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異世界でも強いだけでリア充出来る訳じゃない  作者: 脱力呼吸法
第2章 赤の迷宮と骸骨達の騒乱
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河原で

書き足し投稿。いちゃこらは苦手です。あまり深く考えたことも無い。経験もない。なのでスレタイを参考に。

 「やはり、大蛇の牙では無理があったか」

セレナ=アルバは二階の個室で、魔術式の刻まれた円陣を感慨深く眺める。

円陣は四つつあった。

「・・・一つ目の何も加えないで土に埋めた場合は何も起こらなかった。二つ目に陣の中で試したが軽く揺れるだけだった。三つ目の、字体を竜牙兵(ドラゴンウォリアー)発祥の地のものに変えた奴は、一応形は出来たが動かない。四つ目の竜の唾液で濡らしたものは五秒ほど動いたが、すぐに崩壊。これもダメ。五つ目は字体を変えて、竜の牙を唾液で濡らしたものは五分ほど稼働したものの動きがゆっくり過ぎる。・・・やはり竜の牙である必要があるのか?」

実験結果が失敗に終わったというのにダークエルフの女の顔には、さらなる期待があった。

「・・・ちなみにドラゴンウォリア―の発生条件は?」

「竜の牙が大地に接触した時だな」

トーレルの質門にセレナが即答する。

「・・・これは建物の床を含む、二階であろうと関係ないと、竜人エル=マルケルは著書に記している。ドラゴンウォリアーはその牙の持ち主だった、竜の角に接触しているものにのみ従う、ともある。・・・そういえば、ギルドから竜の角は片方しか貰えなかった、さては盗んだなあいつら、くそう」

ドガッとセレナの長い脚が近くにあった棚を乱暴に蹴とばした。

「おお、美人が怒ると怖いな」

「ト、トーレル!・・・何を言っているんだ」

「事実だ」

 流石に、それはどうかと思うセレナだったが、しかし何だか面映ゆいというのも事実であり、照れ隠しに巨漢の脛を蹴っておく。

「・・・セレナさん。貴方の靴の爪先には鉄仕込んであるんだから自重しろ」

かなりのダメージがあったらしい。巨漢の声には本気の色があった。

「でも・・・ほら、愛に痛みは付き物だと」

「それは精神的な苦痛。これは肉体的な苦痛」

「魔剣が精神と肉体を分けるのか?」

「・・・なぜ俺が責められる」

とにかくと、セレナは強引にでも話題を変えることにした。

「片付けよう」

「・・・そうするか」

巨漢もセレナの意見に同意した。それにしても愛の力というのはつくづく偉大なものらしいとセレナは思う。苦痛を取り去るぐらいには。



二階がうるさかった。と言いたいところだが、魔術でも使っているのだろうか霧崎のいる一階までは声が届かない。ただ気配からいちゃいちゃしているんだろうな死ね、程度のことは察知できる。魔剣級の感覚というものは意外と厄介なもので、同居人二人の夜の睦言が分かってしまう時もあり、そんな時霧崎は二胡と刀を持って、そっとオリハルコンの城壁に登るのだ。

「・・・河原に行こう」

 そうしよう、と自分の返事に頷いて、二人分の木刀を手に霧崎は事務所を出た。


 一日前、初夏から本格的な夏に変わったとギルドの掲示板にあった。夏の日は長い。しかし、長いという基準は一体どこから来たのだろうか。冬の日が短いというのならば、この二つの間にはゼロとなる基準が存在するのだろうか。

 しばらくの間、河原で涼む霧崎の頭は哲学を始めた。

 おそらく、その尺度は人間の過去にのみあるのだ。暑いには寒い。眠っている、目が覚めている。「私」が「あなた」を見る。そして「生きている」、「死んでいる」。

「・・・・・・」

呼吸を一つ。静かな河原が霧崎と同化する。霧崎は河原になる。

 木刀を抜いて構えた。

 いや、そうでは無い。霧崎が動いただけだ。賤しくも剣士ならば「剣」を構えてはならない。

 無音。霧崎の意思を超えた「それ」が動く。それは対象化することの出来ないものだった。その領域で、霧崎は剣を振るうのだ。

 


