134.7話:巨人の道、黄金の動脈
「ガハハハ! 壊すのも造るのも、筋肉があれば同じことだ!」
かつて、王都と辺境を隔てていたのは「踏破不能」とまで言われた険しい山嶺と、原生林が生い茂る魔境でした。しかし、その常識はディエスとドワーフたちの手によって、わずか数ヶ月で過去のものとなりました。
ディエスが巨木を根こそぎ引き抜き、岩盤を素手で砕いて「道」の土台を造れば、その後をバルバドス率いるドワーフの工兵団が、最新の魔導掘削機を駆使して固めていく。 さらにハンスの指揮により、魔獣を寄せ付けない「防除の魔導結界」が街道沿いに等間隔で設置されました。
「……信じられん。我々が何代かけても成し遂げられなかった『魔の山越え』が、これほどの手際で……」
左遷されてきた元・王宮の土木官たちは、目の前で完成していく「石畳の平坦な街道」を見て呆然としていました。
こうして、かつては馬車で数週間を要した旅路は、強靭な足腰を持つ運び屋たちが数日で駆け抜ける**「黄金の動脈」**へと変貌しました。
アレクシスが王都内の検問を強化すればするほど、人々は裏ルート、すなわちこの新しく整備された街道を通じて、バルカス領の「活きている品々」を求めるようになりました。
「マルコ。例のブツは入ったか?」 「へっへっへ……。旦那、バルカス産の『大地の恵み(極太野菜)』と『魔獣の燻製』、ばっちり仕入れてありますよ。ドワーフが整備した道のおかげで、鮮度は抜群だ」
街道が整ったことで、バルカス領の圧倒的な生命力は、アレクシスの監視の網をすり抜けるようにして、王都の深部へと着実に流れ込んでいったのです。




