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第百三話 サチとの面会

お楽しみください

 ルティで密会を終えたエミル達はライ達が氷壁の砦と交流戦をしてから約十日後に北の国境砦付近にいるライ達に合流した。


 無事に帰ってきたことをライは喜びエミル達を労う。しかし、見たことのない人物、アスティール王国の使者サチのことを説明するため、ライ達は一先ず天幕に集まり話を聴くのであった。


 天幕にいるのは、氷壁の砦からはダンデとヴェトリア、国盾の砦からは交流試合に出たメンバーとフィル、そしてルティで交渉をしたエミル、ユレイヌ、キャサリンとなる。


 全員現在は椅子に座り、中央にサチが座り現在事情を聴いているのであった。


 サチがアスティールからの要請を聞き、エミルが了承したことを補足しつつ喋っていくのであった。


 そして一通り説明が終わった後、ライはため息をついていた。


 「はぁ、まあ必要なことなんだろうけどエミル、俺に了承も無しに交渉をし終えるってどういうこと?」


 「む、お主は私の騎士なのだぞ?なれば主人である私が決定権を持つ。別におかしい所はないではないか」


 「でもさ、親しきものにも礼儀ありっていうし」


 「ならライは要請を突っぱねて、アスティールからの援助を断り一人でジュアン帝国から守るとでもいうのか?ん?」


 「そうは言わないけどさ」


 ライとしては遠風の書があるのだからもうちょっと連絡をしてくれても良いではないかと思っていたのだ。物事を動かすにも情報というものは必要なものである。情報がなければどれだけ有利でも大敗をする原因にもなるのだから。


 「あの、ライ軍師。私達の要請をお聞きしていただけないのでしょうか?」


 二人のやり取りを見て、事後承諾になっていることを悟りサチはライに聞いていた。


 「え、あー。いえ、もちろん要請には応えたいと思います。というより、是非ともお願いします。ただもう一度確認しますが要請の内容は私が貴方の国の王女であられるイビア王女様に会うというものと、その後何かを手伝うということ。それでいいんですね?」


 「はい、わが主イビル様もそのように仰られていました。……そこら辺はそちらにいますヴェトリアから聞いていたのでは?」


 「え、サチさんはヴェトリアを知ってるの?」


 「知ってます。以前一緒に訓練や仕事をしたこともありますから。ただ一年前にイビル様から指示を頂いたらしくフェレス王国に向かったとは聞いていたのですが」


 「ライ様、サチの言ってることは本当ですよー。と、一年前からのことはこの前話したから大丈夫ですよね?」


 「もちろん覚えてるよヴェトリア。ヴェトリアからも会うように言われたんだしね。……ただ少し疑問が出てくるんだ。こう言ったらまずいかもしれないけど、この国には占いというものはあるけど指針にすることはあまりないってことはヴェトリアにも話した。それでもイビア王女の占いは高い確率で当たるとも。でもそうすると何でヴェトリアとサチさん二人を送ったわけ?一人だけでも良いような気がするけど」


 「ライ軍師、どうやらヴェトリアから少しはアスティールのことを聞かれているようですが、先ほども貴方様が言われていたではないですか。高い確率で当たると。ということは言い換えれば低い確率で外れるということです。なら少しでも確立を上げるために行動するのは当然ではないですか?」


 「まあ、確かに」


 軍師というものはいくつもの変化や状況に応じて対策を立てなければならない。それと同じでイビア王女も同じように対策をしていたのだろう。


 「納得されたなら幸いです。では、私はこれからライ軍師の指揮下に入りますのでご命令をお願いします」


 「指揮下に入るって、イビア王女も思い切ったことをするよね。それもこれから何かが起こるっていう暗示?」


 「私からはなんとも言えませんが……イビア様がライ軍師の助力をするようにとは仰せつかっていましたので」


 占いをすべて信じるわけにはいかないが、ヴェトリアのことに関しては占いは当たっている。イビア王女はその辺は言わなかったようだけど、おそらくこの命令にも意味があるのだろう。


 「報告します!」


 会議が行われている中突如慌てた声で天幕の中に入ってきた兵士がいた。それをキャサリンが応対する。


 「どうしたの?敵でも攻めてきたのかしら?」


 「そ、その通りでございます!ジュアン帝国領土トルボ都市より約四万の軍勢が南進を開始!オデガ山脈に十日後到着すると思われます!」


 「キャサリン先生、ジギル国王との約束した一ヶ月ってあとどのくらいだっけ」


 「後十二日ね。ライ君が雪崩を起したから普通にしていれば約束の期日は守れるだろうけど……」


 キャサリンの声が最後に小さくなったことに疑問を持ったのだろう、レーシアが質問する。


 「けどってどうしてそんなに深刻な顔をしているなの?一ヶ月守るのが約束だから守ればいいなの!」


 「そうねぇ、レーシアちゃん。でもね、一ヶ月守っても正確に応援を寄越してくれると思うかしら?」


 「え、でも約束を破ったら契約破棄だから王国の信用がなくなるなの」


 「レーシアさん、キャサリン先生が言っていることは王国が、国王は約束を守ろうとはするだろうけど周りにいる貴族や部下が本当に来てくれるか分からないといっているんですよ」