 やっぱり大した剣士じゃないのかなぁ。

 少なくとも河原に遅れてきたヤギンの目にはそう映ったらしい。二年前に行われた闘技大会の騎士達の演武。闘い。それらにあった力強さや、速度が感じられない。

 軽い。弱い。あんな打ちこみなら今の自分にだってできると思う。いないよりは、マシだとダメもとで声を掛けたのだけれどもやはり、あんな時間にふらついている剣士は、大したことが無いのだろう。

「ねぇ、ギンちゃん。あれがあの剣士さん?」

うるさいと、後ろを振り返れば案の定、幼馴染のエネチィアがいた。服装は継ぎ当ての多いシャツにズボンと自分と大して変わらない格好だが、れっきとした女である。

「やめようよ。あんなの習っても、闘技大会で勝てないよ」

「・・・うるさい」

服を掴んで引き戻そうとする手を払いのける。女にこの気持がわかるものか。お前達が遊んでいる間に、僕は木剣を振って、腕立て伏せをして、走り込んで・・・。

 見ていろよ。

五年後の闘技大会では優勝して、騎士に成ってここをでる。そしたら、・・・エネチィアと結婚して幸せに暮らしましたで、人生を終わらせてやる。そんな確固たる決意でヤギンは誓ったのだ。それを邪魔するものは容赦しないという事である。

 だから、死ぬ気で修練して強くなる。死ぬ気でやる。重要なことなので二回心の中で繰り返した。

 「死ぬ気でやります、だから剣を教えて下さい‼」

 再度、あの日の少年の決意の声が、午後の河原に響き渡った。


死ぬ気でやりますとか、覚悟決めましたとか。そんなようなことを叫んで河原に来た少年に霧崎は憐憫の視線を向けた。

 いかん、それは習い事において死亡フラグやで。ソースは俺。そういって始めた書道教室三日で止めたもの。とは思うものの、この少年の決意はダメ人間霧崎のものと質が違うのかもしれない。

「それはイいけど、名前ハなんダ?」

「ヤギンです。姓はないです」

初対面の後ろの子はゴブリン訛りの霧崎の発音に身を震わせていた。

「・・・エネチィアです」

声を聴いたところから判断するに後ろの子は女の子らしい。なるほど、ここにもリア充がいたか、・・・駆逐してやる!ではなくて、さすがに子供にそんなこと思ったりしない。むしろ、霧崎にも幼馴染がいた事を思い出した。とはいえど、二次元のような展開など無く、小学校に上がってすぐに、どこかに引っ越してしまった。多分、再開する事は一生無いだろう。

 そういえば、ヤギン少年の後ろについてきた、気の弱そうな幼馴染の女の子はまさか一緒に剣を習うのだろうか。そうすると木刀が足りないのだが。

「とコろで、ヤギンよ。後ろの子も習うノか?」

 え?

身に覚えのない罪を問われたかのように、少年は困惑した顔で振り返った。

「お前も習うの?」

いやいやいや、と少女は首を振って否定する。というよりも拒絶するような動きだった。

「わ、わたしはギンちゃんの練習を見に来ただけだから」

 返答は霧崎の予想通り。まあ、温かい目で見守ってやろうということだ。

 「さテ、それじゃ始めマすか」


予想外の展開。この二人出る予定無かったし。ヤギンの運命はそしてエネチィアの心境はww。

多分、作者の性格が読めている人なら、先の展開を予想できるはずです。

答え合わせはまた何時の日にか。

幼女と少女の違いが分からない。というか、無意識だったけど以前エスチュアという名前出てた。この地方では良くある名前という事でここは一つ。

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