アン王宮へ④
「黙れセドリック!
これは子どもの遊びではないんだ!!」
「いいえ黙れません!!」
バンッと、机を叩いてセドリック様が抵抗していたけど、その激しさにびっくりで言葉も出ない。だが国王陛下も、その鋭い眼光でセドリック様を睨んでいる。
「あ、あの。その専門家ですが、実はもう……」
話に割って入ると、国王陛下の鋭い視線に晒され息が止まりそうになった。言葉が出なくて、喉が震える。
涙まで滲んできて、固まっていると、私の耳に優しい声が響いた。
「陛下、セドリック落ち着いて下さい。そんな目でアンを見ていては彼女が萎縮してなにも話せなくなってしまいますよ。
まずは彼女の話を聞きましょう。
どういう結果にしろ話し合わねばなりませんし
何より、我々の手にローゼリンデの手記があり、強引に奪ったとなると、ユリウスが……気にしませんか?」
その一言に全員が沈黙するけど。
「そのユリウスさん。と言うか、ユリウスお兄様は、先日セドリック様と会いに行きまして、その、協力の約束を取り付けました。」
「は!? 何だと!!
あの望まぬ強要をするなら『死んで資料を燃やす』と笑っていた狂人が、自ら協力を申し出ただと……?
契約書まで作っているだと……?」
「なんですって!! それは本当なのセドリック!!」
「間違いありません、彼は暗に頭を下げて、我々への協力を約束してくれました。
いくつか条件の提示はありましたが、アンの熱意とローゼリンデ様の手記を見た彼の表情から察するに、彼もずいぶん行き詰まっていたと推測できました。
ローゼリンデ様の手記を見てからの彼の行動は早く、既に首都に着いております。
契約書の作成をしているようです。」
「その条件は何だ? 何を約束した」
「えっと、
1ローゼリンデ様の意思に逆らわない。
2資金はユリウスお兄様は出さない
3責任は私とセドリック様がとる。
この3つでした」
思い出しながら言うと、ホッとした表情を国王陛下が見せた。その手をそっと王妃が握る。
「なるほど、それでグランド家から金貨数百枚の領収証ということか。本を数冊・・・それが必要なのか?」
「ええ、数冊渡されています。あとは、手記の文字が5か国語のようで、先日本を受け取った際になぜその文字が使われるのか考えろとヒントもいただきました。そのヒントより我々は、沿岸部で貝の殻を高熱炉で焼きその焼いた貝を粉にして利用することで土壌開発に利用できることを掴んでおります。
また、その炉に利用する陣もその細部の解読はまだですが、どうやら炭焼きや陶芸で利用する炉の進化版であることも分かりました」
「それで? それ以外は?」