 フィルがレーシアに説明するがまだ分かっていない様子。


 「私たちが今回一ヶ月ジュアン帝国を足止めするとお兄ちゃんが約束してくれました。けど、国盾の砦という第三独立機関を設立したのは周りから見れば暴挙。心良く思わぬ貴族もいるはずです。ですから、そんな貴族たちは準備が整っていないなどの理由をつけて到着を遅らせこちらが壊滅した後か、しそうになったときに来るつもりかもしれないんですよ。そうすれば、仮に一ヶ月約束を守れたとしても兵力が削れ、壊滅状態にできれば後ろから攻撃される可能性もある」


 「でもそれだと味方を攻撃したと兵士たちが証言しちゃうんじゃない?そうすればその貴族こそ反逆の罪に課せられるとおもうけど」


 「確かにそうですねティアさん。でもそういう疑いは掛かるでしょうが、数人が暴走したといえば事足りること。エミル王女がいたとしても、壊滅した部隊にいさせるのは危ないなどの理由をつけて王都に連れ戻し国盾の砦という組織を壊滅させることもできる」


 「そうなのよねぇ、そして一番問題なのはおそらく約束の期間の間にジュアン帝国と戦うことになるだろうということね」


 「ですねキャサリン先生。期間が過ぎたからといって撤退など敵がさせてもらえないでしょうし、おそらく相手は今回全力を尽くして攻めてきている。ということは雪崩もすぐに撤去されることでしょう。どうしましょうお兄ちゃん」


 フィルがそういってライのほうを見ると天幕内にいる全員が一箇所に視線を集める。


 ライはフィルに問いかけられて目を閉じながら考える。


 「……エスティア、北の気配は南進してきてる?」


 「ええ、ゆっくりだけど動いてるわね」


 「やっぱそうだよな」


 エスティアが言うならば敵にも宝玉持ちが確実にいる。雪崩で道で塞いでいても魔法を使用すれば撤去には時間掛からないだろう。


 「そうだ、サチさん。貴方のほうぎょ……魔法の属性はなんなのですか?」


 危うく宝玉というところをとっさに止めた。ここにはヴェトリアとダンデがいる。信用していないというわけではないけど、出会ってからまだ短いので念のために言い方を変えた。


 意図を察したサチは目を見開き驚くも応えてくれた。


 「私の魔法のことは他言無用でお願いします。……私の魔法は光系統になります」


 「光か、効果範囲と適応性は?」


 「高いと思います。軍師殿がどこに基準を持っているか分かりかねますが、従来の魔法よりはすべてが上でしょう」


 宝玉持ちならばそうであろうが、さて、光魔法とはどういうものか気になるところでありもしあのことができるならば四万の兵士を再び数日迷わすことができるな。


 「ならサチさん。少し魔法のことで聞きたいから後で個人的に話を聞いて良いかな」


 「もちろんですライ軍師。それと、私は貴方の指揮下に入ったのですからさん付けなど不要。サチと呼んでいただければ」


 「分かったサチ。なら会議が終わったら天幕にそのまま残ってくれ。それから他の皆にはサチから聞いた話を聞いた後指針を出すから、そのつもりでいてほしいんだけどエミルいいかな」


 この場で一番立場が上なのはエミルなのでライは同意を得るため聞いてみるとエミルは頷く。


 「ああ、問題はない」


 「よし、では解散ということで」


 解散を告げるとそれぞれが自分の持ち場と帰っていく。エミルも何かを言いたそうにサチとライを一度見たがそばにいたユレイヌに催促されると天幕を出て行ってしまう。これでこの場に残っているのはライとサチ。


 「ライ様ー。私もご一緒しちゃだめですかー?」


 ……と考えていたのになぜかヴェトリアが残っていた。


 「ヴェトリア、どうしてあなたがここに残ってるの。軍師殿は私をご指名だというのに」


 ヴェトリアにサチが言うとあっけらかんとした声でライに聞く。


 「別に良いじゃないー。だって私はライ様と一緒にいたいのだからー」


 そういってライの腕を取ってくるヴェトリアにライはどうしたものかと思っていたが、その杞憂はすぐになくなる。


 「あ、あれ。ちょっと待って、何で引き離すんですかー!」


 すぐに右の腕にあった柔らかい感触はなくなり、代わりに誰かが引きずられていく音がする。出入り口を見ると、リエルがヴェトリアを引きずって連れて行く場面であった。


 リエルの行動にライだけではなくサチまで驚いていたが、気を取り直すようにライはサチ話しかけた。


 「それで、早速なんだけど率直に聞くね。サチが持っている宝玉をできれば見せてほしいんだけど」


 「いいですが、一つお聞きしたい。どうして私が宝玉を持っていることをご存知なので?」


 先ほどサチはライが宝玉といいかけて訂正し魔法といったことで、サチが宝玉を持っているということを知っていたと分かった。しかし、宝玉とは強力なものであっても、他人から教えられない限りあまり分からない。しかもライとは初めて出会ったのだ。宝玉の存在を他の者に聞かれなかったのは良いが、どうして知っているのは気になってしまう。


