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暴走列車 清水ユリ 第2部  作者: トモサン


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暴走列車 清水ユリ 第2部 11


 授業が、終わった…


 そして、担任の村井が出て行った…


 それを、見て、思った…


 アタシは、たぶん、偶然、村井の授業中に、この教室に、やって来たんだと、思った…


 なぜなら、小学校じゃ、ないんだから、中学や高校になれば、教師が、変わる…


 教師は、各々、自分の担当がある…


 例えば、国語、社会、数学など、担当がある…


 同じ教師が、数学と、国語を担当することは、ありえないからだ…


 だから、アタシは、たまたま、このクラスの担任の村井の授業中に、やって来たんだと、思った…


 偶然、運よく、このクラスの担任の授業中に、やって来たんだと、思った…


 だから、村井が、消え、授業が、休憩になった…


 そのときに、隣の男子生徒に、


 「…次の授業って、どんなセンセイが、来るのかな?…」


 と、聞いた…


 その男子生徒は、いきなり、アタシに、話しかけられたから、驚いていた…


 きっと、美人のアタシに、話しかけられたから、ビックリしたのだろう…


 それまで、スマホに向けていた視線をアタシに、向けた…


 ビックリとした顔で、アタシを見た…


 それから、


 「…なに? 今、なんか、言った?…」


 と、聞いた…


 アタシは、驚いた…


 美人のアタシが、話しかけたんだ…


 ホントなら、もっと、ビックリする顔で、アタシを見るものだ…


 それが、この反応…


 反応が、薄い…


 薄いったら、ありゃ、しない…


 が、


 それを、言っても、仕方がない…


 アタシは、ただ、


 「…次の授業、どんなセンセイが、来るのかな? イケメンかな?…」


 と、聞いた…


 が、


 この生徒の答えは、驚愕だった…


 「…センセイ…次も、村井だよ…」


 と、驚愕するものだった…


 「…えっ? 村井? 同じセンセイ…」


 と、アタシは、つい、言っちまった…


 当たり前だ…


 さっきの授業は、国語…


 そして、次の授業は、数学…


 当然、センセイは、違う…


 にもかかわらず、同じ村井とは?


 一体、どうなっているんだ?


