40、兄弟
毎週月曜日投稿作品です。
シリアス回からの今回はほぼギャグ回、、、、。
少し短めの作品です。
王太子サイド
会議はひどいものだった。
皇太子サイラスの顔には青筋がたっており、今にも倒れそうな相貌である。
会議早々、クリストファーとエリージャ伯のサラ嬢との婚約破棄を求めて一部の貴族が騒ぎ立て、定例の議会案は当然そっちのけ。
今までのクリストファーの愚行がここまでの騒ぎを引き起こしたのだから仕方がないと思えど、その当の本人が会議に出てこないとは何事か?!
しかも先に会議に乗り込んできたのは末弟で、場の空気も読まずにいきなり婚約した宣言である。
クリストファーどころの話ではなくなった議会は当然大混乱だ。
王室最後の王子の結婚話だ。
当然反発もあったが、元老院に話が通っていてよかった。
お飾りとはいえ現王と、元老院の承認があり、確かな出の姫とあってほとんどの者が引いた。
が、上位貴族は黙っていなかったな。
だが、相手が悪い。
どんなに揚げ足を取ろうとマリエルに敵う相手はこの大陸中を見回してもいないだろう。
案の定、『竜狂いの姫』などと宣った貴族もいたが、それがどうした。と言う以外ない。
竜狂い、結構ではないか。
ディークファルトの伴侶には竜の世話もしてもらえる者を望んでいたのだ。
それとも侯爵の娘はそれができるのか?
そう問えば真っ青な顔でそんなことはさせられない!と怒鳴る。
『話にならんな。もし異議申し立てがあるなら元老院に言え』
もっともうちに匹敵する国積、国力のある国の正当な姫だ。
大陸一と言われる美貌を持ち、竜を愛し愛される者を差し置いて前に出れる者がいるのかどうかだがな。
ディークファルトの件は元々品行方正な人柄である上に、姫に対し過剰なほどの愛を垂れ流した第四王子を見て、これ以上口を出す者もいなかったので、一見落着。
と思いきやその直後会議場に乗り込んで来たのは、問題のクリストファーだ。
どんなに弁明しても今までのことが問題視される。
サラ嬢に拘るからにはそれ相応の誠意を見せるべきだ!と言う貴族に対し、クリストファーは口をついた。
『ならば王位継承権を破棄する!』
ここでそれを宣言するのか。
サイラスは血の気が引き、頭がクラリとした。
もう王城内にクリストファー達が住む離宮も建てているというのに・・・・。
取り入りたい貴族たちはそういうことを言っているのではない!と罵詈罵倒だ。
いつもならイーサンが収拾をつけるのだが、何のイタズラか以後の会議を欠席すると通達が入った。マジか。
ルーカスが『定例の会議を行わないのなら今日の議会は中止する!』と宣言し貴族たちを会議室から追い出したので、今この部屋には俺達兄弟+サックスがいるのみとなったのだが・・・。
目の前の下2人の弟が何か進言しているが、どうも耳が閉店状態のようだ。
まったく耳に入らない。
と、いうか少し休ませてくれと、サイラスは項垂れた。
「お前らいい加減にしろ!さっきの会議といい一方的に話を進めるんじゃない!!」
次兄ルーカスが吠えるが、クリストファーもディークファルトも何が悪いと詰め寄っている。
「ディーはともかく、クリスは大馬鹿か?!このタイミングで大きなカード切ってどうするんだ!」
「元々王位争いに加わる気はありませんし、大したダメージはありません。それにルーカス兄上には言われたくないですね。自身の結婚の時にそのカードを切ったのは他でもないルーカス兄上ではありませんか」
グッと言葉を詰まらせるルーカスにサイラスは盛大なため息を吐いた。
「で、何の話だったか?」
「「そうだった!」」
「マリーの家庭教師の件です!」
「サラの家庭教師の件です!」
ほぼシンクロした弟達の言い分に、サイラスはうろんな目つきで弟2人を見た。
「考えているから心配す」
「「若い男はやめて下さい!」」
・・・・・。
「「は?」」
今度はサイラスとルーカスがシンクロした。
サイラスは眉間を指で解しながら考えた。
ディーのマリエルへの執着は今に始まったことではないし、置いておくとして。クリスまでどうした?
今までのことはシルヴィアの呪縛だったのか、これまでとは違うサラに対する動きを見せている。
いや、よそ見をしなくなったのなら言うことはないのだが、この極端な行動はどうしたことか。
鬱陶しい、いや暑苦しい、もとい、どう考えても面倒くさいぞ。
ルーカスも同じ考えなのか呆れた表情をしている。
サックスに限っては・・・面倒くさいのか現実逃避のように魂が抜けかけている。
それができるなら俺も考えることを放棄したい。
「駄目です!」
涙目のルーカスに泣き吐かれて、放棄を断念する。
イーサンはどこへ行った?
あいつに間に入ってもらおうとサックスに視線を向ける。
「サックス、イーサンはどこにいる?」
魂が抜けたまま戻って来る気がなかったサックスだったが、皇太子の言葉でハッとし佇まいを正した。
「現在、南の応接室でマリエル姫及びサラ嬢を招き勉強会を開いております」
「勉強会?!」
サックスの言葉にルーカスが驚き、サイラスは憤りを覚えた。
会議以上に大事な勉強会って何だ。
「ちょっと待て、勉強会の為に会議を欠席したと・・・いうのか?」
語尾が尻窄みになるのは仕方ない、と思うぞ。と会議場入口を見ながら額に手を置いた。
ガックリと椅子に持たれたサイラスの目の前でクリストファーとディークファルトが会議室の戸の前で我先に出ようと躍起になり、相手より先に出たいのか押しのけ合い戸口で詰まった状態になっていた。
「兄さん退いて下さい!」
「ディーこそ、そこを退きなさい!」
下2人の弟が押し問答をしているところにルーカスがキレる。
「いい加減にしろ!2人共?!」
「1人ずつ出ろ」
子供でも理解していることを長兄が口にすれば、ディークファルトが「俺が先に出ます!」と吠え、クリスまでも「私が先だ!年上を敬え!」と応戦する。
本当面倒くさい。
サイラスは脱力したまま席を立ち、出口に向かった。
「そういうことなら年長者の私が1番先に出る。そこを退け、2人共」
語尾を強め弟達を退かせると1番先にサイラス、ルーカスと続いて会議室を出た。
続いてクリストファー、ディークファルトと出たと思ったら全力疾走で南の応接室へ2人走って行った。
「おい、あの2人どうにかしろ」
「無理ですね」
サイラスの言葉にサックスの無情な言葉が返ってくる。
「俺も無理です」
真っ青なルーカスの表情に、肩を落すサイラスだった。
打つ手なしか。
「「「・・・・・」」」
3階に登り南の応接室の前では相変わらずの攻防が繰り広げられていた。
「そこを退いて下さい!兄さん!!」
「ディーこそ退きなさい!」
進歩がない。
なさ過ぎる。
走ってここまで来ておいて、まだ戸口で詰まったままって・・・・。
どこから突っ込めばいい?
「誰か何か言ってやれ」
疲れて誰かに丸投げするが
「「無理です」」と2人にげんなり顔で返される。
だよな、、、。
ため息も出やしない。とサイラスは天井を見上げた。
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次回は来週月曜日UP予定です。