 「それは私が宝玉の精霊だからと言えば分かりやすいかしらね」


 サチの問いかけに答えたのは姿を現したエスティアであった。


 「軍師殿、その少女は……」


 「彼女はエスティア、俺の持っている白帝の宝玉の精霊らしい」


 「あら、らしいっていうのは失礼じゃない?れっきとした精霊なのに」


 「あ、え、本当なのでしょうか?」


 「もちろん。信憑性を持たせるために言えば、他の宝玉もこちらは持ってるよ。水帝、風帝、土帝 炎帝をね。他の宝玉はジュアン帝国に一つ、フェレス王国に一つ、アスティール、サチが持っているもので一つ。後の一つはまだ分かってないんだけどね」


 そこまで話を聞いてサチは納得がいき頷く。


 「などほど、確かに宝玉について詳しいようですね。そして、本来この宝玉の存在自体は秘匿されているもの。それをまさか個数も正確に知っており系統も知っておられるなら、そこの精霊の少女が知っていることを軍師殿に教えられたのでしょう。分かりました信じます。そして、先ほどの問いに答えましょう。私が持っている宝玉は光帝の宝玉、わが家宝であり信頼できる相棒です」


 「あら、ついに光帝がこちら側に味方することになったのね」


 「ん、エスティア。光帝はいつものとは違うのか?」


 「ええ、真帝の扉を覚えてるでしょうけどあの穴が窪みの位置で中央に白帝、その外に二つ、さらに外に六つ宝玉が嵌ることになる。光帝の宝玉は白帝の次の円にある窪みに属すの。そして一番外側の宝玉と違うのははっきりとした精霊が宿っていること」


 「なんだって!ということはエスティアみたいな子が宝玉の中にいるってこと?」


 「そうよ。でもサチという子はまだ話したことは無いようね。精霊の私の存在を知らなかったのだから」


 サチはそう言われて、右手を胸当たりに持っていく。おそらくそこに宝玉があるのだろう。


 「……まあ、今はそんなことはいいんではないかしら。重要なのは北から来る敵をどうするかでしょ?」


 エスティアはサチがあまりショックを受けないようにと言葉を誘導し現実に引き戻すことにした。そして、それは思惑通りにいきライが賛成する。


 「そうだね、サチ。いつか宝玉の子とも話すことができるようになるよ。俺の時だってエスティアなんか数ヶ月も離してくれなかったんだから」


 「あら、そんな言い方をするのね。なんだか無性に色々とティア達に言いたくなってきたわ」


 「……何を?」


 「さあ?なんでしょうね?」


 フフフとエスティアは笑い、ライは汗を流していた。


 そんな光景を見て、サチは笑みをこぼし先ほどのことに同意する。


 「……そうですね。まずは今のことが重要です。それでライ殿私の魔法を聞いてどうするのですか?」


 「あ、ああ。光帝の使い方しだいによるんだけど、その魔法でこういうことができないかなと思って」


 そういってライは使いたい方法を伝えていき、使用できればどういう作戦で行くかを説明した。


 「なるほど!それならば相手に打撃を与えるだけではなく足止めをできます!」


 「ならできるんだね?」


 「できることはできますが、後は魔法の持続時間がどれだけ続くかが判りません」

 

 「まあ、そこは心配ないと思うよ。方法はあるし。とりあえず今からこの作戦を伝えるから当日は頼んで良いかな」


 「もちろんです!イビア王女様からも私にライ殿の手助けをするように仰せだったのです。どうぞどんどん命令してください!」


 勇むように言う姿にライはなんだか目をキラキラさせて主人に忠実に尽くす忠犬を頭の中に思い描いたのは内緒であった。


 この後ライは全員に作戦を通達、作戦は四日後ジュアン帝国の進行軍がオデガ山脈に到着し雪崩に差し掛かる前日に行われることになったのであった。


 ここに北方国境防衛戦第二幕が動き出すのであった。


 

こんばんわ、何とかうつらうつらとしつつも書き終えることができました。

まずはここで一つお礼を申し上げます。

いつの間にかPVが三万人を超えていました。どうも見ていただきありがとうございます。小説をここに載せてから約四ヶ月、まさかこれほど見ていただけるとは思いませんでした。

さて、では次にお話についてです。ついに北のジュアン帝国本隊との戦いが始まります。始まるにあたり、国盾の砦は一万、ジュアン帝国が四万となりどのような策で撃退するのか……考えてしまう自分がおります。もちろん案があるにはあるんですが、決定打にはなりにくいかなとも。それはもうちょっと考えてから策を実行しますので。

あと、引き続き募集ですね。番外編という名のヒロイン視点に当てた話を書こうかなと考えています。誰のを見たいですか?メッセージや感想でも良いので要望がありましたらよろしくお願いします。

ではこれから寝ますのでここら辺で。またお会いしましょう。

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