↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴走列車 清水ユリ 第2部  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/16

暴走列車 清水ユリ 第2部 9


  アタシが、そんなことを、考えていると、


 「…さあ、行きましょう…」


 と、伊藤が、言った…


 副校長の伊藤が、言った…


 アタシは、いきなり、言われたので、


 「…行く? どこへ、行くんですか?…」


 と、聞いた…


 間の抜けた質問をした…


 「…それは、当然、アナタのクラスですよ…」


 と、伊藤は、当然のことを、言った…


 「…当たり前でしょ?…ほかに行くところが、ありますか?…」


 そう、言われると、ぐうの音も出なかった…


 当たり前だった…


 この伊藤の言うように、当たり前だった…


 アタシは、伊藤の後に、従って、歩いた…


 小柄な伊藤の後に従って歩いた…


 しかし、おかしな学校だ…


 アタシは、伊藤の後を歩きながら、思った…


 身の危険を感じるところまでは、いかないが、おかしな学校だ…


 あらためて、そう、思った…


 だが、まあ、おかしな学校だが、身の危険を感じないのが、いい…


 正確に言えば、この学校の教師の村井にアタシの乳を揉まれたわけだが、それは、たいしたことではない…


 別に減るものでもなんでもないし、アタシは、他人が、思うほど、そんなこと、気にしちゃいない…


 全然、気にしちゃいない…


 問題なのは、乳を揉んだのが、オヤジだと、いうことだ…


 イケメンでは、ないと、いうことだ…


 アタシのタイプのイケメンなら、全然、OK…


 乳を揉んでも、全然、OKだ…


 だが、まあ、これは、誰でも、そうだろう…


 誰でも、同じだろう…


 自分の好きな人間なら、OK…


 嫌いな人間なら、NGだ…


 まして、自分の父親と同世代だったり、それ以上の年齢のオヤジだったら、むかつく…


 アタシの乳を揉むなんて、許せん!


 断じて、許せん!


 当たり前だった…


 しかも、アタシの乳を揉んだ、村井は、小柄だった…


 この伊藤と同じ、小柄なオヤジだった…


 昔、母が、言ったことがある…


 アタシそっくりの見た目の母が、言ったことがある…


 小柄な男は、大柄な女に憧れると、言ったことがある…


 言われてみれば、アタシも覚えがある…


 中学や、前の高校でも、アタシを好きな男の中には、小柄な男がいた…


 背の低い男がいた…


 それを、母のユカリに話すと、


 「…ないものねだりだよ…」


 と、一言。


 「…ないものねだりって、なに?…」


 と、アタシが、ユカリに聞くと、


 「…自分にないものを、相手に求めること…背の低い男が、ユリみたいに、背の高い女に憧れたり、真逆に、背の高い男が、背の低い女に憧れたり…」


 と、答えた。


 だが、背の高い男が、背の低い女に憧れる気持ちが、わからない…


 さっぱり、わからない…


 「…どうして、背の高い男が、背の低い女に憧れるの?…」


 と、ユカリに、聞いた…


 「…かわいいと、思うんだよ…お相撲さんを、見て見な…結婚する女は、案外、小柄な女が、多いよ…」


 と、ユカリが、言った…


 それは、知らなかった…


 初めて、聞いた…


 「…それに、これは、笑っちゃうけれども、男も女も、ルックスが、それほどでもないひとに、限って、美女やイケメンに憧れるひとが、多いよ…」


 と、言った…


 アタシは、即座に、


 「…それは、無理!…」


 と、言ったが、ユカリは、


 「…無理じゃない!…」


 と、即座に反論した…


 アタシは、ビックリして、


 「…どうして、無理じゃないの?…」


 と、聞くと、


 「…お父さんは、決して、イケメンじゃないでしょ…」


 と、ユカリが、答えた…


 アタシは、それを、聞いて、たしかに、イケメンじゃないと、納得した…


 でも、頭がいい…


 東大を出るほど、頭がいい…


 だから、アタシは、それを、言ってやった…


 「…でも、お父さんは、頭がいいし…」


 と、言ってやった…


 それを、聞いたユカリが、ニヤッと笑った…


 我が意を得たりとばかりに、ニヤッと、笑った…


 「…そうよ…私は、お父さんの頭の良さに憧れたの…私は、アンタと、同じで、勉強が、嫌いだったから…」


 と、即答した…


 それから、続けて、


 「…つまり、交換…」


 と、言った…


 「…交換? なに、それ?…」


 「…男も女も、ルックスに自信が、ないひとは、ルックス以外の武器があれば、いい…お父さんのように、頭が良かったり、お金持ちだったり、マンガを描いて、売れるような才能があったり…要するに、ルックス以外で、他人様が、憧れるものがあれば、いい…」


