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第69話 太陽灯!

 良い睡眠には良い環境が必要だ。

 しかし、良い環境にも個人差がある。

 どんな場所でも眠れる人もいれば、枕が変わっただけで寝つけなくなる人もいる。


 私はそこまで極端ではないけど、霊薬で眠りが浅いこともあってか、いつもと違う環境だとどうしても夜中に目が覚めがちだ。


 草木も眠る丑三つ時。

 うっかり起きた私は、すっかり眠気も吹き飛んでしまっていた。


 同じ部屋で眠る女子たちを踏まないように気をつけながら居間へと向かう。

 誰もいないけれど、灯りはついたままだ。


 消し忘れじゃない。むしろ、消したら怒られる奴だ。


 妖怪の発生を防ぐ照明、その名も太陽灯。


 この照明は高性能で、油や蝋燭を必要としないどころか、電気すらなくてもつく。

 仕組みは知らないけど、霊力を利用しているとか、どうせそんなところだろう。


 夜は妖怪の時間。

 暗闇は妖怪の世界。

 その中に人間の居場所を作り出すための技術。それが照明技術だ。


 太陽灯は名前に反して明るさ自体はたいしたことがない。

 しかし、その効果は絶大で太陽灯をつけた周辺には、妖怪がほぼ発生しなくなるという。

 なんと、光が直接届いていなかったとしてもだ。


 電波的な目に見えず壁にも遮られない何かが出ているのかもね。知らんけど。


 妖怪発生を防ぐ太陽灯はまさに生活の必需品で、夜中はどの家もつけっぱだ。

 この太陽灯のおかげで、妖怪は外でしか発生しない。


 ちなみに、私がこれを初めて聞いた時は「太陽灯を街中に灯せば、見廻りなんていらなくなるんじゃ?」と思ったけど、世の中そう上手くはいかないらしい。


 太陽灯はあくまで妖怪を発生しにくくするだけで、妖怪の発生数を減らすことはできないんだとか。

 街中に太陽灯を置いても、発生する妖怪の数は減らないから、結局、街中のどこに現れるのかわからなくなるだけらしい。


 そんな説明を発明大好きな瀬戸将大に聞いたのだけど……ぶっちゃけいまいち理解できなかった。

 もう少しわかりやすくしてもらった例え話がこんな感じだ。


 たとえば、街くらいの大きさの土地を想像してほしい。そして、その土地からはるか遠く離れた場所にとある人々がいる。

 彼らはその土地のどこかへとワープしなければならない。

 ワープする場所は自由に選べるけど、土地の外、つまり範囲外は選べない。絶対に土地の中から場所を選んで、ワープしなくちゃいけないわけだ。


 そして、その土地には至るところで、めちゃくちゃに雨が降っている。人々は雨が嫌いだ。降られたら死ぬわけではないけど、できれば雨に降られたくはない。

 そんな人々は、当然、雨の降っていない場所を選んでワープする。


 ……では、ここで土地の全域に雨が降っていたらどうなるか?

 どこにもワープしたくないけど、残念ながら彼らにそれは許されない。

 とすると「どこにワープしても結局雨に降られるなら、どこを選んでも同じだ」となる。


 このワープしなければいけない人々が「妖怪」で、降っている雨が「太陽灯」だ。


 つまり、あえて家の中にだけ太陽灯を置いて、外には置かないことで、妖怪が発生する場所を外に固定しているということらしい。

 街によってはその考え方を発展させて、妖怪が発生する区域を作ったりしているとかなんとか。

 私たちが住んでいる街はそこそこ歴史のある古い街なので、そこまではできていないらしい。



 さて、そんな文明の利器、太陽灯だけど、残念ながら普通の明かりとしては物足りない。

 読書でもしようと思っていた私は、太陽灯とは別の一般的な照明(これも霊力でついてるっぽい)をつけようとした。

 その時、玄関の方でガラリと戸が動く音がした。


「……?」


 不審に思い、玄関へと向かうと、提灯の数が減っていた。

 ゆっくりと戸を引いて外を覗くと、夜に漂う明かりが一つ。


「……アレって」


 提灯の明かりに照らされる姿は、凛之助の弟――蓮太郎に見えた。

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