謝罪行脚と喫茶店②
「よろしい。では、なぜ手袋をされていない?
あと、貴方の読まれた本は一部、汚れと折れ目がありました。
真面目に勉強されるのならば、まずは教材や資料は大事に扱っていただきたい。
まずは、手袋を」
そう言って触り心地の良い手袋を渡されたので渋々受け取ってから、ふと思い出したことができた。
「お姉様は手袋をつけていなかったわよ?」
「……ローゼリンデ様やユリウス様、イリスティア聖女様は常に手を洗って慎重に本を読んでおられました。傷つけることはありませんでしたので」
そう言って去っていった。それは私が汚いっていいたいんだろうか。そう思うとぐっと握る手に力が入った。私が平民だからっていいたいのかしら?
ユリウスさんも傍系の貴族だと言ってた。グランド伯爵家の人間だし、元々子爵家の3男とか聞いてるから、やっぱり貴族は綺麗で、平民は汚いって思ってるのかと思うと悔しいけど、ただ、今ここの管理は先ほどの司書のおじいさんになったから私にはなにも言えない。入れなくなると困るから、私は我慢して手袋のままそっと手元の本のページを捲った。
ローゼリンデ様の手記には海外の文字や見慣れない専門用語を沢山書いてるからそれを一つ一つ調べて、調べたことを書き込んでゆく。そうしていると、なんだかローゼリンデ様にあったこともないのに、教えてもらってる気持ちになってきた。2つの文字が並んでると不思議な気持ちが沸き上がってきていた。
きれいなローゼリンデ様の文字とまだちょっと歪みが残る私の地の並んでいるところを指でなぞっていると、扉の開閉音が聞こえてセドリック様と……カルネオさんがやってきた。
「いたな。本当勉強家だよなアン嬢は、俺の婚約者なんて毎日毎日針と糸持ってチクチクチクチク何の役に立つのか分からない物作ってるよ」
「今日は手袋つけているのだね。いいことだよ。
本は貴重だし、物によっては……カルネオお前が手に持ってるの、お前の給金の半年分だ」
「ぎゃ、マジかよ!!」
「海外まで行って探して、勝ってくることを考えると価値がそれぐらいってことだよ」
「へー本当に高価な本が並んでるって噂マジなんだな。そう思うと伯爵家めっちゃ金持ちじゃん。俺婿に来たいわ」
「婚約者どうするんだよ。あと騎士団を継ぐんだろう?」
「そうだった、忘れた」
「忘れないでくれ」
また苦笑いでセドリック様が頭を抱えてる。おかしそうな二人の皮に笑ってしまった。というか、私の持ってるこの本そんなに高いのね。騎士様は危険な仕事だからすごく高級って言うから、コレ売ったらどれだけの人が助かるんだろうなっておもっちゃった。
じっと本を見ている私にセドリック様が声をかけてきた。
「じつは、これから聖女のところにお見舞いに行くことになってるんだ。だからコレ、よければ使用人に君から渡してほしい。それで、君の大事な人を助けてあげてほしいだ」
珍しく持っていたカバンからセドリック様が大量の封筒をだしてきた。どう見ても豪華そうな束にびっくりしていると、1枚を無造作にカルネオさんが取り上げた。
「すげーなセドリック!コレ王家御用達の封筒じゃん。それにこの蝋封!お前を証明するやつじゃん!
コレなら王子様が紹介しますっていう手紙だから、伯爵家がなにを行ってても問題ないに違いないな!!
もうここまで来たら贔屓じゃん!
アン嬢への愛だな!」