 ユカリが、説明した…


 「…まあ、でも、全然、そうじゃなくて、美女と野獣じゃないけれども、結婚するカップルは、大勢いるし、本当のところは、わからない…」


 「…美女と野獣? …どうして、結婚したのかな?…」


 「…それは、わからない…ただ、結婚は、なにより、相性があるからね…」


 「…相性?…」


 「…いくら、頭が良かったり、ルックスが良かったりしても、いっしょにいても、話が合わなかったり、つまらなかったりしたら、ダメでしょ?…」


 「…」


 「…なにより、気が合うこと…私は、お父さんとは、頭が、天と地ほども違うけれども、気が合った…話があった…だから、結婚した…」


 ユカリが説明した…


 アタシが、納得のする説明をした…


 そして、そんなことを、考えていると、目当てのクラスに着いた…


 アタシの行く、クラスに着いた…


 副校長の伊藤が先に、教室に入った…


 「…失礼します…」


 と、伊藤が言って、教室に入った…


 その後に、アタシが、続いた…


 「…今日、このクラスに転校してきた、清水ユリさんです…諸事情があって、少し、遅れてしまいました…皆さん、仲良くして下さい…」


 と、伊藤が、簡単な紹介をした…


 次いで、アタシに、紹介を促した…


 自己紹介を促した…


 「…それでは、清水さんからも、簡単な自己紹介を、お願いします…」


 と、振られた…


 アタシは、早口で、


 「…今日、この学校に転校してきた、清水ユリです…皆さん、よろしくお願いします…」


 と、言って、頭を下げた…


 そして、頭を下げながら、反応を窺った…


 この教室の生徒たちの反応を窺った…


 どんな反応をするのか、窺った…


 普通なら、アタシを初めて、見た、人間は、男女限らず、


 「…おー、美人だな…」


 とか、


 「…背が、高くて、キレイだな…」


 とか、言う声が、聞こえてくる…


 が、


 その反応が、ない…


 まったく、ないわけでは、ないが、反応が、薄い…


 小さな声で、


 「…おー…」


 と、言うぐらいで、反応が、薄い…


 そして、やはり、小さな声で、


 「…へー、キレイね…」


 と、いう女の声も、聞こえた…


 が、


 声が、小さい…


 アタシは、自分で言うのも、なんだが、もっと、驚かれる存在だ…


 「…おーっ!…」


 と、驚かれる存在だ…


 スターじゃないが、もっと、驚かれる存在だ…


 だから、これは、おかしい…


 実に、おかしいと、思って、クラスの生徒を見た…


 転校の挨拶をして、頭を下げた…


 その後、頭を上げながら、生徒を見た…


 すばやく、見た…


 すると、驚きの光景が、広がっていた…


 生徒の大半が、アタシではなく、スマホを見ていた…


 自分のスマホを、見ていた…


 授業中にも、かかわらず、だ…


 これには、驚いた…


 これには、仰天した…


 まさか、アタシを見ずに、スマホを見ているとは、仰天した…


 これでは、アタシが、わからない…


 美人のアタシをアピールできない…


 そう、思った…


 心の底から、そう、思った…


 が、


 そう、考えながらも、気付いた…


 絶対、見ていないわけじゃない、だろうと、気付いた…


 教室のドアが開き、アタシが入ってきた時点で、


 「…なんだろう?…」


 と、思うのが、自然だ…


 普通に、考えて、自然だ…


 そして、アタシを見て、反応を示さないのは、アタシに興味がないからだ…


 美人のアタシに興味がないからだ…


 そう、思った…


 そう、気付いた…


 そして、そう、気付いたときに、アタシの目に、知っている顔が、飛び込んで来た…


 近所に住む、山田の顔だ…


 オタクの山田の顔だ…


 いかにも、気が弱そうな山田の顔だ…


 …コイツ、同じクラスだったのか!…


 まずは、そう、思った…


 そして、次に、


 …コイツが、アタシの顔を、クラスの連中にばらしたな…


 と、気付いた…


 このオタクの山田が、たぶん、事前に、アタシの顔を、クラスの連中に知らせた…


 …そういえば、コイツは、以前、コソコソと、アタシの姿を撮影したことがあったな…


 と、思い出した…


 あのときは、ただ、オタクだから、アタシに面と向かって、話すことができないから、遠くから、アタシの姿を、スマホで、撮影していたんだと、思った…


 が、


 たぶん、それだけではない…


 その映像を、このクラスの連中に見せたに違いない…


 だから、驚かない…


 美人のアタシの姿を見ても、驚かない…


 すでに、アタシを知っていたからだ…


 実物ではない、アタシを知っていたからだ…


 だから、驚かない…


 アタシは、そう、見た…


 アタシは、そう、睨んだ…


 そして、そんなことを、考えていると、教師が、


 「…これは、美人さんですね…」


 と、突然、言った…


 アタシにとっては、当たり前のことを、言った…


               <続く>


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。