 だから、アタシは、驚いて、


 「…次は、数学だけど、担当のセンセイは、風邪か、なにかで、お休みなの?…」


 と、聞いた…


 体調が、悪いとか、外せない用事ができて、授業を欠席したと、思ったのだ…


 が、


 隣の生徒は、それを否定した…


 黙って、首を横に振った…


 「…ううん、違う…」


 と、言って、首を横に振った…


 「…いつも、そうだよ…」


 と、言った…


 「…いつも、そう?…それ一体、どういうこと? 普通は、国語と数学の教師が、同じってことは、ないでしょ?…」


 と、アタシは、言った…


 当然だった…


 すると、アタシの質問を受けて、その男子が、


 「…その通りだよ…」


 と、答えた…


 「…だったら、どうして?…」


 と、アタシ。


 「…たぶん、経費節減だよ…」


 と、隣の男子。


 「…経費節減? どういうこと?…」


 「…この一般クラスは、落ちこぼれの集まり…優秀なのは、選抜クラスに集まっている…だから、授業だけ、やれば、いい…そうして、3年、経てば、卒業できる…」


 「…それは、わかるけれども、それでも、国語と数学のセンセイが、同じなんて…文部科学省に、怒られないかな…ちゃんと、授業をする資格を持っているのかな…」


 「…それは、わからないけれども、ちゃんと、この落ちこぼれクラスでも、卒業したひとは、多いんだから、なんとか、なっているんじゃない?…」


 「…なんとか、なっているって…」


 アタシは、絶句した…


 まさに、絶句した…


 絶句して、言葉も出なかった…


 いくら、なんでも、いい加減過ぎる…


 いい加減過ぎるのだ…


 いくら、経費削減のためだと、言っても、いい加減過ぎるのだ…


 たしかに、言われれば、わかる…


 要は、アタシたち一般のクラスは選抜クラスの生徒を集めるための、道具…


 一般クラスの落ちこぼれたちの生徒の親から、多額の寄付金をとって、頭のいい、選抜クラスの生徒の授業料を免除し、その他もろもろの生活の面倒を見る…


 そのための道具だ…


 だから、授業は、関係ない…


 授業の内容は、関係ない…


 ただ、卒業できれば、いい…


 高校卒業の肩書を得られれば、いい…


 それは、わかるが、


 …なんだかなー…


 と、なる…


 理解は、できるが、


 …なんだかなー…


 と、なる…


 現に授業中の生徒の態度を見れば、わかるが、誰も、やる気がない…


 だから、それで、いいのかなとは、思うが、


 …なんだかなー…


 と、なる。


 おそらく、優秀なセンセイが、やって来て、授業をしても、誰も、聞かないに違いない…


 そもそも、授業の内容が理解できない…


 だから、これで、いい…


 教師は、とりあえず、授業をした…


 生徒は、それを、聞いた…


 その結果、このまま、いれば、卒業できる…


 高卒の肩書を得ることができる…


 だから、


 …双方納得…


 教師と生徒が、納得できる…


 それは、理解できるのだが、


 …なんだかなー…


 と、なる…


 なるのだ…


 アタシが、そんなことを、考えていると、さっきの村井が、戻って来た…


 それから、教壇に立ち、


 「…それでは、数学の授業を始めます…」


 と、宣言した…


 そして、席に、座る、アタシに向かって、


 「…清水さん、この学校では、一人の教師が、複数の学科を担当します…要するに、小学校と、似ています…ですから、さっきは、国語で、今度は、数学でも、同じ、ボクが、担当します…」


 と、宣言した…


 アタシは、それを、聞いて、無言で、頷いた…


 首をコクンと、縦に振って、頷いた…


 わかりましたと、態度で、示したのだ…


 それを、見て、再び、村井は、


 「…じゃ、始めましょう…」


 と、言って、授業を始めた…


 が、


 生徒たちの様子を見ると、さっきの国語の授業同様、熱心に、聞いているものは、クラス全体のほんの一握り…


 大半の生徒は、スマホを片手に、持って、遊んでいる…


 たぶん、ゲームをやったり、ネットを検索したりして、遊んでいる…


 しかしながら、それを、見ても、教壇の村井は、注意をする気配すらない…


 ただ、一方的に、授業を続けている…


 それは、さっきも、言ったように、選挙の演説といっしょ…


 候補者が、一方的に、マイクを持って、叫んでいる…


 それと、いっしょだ…


 アタシは、それを、見て、思った…


 アタシは、それを、見て、考えた…


 たしか、ネットでは、昭和の時代…


 昭和の時代の一時期、校内暴力というのが、流行っていて、授業中でも、生徒同士や、教師と生徒が、ケンカをするのが、日常茶飯事だったと、いうのを、見た…


 それに、比べれば、平穏…


 実に、平穏だ…


 しかしながら、本当に、コレで、いいのだろうか?


 ホントに、この光景で、いいのだろうか?


 考え込んでしまう…


 これでは、なにも、わからない…


 いくら、授業を受けていても、なにも、わからない…


 これで、高校を卒業して、ちゃんと、社会人として、やっていけるのだろうか?


 考えた…


 たいして、勉強のできないアタシでも、考えた…


 たしかに、社会に出れば、勉強は、関係ない…


 数学ができるとか、国語が、できないとか、関係ない…


 でも…


 でも、だ…


 やはり、限度がある…


 このまま、社会に出て、会社に入る…


 あるいは、スーパーや、コンビニで、バイトをする…


 そのとき、困ることが、ないだろうか?


 考える…


 周りの人間が、皆、アタシのように、勉強ができない人間ばかりなら、いい…


 それなら、いい…


 でも、ちょっと、勉強ができる人間が、見れば、どうだろうか?


 驚愕するのでは、ないか?


 …こんなことも、わからないの?…


 と、驚愕するのでは、ないだろうか?


 周りが、皆、アタシのように、勉強ができなければ、いい…


 頭が、悪ければ、いい…


 でも、もし、そんな会社が、あれば、真っ先に潰れるだろう…


 そんな頭の悪い連中が集まっている会社があれば、とてもではないが、会社が、長くやっていけるとは、思えないからだ…


 アタシは、思った…


 アタシは、考えた…


 そして、そうではなく、まともな会社に入ったら、どうなるか?


 次に、それを、考えた…


 他の人間にバカにされるのでは、ないか?


 そう、思った…


 …オマエ、こんなことも、わからないの?…


 と、バカにされるでは、ないか?


 そう、考えた…


 もちろん、あからさまに、態度を出す人間は、多くはないだろう…


 しかしながら、考えるのは、いっしょ…


 誰もが、いっしょだ…


 ただ、態度に出さないだけ…


 それだけだ…


 アタシは、そんなことを、考えた…


 そして、そんなことを、考えながらも、たぶん、同じ…


 今、この村井の授業を受けている、このクラスの連中も同じ…


 最初は、アタシ、同様、そんなことを、考えたに違いない…


 でも、いつのまにか、そんなことを、考えなくなる…


 いつのまにか、流されるというか…


 元々、このクラスの連中は、頭が良くない…


 勉強ができない…


 だから、無理に勉強をしても、結果が出ない…


 だから、考えても、仕方がない…


 その結果、このようになる…


 ただ、授業を聞いているだけになる…


 だが、これでいいのだろうか?


 やはり、不安になる…


 元々、勉強が、できないから、マジメに、聞いても、わからないかも、しれない…


 それでも、ホントに、コレで、いいのだろうか?

 

 不安になる…


 実に、不安になるのだ…


               <続く>


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