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お茶女子と…私。  作者: たかさば


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3/3

ウーロン茶

 私が初めてウーロン茶と相対したのは、小学校高学年の頃だ。


 当時肥満児だった私は、ウーロン茶がダイエットに聞くという噂を聞き付け、興味津々だった。

 そんななか、近所の市民ホールで中国物産展なるモノが開催され、その会場でクルクルとした黒い茶葉と出会ったのだ。

 これはと思った私は、おこづかいで購入するに至った。


 初めて飲むことになった、ウーロン茶。

 茶葉の袋には…飲み方の説明がついていなかった。


 全くの無知識で購入してしまったので、正しい飲み方が分からない。

 親に聞いても知らないと言われ、家には資料のようなものは存在していなかった。

 翌日学校の図書館や先生に聞いてから飲めばいいのに、せっかちな私は…自己流で飲んでみることを決めた。


 私は、夏になると麦茶を作る担当をしていた。

 ガスの使い方を学んでから、ずっとそれが私の仕事だったのだ。


 緑茶とは違う、黒い茶葉は…なんとなく麦茶の雰囲気を持っていた。

 急須に茶筅で掬った緑色の茶葉をいれ、ポットのお湯を注いで飲む緑茶とは…明らかに様相が異なった。

 良いニオイがする緑茶とは違うので、急須に入れたら大変なことになりそうに感じた。

 とはいえ、麦茶を作る専用の薬缶に投入する事もはばかられた。

 大量に作ったとて一気に飲み干せる量ではないし、冷蔵庫には麦茶を置いておく場所しかない。


 いろいろと考えたのち、私は雪平鍋にお湯を沸かし、茶葉を入れて煮だすことにした。

 煮出さなければいけないものだと、思い込んでしまった。


 …麦茶と同じ煮出し方をしてしまったウーロン茶は、それはそれは渋くて飲みにくいお茶だった。

 濃い茶色をしている麦茶が身近だったので、ガッツリ煮だしたせいで…成分が凝縮されていたのだ。


 ダイエットに効くというお茶なのだから、美味くはないんだな…そんな事を思った。


 そこそこいい値段だったウーロン茶の茶葉は、人たらしだった祖母が誰かのお宅にお邪魔する時の手土産として持っていった。


 以降、私はウーロン茶と縁の薄い生活を送っていたのだが。


 大学生になった時、事態が急変した。

 東洋美術史専攻の友達が、お手製の飲茶をごちそうしてくれたのである。


 手作りの春巻き、エビシュウマイ、桃まん、そして何やら御大層な茶器。

 私は舌鼓を打ちながら、正しい手順で淹れられたウーロン茶を飲ませていただいたのだ。


 スッキリとしていて、ふわりと鼻に抜ける独特の香り。

 緑茶のように緑緑してなくて、深みがあって、落ち着いた風味。


 私は、こんなにもうまいお茶を…知らずに年を重ねてしまったのか!


 以降、私はウーロン茶好きになった。

 ペットボトルのウーロン茶も飲むが、断然茶葉で飲みたい派だ。

 油っこいものを食べたあとは黒ウーロン茶を飲んだりもするが、基本は普通のウーロン茶を好んで飲んでいる。


 ……あの時友達が使ったような、高級な茶器は持っていない。

 けれど、ごく普通の急須を使っても、おいしいウーロン茶は淹れられる。


 ―――フフッ…あたし、おいしいでしょう!


 どこそこ友人に似た、小柄ではあるもののしっかり女性らしい柔らかな線の女子が…己の美味さを誇る。


 屋外でもなく、屋内でもない、どこかの景色を背負った、素朴な女子が。

 他に誰かがいるわけでもないのに、お茶を楽しむ仲間がいるような空気と馴染みながら。


 ……きっと、女子は思い出を引き連れて、私に会いに来てくれているのだろう。

 私が記憶の彼方に置き去りにした思い出を拾って、手土産として持参してくれているのだろう。


 ―――またくるね!


 私は、この先、何度だって。


 女子に会いたいがために、油っこいものを食べるのだと…言い訳をするに違いない。

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