↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴走列車 清水ユリ 第2部  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/16

暴走列車 清水ユリ 第2部 4


 まあ、そんなわけで、今の高校に入るわけに、なったんだが、良いことばかりでは、当然、ない…


 現に、引っ越してきた、そうそう、近くの山田さんには、目をつけられた…


 目をつけられたと言えば、言い過ぎかも、しれないが、あの山田さんの息子が、アタシを好きになったのだ…


 正確に言えば、アタシのルックスを好きになったのだ…


 が、


 アタシは、ルックスだけ…


 ルックスだけの女だ…


 当然、中身は、違う…


 いわゆる、見た目と中身は、違う…


 だが、それが、わからない男が、多い…


 実に、世間に、多い…


 そして、なぜ、世間に多いのか?


 それは、アタシと接していないからだ…


 美人でも、イケメンでも、普段、接して、いないからだ…


 だから、わからない…


 どんな人間か、わからない…


 昨今は、スマホのアプリで、男女が出会って、結婚する話を、よく聞く。


 それを、聞いた父が、


 「…よく、そんな、何回も会ったことがない、ひとと、結婚するな…」


 と、驚嘆したことがある…


 続けて、


 「…一回や二回、会っただけでは、どんな人間か、お互い、わからない…そんなことで、結婚するなんて、ギャンブルだ…」


 と、嘆いた…


 が、


 それを、聞いた母が、


 「…でも、お父さん、何年、付き合ったひとたちでも、離婚は、するものですよ…」


 と、父に、言った…


 「…それに、アプリで知り合って、結婚するのも、昔ながらの、お見合いで、結婚するのも、同じでしょ? どっちも、何回も会わないで、結婚するでしょ?…」


 母に、言われると、父は、なにも、言えなかった…


 「…いずれにしても、離婚するひとは、離婚するし、離婚しないひとは、離婚しない…それは、結婚してみなければ、わからないでしょ?…」


 母に、言われると、父は、ぐうの音も出なかった…


 そして、その流れで、母は、アタシに、


 「…ユリも、今度の学校で、うまくやるのよ…何事も、最初が、肝心だから…」


 と、念を押した…


 それから、アタシに、向かって、


 「…アンタも、アタシに似て、ルックスだけは、いいから、それを、武器にして、押し通すんだよ…中身は、さっぱりなんだから、ただ、ヘラヘラと、笑っていれば、いい…そうすれば、少なくとも、男たちは、ユリに気があって、ユリを好きになるし、味方にも、なってくれる…いい、わかった?…」


 と、真顔で、言った…


 このゆかりが、アタシに真顔で、説教するのは、珍しい…


 実に、珍しい…


 そして、それは、危険…


 実に、危険でもある…


 なぜなら、この清水ゆかり…


 滅多に、アタシに真面目な話をしないからだ…


 だから、怖い…


 実に、怖い…


 それゆえ、アタシは、


 「…わかった…」


 と、言って、それ以上、なにも、言わなかった…


 反論しなかった…


 反論すれば、言葉ではなく、手が飛んでくるのは、わかっているからだ…


 この清水ゆかり…


 言葉ではなく、拳で、相手を屈服させるタイプだ…


 だから、怖い…


 反論するのが、怖い…


 だから、アタシは、ゆかりの言う通りにした…


 初めて、学校に通うときに、ゆかりの言う通りにした…


 清楚系の格好をして、初登校した…


 アタシは、何度も、言うように、ルックスは、良い…


 ルックスだけは、良い…


 おまけに、身長も高い…


 166㎝ある…


 胸も大きい…

 

 いわゆる、水着が、破壊力抜群というタイプだ…


 そのアタシが。満員電車で、通学するのだから、早速、痴漢にあった…


 初登校する、しょっぱなから、あった…


 満員電車だから、気付かれないとでも、思ったのだろうか?


