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キングの怒り(再掲)  作者: 皆中明
清水田学園のキング
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想いの深さ4


 彼は学生時代から勉強熱心で、とても生真面目な生徒だったそうだ。長年勤めていた物理教諭が退職し、後継を募集しなければならなかったところ、ここの卒業生でもある彼が教職を目指していたことを校長が思い出し、彼が適任だろうということで声を掛けたのだという。


 黎の話を聞きながら、光彰は才見の笑顔を見ていた。陶器のように白い肌に、汗が光っている。この季節であっても、日向にずっといては暑いだろう。全体的に色素が薄く、儚い印象が強い彼には、あの場に居続けることは少々酷な事であるように思えた。


「——それなら、来年の理系選択に女子が増えるかもな。どうせそういう狙いで採用したんだろう。ここは面倒な生徒を預かっているから、よその条件に比べたら給料はいいらしいから、かなりの人数が応募して来たはずだ。進学させるスキルのある者なら、他にもいただろう。それなのに、卒業生というだけで採用したなんて、おかしな話だ。間違いなく顔で採用してるだろうな。今の校長ならやりそうだ」


 そう冷たく言い放つ光彰に、黎はくすりと笑う。そして、


「ああ、なるほどね。そうかもな。高等部では才見先生、大学部へ行けば戸田教授。推しがいればやる気が湧くだろうから、成績が上がる。それなら、学校としては歓迎するだろう。特に高等部でやる気を出してくれて、他大学へ進んで官僚とかになってくれたら、もっと喜ぶだろうな。あー、俺にもなんかそういうの無いかなあ。誰かを推してやる気を出せるならそうしたい」


 英語以外は苦手だという黎は、窓に体を預けるようにして面倒くさそうにため息をつく。


「——お前、物理の成績壊滅的だもんな。このまま理系で物理選択したままでいいのか? 生物の方が好きなんだろう?」


 揶揄う光彰に、黎は僅かに顔を顰める。言い返せない事に苛立ちを覚えているようだ。


 彼は物理が得意ではないものの、そう苦手なわけでもない。ただ、全ての成績が優秀な光彰に比べれば、彼の物理のそれがパッとしない事は間違い無いので、強く言い返す事は出来ないのだ。


「うるさいなあ。今はこのままでいいんだよ。俺はまだ志望学部を絞りきれてないから、ギリギリまで苦手の克服目指すの! 敢えての物理選択です!」


 軽くヘソを曲げた黎はふんと鼻を鳴らし、再び窓の外へと視線を移す。そうして相変わらず生徒に囲まれている才見を見ながら、ふとある事に気がついた。

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