謝罪行脚と喫茶店④
最初の家は、街の外れにある小さな家だった。
扉を叩くと、しばらくして中から顔を出したのは、私がよく話していた侍女の噂好きお姉さんだった。
「あ……アンお嬢様……?」
驚いた顔が、すぐに泣きそうな顔に変わった。
「これ、セドリック様からの紹介状です。伯爵家のことは……その……ごめんなさい。私なにもできなくて」
頭を下げて言い終わる前に、お姉さんは両手で口を押さえて、震えながら受け取ってくれた。そして私に頭を上げるように行ってくれた。
「ありがとうございます……ありがとうございます……!」
その声を聞いて、胸がぎゅっと痛くなった。 私が何も知らない間に、この人はどれだけ苦しんでいたんだろう。
横でカルネオさんが腕を組んでいた。
「よかったじゃん。これで冬越せるな。紹介状なしって、マジで死活問題だからな」
お姉さんが涙を拭きながら笑った。
「騎士様……ありがとうございます……」
「いや俺じゃなくてアン嬢とセドリック殿下な。俺はただの荷物持ち」
そう言って笑うカルネオさんの声が、少しだけ空気を軽くした。扉が閉まったあと、カルネオさんがぽん、と私の頭を撫でた。ちょっと力が強いけど、それが頼もしかった。
「よく頑張ったな。アン嬢、今の子泣いてた。アン嬢も今から泣いてると次どうすんだ?結構数あるんだぜ」
「泣いてないでず……ずびッ」
「はいはい、じゃぁ次な」
そう行って強引に馬車の載せられて次に移動する。貴族の家だったり、普通の民家だったり、いろんな家に行っては伯爵家が迷惑をかけてもうし分けがなかったと、謝ると皆「アン様は悪くない」と答えてくれた。優しくて申し訳なくて涙が出そうだけど、そのたびに「まだ泣くな」とかルネオさんに怒られていた。
何軒も回った。誤りすぎて喉が痛くなったけど、私は諦めなかった。必死に頭を下げて、そうしてついに最後の家に着いた。
最後の家は、街の中心から少し外れた市街地にあった。
扉を叩くと、すぐに開いた。
出てきたのは、厨房でいつも私に味見をさせてくれていた料理人のおばさんだった。
「あんた……アンお嬢様……?」
その声は、驚きよりも、どこか張り詰めたものだった。
「これ、セドリック様からの紹介状です。伯爵家のことは……その……」
言いかけた瞬間、カルネオさんが前に出た。
「で、伯爵家で何があったんだ?」
「えっ……?」