 アタシの形のいいバストにそっと、手で触る不届きものが、現れたのだ…


 これには、恐れ入った…


 なにしろ、転校した初日だ…


 今日、初めて、通学する学校だ…


 幸先が、悪いって言ったら、ない…


 実に、ない…


 だから、アタシは、最初、我慢するべきか、迷った…


 この痴漢の魔の手を我慢するべきか、否か、迷ったのだ…


 正直、騒ぎを起こしたくない…


 面倒事を、起こしたくないから、迷った…


 が、


 限界だった…


 相手は、明らかに、調子に乗って来た…


 アタシの胸だけでなく、下半身にまで、手を伸ばしたのだ…


 正直、限界だった…


 元々、短いアタシの導火線に火が付いた…


 ブチっと、火が付いた…


 アタシは、速攻で、反撃に転じた…


 当たり前だった…


 普通なら、アタシのカラダに障る手をむんずと捕まえて、


 「…このひと、痴漢です!…」


 と、大声を上げて、周囲に、知らせるのが、常道だが、アタシは、そんなことは、しない…


 そんな面倒なことは、しない…


 アタシは、痴漢の手を掴むと、その手の持ち主をいきなり、殴った…


 手のひらで、殴った…


 手のひらの裏で、殴った…


 いわゆる、裏拳というヤツだ…


 アタシの拳で、力一杯、殴った…


 途端に、相手のメガネが、ふっ飛んだ…


 ふっ飛んで、車内に、落ちた…


 周囲の乗客は、一瞬、なにが、起こったか、わからない様子だった…


 が、


 アタシは、そんな相手には、容赦はしない…


 次は、思いっきり、拳骨で、殴った…


 正面から、思いっきり、拳骨で殴った…


 一発、


 二発、


 三発と、正面から、拳骨で、殴り続けた…


 周りの乗客は、一瞬、なにが、起こったのか、明らかに、わからない様子だった…


 だけど、アタシは、容赦はしない…


 タダで、アタシのカラダを触るものには、容赦はしない…


 だったら、お金を出せば、容赦するのかと、言えば、これも、また難しい…


 要するに、金額による…


 いくら出すかに、よる…


 いくら、もらえるかに、よる…


 世の中、金だからだ…


 キレイごとではなく、金だからだ…


 アタシは、そんなことを、考えながら、痴漢を殴った…


 殴り続けた…


 これが、ドラマか、なにかだったら、


 「…お嬢ちゃん、このへんで…いい加減、勘弁してやんなよ…」


 とか、言いながら、イケメンの男とか、出て来るのが、定番だ…


 が、


 そんな男は、出てこなかった…


 一切、出てこなかった…


 真逆に、周囲のひとたちは、皆、無言だった…


 アタシが、血相を変えて、その痴漢を思いっきり、ぶん殴り続ける姿を、見て、引いていた…


 明らかに、ドン引きだった…


 アタシは、一回、頭に血が上ると、自分を抑えることが、できない…


 カッーとなると、自分を抑えることができない…


 自分で、自分を止めることが、できない…


 結局、アタシは、電車が、次の駅に止まるまで、その痴漢を殴った…


 殴り続けた…


 そして、次の駅で、大勢、電車に乗った乗客が、降りると、アタシから、逃げ出そうとした、その痴漢を、足で、思いっきり、蹴って、転倒させた…


 「…待ちな!…」


 と言って、転倒させて、その男の背中に、馬乗りになって、その男を殴り続けた…


 おそらくは、乗客の通報で、駅員が、やって来るまで、殴り続けた…


 もはや、男の顔は、血まみれ…


 鼻血で、血まみれだった…


 アタシは、そんな男の背中に、馬乗りになり、その男を殴り続けた…


 もはや、シュールな光景…


 世紀末を思わせる、異常な光景だった…


 

 アタシと、その痴漢は、駅員室に、連れていかれた…


 その痴漢は、オジサンだった…


 おとなしそうなオジサンだった…


 どこにでもいる、オジサンだった…


 ひとは、見かけによらない…


 一言で、言えば、そんな言葉が、よく当てはまるオジサンだった…


 「…職業は?…名前は、なんと?…」


 と、駅員が尋ねるが、オジサンは、答えない…


 すでに、衣服は、汚れ、ところどころ、血がついている…


 アタシが、殴り続けたからだ…


 とてもではないが、この格好で、会社になんか、出勤できないだろう…


 周囲のひとから、


 「…なにが、あったんですか?…」


 と、聞かれるのが、オチだからだ…


 だから、会社に出勤できない…


 アタシが、そんなことを、考え続けている間にも、駅員の質問は、続いた…


 が、


 この痴漢のオジサンは、黙秘…


 一貫して、黙秘だ…


 なにも、話さない…


 駅員は、さすがに、匙を投げた…


 「…まあ、ここで、なにも話さなくても、後で、警官が聞くから…」


 と、言って、匙を投げた…


 それから、アタシに質問が、向かった…


 「…お嬢さんが、この痴漢を捕まえたんだね…」


 と、言った…


 「…そうです…」


 と、アタシは、答えた…


 鼻高々で、答えた…


 が、


 返ってきたのは、予想外の言葉だった…


 「…お嬢さん、いくら、なんでも、やりすぎだよ…過剰防衛だよ…」


 と、いう言葉だった…


 アタシは、それを、聞いて、ハッとした…


 この駅員も、男…


 このオジサンの肩を持っていると、思ったのだ…


 だから、頭に来た…


 思いっきり、頭に来た…


 と、そのときだった…


 すぐに、警官がやって来た…


 制服を着た警官がやって来た…


 これは、考えてみれば、当たり前…


 当たり前だった…


 駅の近くには、どこの駅も、大抵は、交番がある…


 派出所がある…


 そこから、やって来たのだろう…


 だから、早くやって来た…


 すぐに、やって来た…


 警官は、アタシを見て、そして、オジサンを見た…


 それから、


 「…これは、また…」


 と、言って、驚いた…


 それから、オジサンに、


 「…相手が、悪かったというしか…」


 と、声をかけた…


 オジサンに同情するように、声をかけた…


 この警官も、男…


 オジサンだ…


 その光景を見て、アタシは、頭にきた…


 むかっ腹がたった…


 そして、その警官が、そのオジサンを見て、一言、声を上げた…


 「…もしかして、先生じゃ…沢村高校の村井先生じゃ…」


 と、言ったのだ…


 アタシが、これから、通学する高校の名前を挙げたのだ…


 アタシは、驚愕した…


 目ん玉が飛び出るほど、驚いた…


               <続く>


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。