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お茶女子と…私。  作者: たかさば


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杜仲茶

 杜仲茶がブームになったのは…もうずいぶん前のこと。


 健康にいい、ダイエットになる…、メディアの情報にくすぐられて手をのばした。

 ドラッグストアに並ぶ杜仲茶を見て、これはお茶という嗜好品ではなく薬の仲間なのだと感じた。


 漢方をたくさん販売しているメーカーの箱入りの杜仲茶を買い、記載されていた淹れ方を忠実に守り…飲んでみた。


 その感想は、『これは薬だな』だった。


 甘みも、心地よい香りも、深みもないのに…お茶?

 これはホッとするために飲むものじゃ…ない。


 己のだらしない食生活に喝を入れるための、薬。

 これを飲むことで、今自分は間違いを正しているのだと確認するのだ。


 ……買ったからには、きちんと飲み切らねばならない。


 マズいから捨てる、マズいから置きっ放しにする、マズいから誰かに飲ませる…そのような選択肢は自分にはなかった。

 毎日ひとパック、キッチリ淹れ方のマニュアル通りに煮だして、飲んだ。


 …人というのは、慣れる生き物なのだ。


 冷ましたり、氷を入れてみたりするよりも、熱々のお茶をふうふう言って飲む方が飲みやすいと気が付くようになった。

 湯気を吹き飛ばしながら啜っているうちに、これもお茶だよねと思えるようになった。


 確かに、最初は…いい印象が、持てなかった。

 けれど、いつしか…杜仲茶は薬効を謳うお茶の中では美味しい部類になっていた。


 今でも時折、ふと…あの葉っぱくさい杜仲茶が飲みたくなる。


 それは、試行錯誤を繰り返しながらお気に入りを探していた、落ち着きのない時代を懐かしんでのことなのかもしれない。

 月日を重ね、いろんなお茶を飲んだ私は…未知の味に飢えているのだ。


 杜仲茶のパックに熱々のお湯を注げば…薬効の高そうな、威厳ある香りが立ち上る。

 湯気を吹き飛ばして一口すすると…すっかりこの身になじんだ、独特の葉っぱの成分が染み込んでいく。


 ―――わたし、おいしいでしょ!


 気のせいかもしれないが、今の杜仲茶はずいぶんまろやかにブレンドされているような気がする。

 ダメージとなるような要素が、サクッと取り除かれているように感じるのだ。


 ―――ちゃんと節制、してね~!


 ……肥えた身を何とか引き締めようと、日々努力していたあの頃。

 カロリーを計算し、口に入れるものを厳選し、杜仲茶で胃袋を満たしたあの日。


 お茶菓子も、白いご飯も、スナック菓子も…好きなようにつまんで暮らす、今の私が持っていない、あの時代の日常。


 ……杜仲茶は、()()()()わけでは、ない。


 けれど…、私の身体が、喜ぶのだ。


 これは、()()()()のだと…しみじみ、思うのだ。

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