2.5-1
それは、中学生の頃のある日の放課後のこと。
「高山さん、私と付き合ってください!」そうクラスの女子に告白された。
その頃、僕はまだ物理学を専攻しておらず、剣道部に所属していた。
地区の大会で優勝して「貴公子」と持て囃されていた。
でも、僕はそれが嬉しくなかった。
――それまでは「無能」と言われ続けていたから。
僕はその頃いじめられており、同級生に大会の参加を無理やり取り消されていた。
先生に直談判してなんとか出させてもらい、それで優勝するまでは、先生に「あれ、出席してたんだ。」と言われるほど存在感が薄かった。
大会の前日に伸び切っていた前髪を切り、コンタクトにした。
それで優勝しても、トロフィーは受け取りたくなかった。
「無能が賄賂を送った」と言われるのが怖かったから。
仕方なく受け取り、家に持ち帰ってから、ふと思った。
「…僕って、なんなんだろう?」
それを思い出し、僕ははっきりと言った。
「…ごめんね。僕、誰かと付き合う気はないんだ。」
そう言いながら、僕は頭の中で言いたいことを爆発させた。
(いつも僕のことを無能呼ばわりしてたくせに、優勝した瞬間これかよ。)
そんな日々がしばらく続いていた頃、僕はある行動に出た。
僕にも、好きな人はいる。
小学6年生の時に相手の親の転勤で離れ離れになった幼馴染、"来宮陽毬"だ。
彼女がここに戻ってきたと聞き、その翌日、彼女は転校してきた。
数日後、僕は彼女に告白し、無事に成立した。
彼女がクラスの女子に恨まれていても、僕は気にしなかった。
だって、あいつらには心を開く気がなかったから。
そうしてしばらくした日、ある同級生に話しかけられた。
彼はどうやら陽毬に好意を抱いていたらしく、いわゆる「恋敵」というやつだった。
僕に好きな人を奪われたという彼はその後、僕に対していじめをしてきた。
それには、命に関わるようなものも。
酷いものだと、線路に落とされたり、校舎の屋上から突き落とされそうになったり、といった感じだ。
生命には関わらなかったが酷かったものもある。
例えば、近くにあった宝石店の金剛石の指輪を盗んだことにされたように。




