ね、軍師殿?」


 「あーまあうん。そうなるのかもな。殺意があって自分の意志で向かってくる奴には容赦しないけど、脅迫されているなら別だ」


 そういうとようやくジュリエは話し始めた。


 ジュリエが話した内容は今年で十一歳になる妹を人質にとられて脅迫されていたらしい。娘の解放条件はこの町に来る指揮官を亡き者にすること。


 長年屋敷で仕えていたジュリエが狙われたのは指揮官がきたら必ず屋敷に来ることが分かっていたからだろう。


 成功した後は町のとある裏道で待ち合わせすることになっていたらしい。人質もそこで解放するつもりだったようだ。


 「けどそれ間違いなく二人とも殺されるな」


 「なっ」


 ジュリエは驚愕する。唯一解放するために動いていたのに無駄だといわれたのだ。


 「そんなことを頼んだと知っている人物を生かしている意味がない。間違いなく殺される」


 「い、一体どうしたら!?」


 「リエル、ティアお願いできる?俺はもう一つドール伯爵に話があるから」


 「まっかせてー!」


 「(コク)」


 「ジュリエさんは一人で待ち合わせ場所に行くんだ。正確には一人にみせかけてだけどね。周りにはティアとリエルが待機していつでも飛び出せるようにしてもらう。ジュリエさん自身も危険になるけど」


 「妹が助かるならどんな危険でもかまいません!」


 その返事を聞いたライは頷きティアとリエルに指示すると実行するのだった。


 この件は先に言っておくと無事に解決することになる。屋敷から飛び出したジュリエを屋敷周りで見張っていた手下が尾行し路地裏まで来ることを、上司に報告。


 作戦が成功と判断しあとは待ち合わせ場所にくるジュリエと妹を予定通り殺せば終わりと考えていた。


 路地裏に現れたジュリエをみて実行に移そうとしたが、近くにいたリエルとティアが周りの男達を鎮圧。無事救出することに成功するのだった。


 話は戻りティアとリエル、ジュリエが出て行った後ドール伯にライは真剣に話す。


 「これから言うことを実行してほしい」


 「この度のことはこちらの落ち度、私にできることがあったらなんでもしましょう」


 「それは助かる。ならまず外にいる兵士町の中に入れていいだろうか?」


 「もちろんかまいません。むしろ本来ならそうすべきなのですから」


 「あとこの城にどのくらいの兵士がいるのか教えてほしい」


 「今は千ほど兵がおります。いつもならもっと多いのですが軍馬の引渡しや貴族からの要請がありまして貸し出しなどをしていまして」


 「そうですか、なら全兵士と後警備部隊がいるならその兵も招集してくれ。休みを取っている兵士にも。商人には食料提供を要請してほしい」


 「あの、それはできることはできますが一体なぜそのようなことを?」


 ライはある一種の予感がしていた。それに備えるための備えのつもり。しかし、なぜかライにはこれが現実なるように思えるのだった。


 「数日以内にこの町が攻め込まれる可能性がある」





 北の町に暗雲が立ち込め始めるのだった。

  

 

次の予告といいますか投稿ですががんばって明日に出すつもりではありますし今日の夜間に合えば出しますが。下手したら一日あくかもしれません。その時はご了承ください。

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