防刃チョッキ
実祈「その男、本当にその来客に付き纏ってたと思います?」
叶真「来客の勝手な妄想だった、と?」
実祈「いえ、実際付き纏っていました。」
実祈「でも一人だけじゃありません。」
実祈「何人にも付き纏ってます。なんならそれより酷い事だってしてます。」
叶真「…。」
実祈「あんたはその男を殺さず生かした。」
叶真「…だがお前があの男を殺す理由はないだろう。」
実祈「ああ無い、だがどうしても許せなかった。」
実祈「見ず知らずのやつだ。別に自分が被害に遭ったわけでも知人が被害を受けたわけでもない、だがただ、許せなかった。」
叶真「…そいつがか?俺がか?」
実祈「そいつがだ。」
実祈「あんたがその男を殺してみせた時、遠くから一部始終見てたんだよ。」
叶真「は。」
実祈「やばいなって思ってすぐ警察を呼ぼうと思ったがお前がすぐ動き出したからやめた。そして家に帰ってからそいつのSNSとか沢山調べた。そしたら過去のひでぇ記録がびっしり書いてあったんだよ。」
実祈「それとか見たら殺されるのも無理はないなと思った。」
実祈「だが、その翌日、その男と思われるやつを見たんだよ。」
叶真「…。」
実祈「最初は目を疑ったよ。でも本当にそいつだった。」
実祈「というか。普通殺し屋なんて殺す奴についてよく調べるはずだろ。見逃すわけがない。」
叶真「来客の態度にうんざりしてそれどころじゃなかったんだよ。話はトントン拍子に進んでいくし。あいつは人の死に対してどうも思ってないような様子だった。どうにかしないとと思ってたんだよ。」
実祈「ほんとにあんた殺し屋かよ。まぁいい、話を戻すが。」
実祈「そいつだってわかった時怒りがふつふつ湧いてきて、何かしてやらないと気が済まないなと思って、泥棒に入った。」
叶真「そこでそいつが帰ってきたから殺したと?」
実祈「ああ、いっその事殺した方が世のためだと思ったからな。」
同業者である以上、さほど驚きはしなかったが常人でそこまでできるのなら大したものだなとは思った
実祈「それからは、色んな奴を調べて、殺した方がいい奴、勿論ヤクザや殺し屋なんかも殺してった。それと同時に泥棒に入り、盗んだものは換金したりして被害者とかに秘密裏に渡したりしてったよ。」
叶真「…僕も殺すか?」
実祈「自分が殺されるようなことをしたやつだと思うのか?」
叶真「僕は色んな人を殺めてきた。殺されるのは当然だ。それにその覚悟もできている。」
実祈「あんたは殺さない。元々殺してくれと頼んだのは自分の方だ。」
叶真「…ならあんたの望み通り溺死するのか。」
実祈「あぁ、勿論あんたの手でな。」
叶真「…何回も強盗殺人を繰り返したから、その罪を死んで償うって訳か。」
実祈「そんなとこだ。」
叶真「お前と話せてよかった。なんだか懐かしい感覚があった。」
実祈「綺麗だな。夜の海って結構怖かったりするが、今は綺麗に見える。」
叶真「あぁ。じゃあな、実祈。」
実祈「うん。叶真。」
ドンっ
真っ逆さまに落ちていく実祈を崖から見下ろす、辺りは暗くてよく見えにくいが、口元が動いているのが見えた
わ た し の お と う と ま た ね




