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浜守物語ー破魔の系譜ー清磨編  作者: 末席にゃんこ


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第十四話 痕跡

浜守の里に戻った由一は、入れ違えで戻って来ていた彦一、彦二に会いに行った。

二人は手傷を負ってはいたが、自力で馬を使って帰っていた。

由一が、高鉄、清磨の無事を告げると、二人の身を案じていた彦一兄弟の顔に安堵の色が浮かんだ。

そして、自分たちの事を話し始めた。

あの後、加勢が来て、賊二人を彦二が斬ると、賊達は間合いを大きく外した。

最初に見た小舟の前の二人の人影も、彦一達が対峙していた賊達に加わった。

半異形の賊と交戦していた神代の退魔師のところにも、一人、神代の仲間が加わった。

彦一は勝路(しょうろ)を探した。

対峙していた賊に加わった新参者二人が、どんな手を使ってくるのか。

ここまでこの者達と対峙して分かったのが、ただの物取りの賊ではなく、戦闘に長けた集団であるという事。

それもかなりの手練れが集まっている。

しかも、戦い方が予測がつかず、彦一達がこれまで見た事のない太刀筋や攻め方であるという事。

厄介な者どもだった。

しかも、後から加わった二人は、手の内も判らず、手傷も負っていない。

ここは一旦退くべきだと、彦一は考えていた。

そして、清磨達と合流して、策を立て直すのが賢明ではないかと。

彦一の投鉄は底を突き、両手にそれぞれ短刀を握っていた。

彦二は太刀を中段に構えている。

後から加わった神代の者は、弓を背に負い、腰の刀を抜いた。もう、矢が残り少なかったからだった。

じりじりと間合いの攻防を続けていると、一発の花火が鳴った。

その途端、賊達が彦一達を牽制しながら仲間の遺体を担ぎ、素早く撤退を始めた。

神代の者が間合いを詰めるが、賊二人がその動きをいなしながら、仲間の遺体を担いだ二人を先に行かせた。

彦一と彦二は追撃しなかった。この体力で追ったところで、追いつくとは思えなかったからだった。

別の場所で神代の退魔師と交戦していた半異形も、その賊達の後を追った。

そして、賊達は小舟に乗り込むと沖に出て行った。

彦一達は来た道を戻り、清磨達がいるであろう崖の上の小屋に向かった。

小屋に近づくにつれて、夥しい数の無頼漢が無残な姿で転がっていた。

しかし、清磨達の姿も、屋敷から馬に乗って出て来た小男の姿も見当たらない。

周辺をくまなく調べるも、そこにあるのは輩たちの亡骸ばかりだった。

その後、一旦不審な屋敷に戻り、見張りで残った神代の者と合流し、清磨達が戻るのを待ったが、何の音沙汰もなかったため宿に戻って、さらに一日待った。それでも清磨達が現れなかったため、解散し各々の里へ戻った。

由一はここまでの話を聞いて、今回のこの騒ぎは清磨か高鉄が狙いだったのは間違いないと確信したが、未だに理由がはっきりしなかった。

そして、神代言には、景雅が賊の仲間だった事を記した文を送った。

数日後、神代言が訪ねて来た。

言は景雅の事を文で知った後、すぐに深見家を訪ねた。すると、深見の屋敷は、もぬけの殻になっていたというのだ。

これはいったいどういう事なのか。賊と関わりがあったのか。

深見家は、小さいながらも古くから続いていた家であった。

そこで、ふと思い出した事があった。

深見家の先代は、言と同じく娘はいたが息子がいなかった。

そこで婿養子を迎え家督を継がせた。

その婿と実娘の間に生まれた三男が景雅だった。

先代は、景雅の顔を見る事なく他界した。

妻も先代の後を追うようにして亡くなっていた。

景雅の母は、景雅が十歳の時流行り病で亡くなっている。

先代には四人の娘がいたが、景雅の母以外は、既に嫁いで家を出ていた。

こう考えると古くからの深見家を知る者は、もう誰もいない事になる。

由一と言は、この婿養子の素性を調べる事にした。

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