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キングの怒り(再掲)  作者: 皆中明
清水田学園のキング
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逢瀬の話1

「なあ、光彰。例の件で寮長だけに通達ってなんだろうな。もう噂好きな奴らは色々と騒ぎ立ててる。呪いだなんだって、好き放題言いまくってるだろう? 警察が来て調べたんなら、分かったことをさっさと言えばいいのにな」


 黎は光彰の方を向いたまま、窓際の手すりに肘をつきつつ体を預け、時計塔とは反対側にあたる体育館の方を見つめている。昇った陽の光がその窓に反射しているのか、くっと顔を顰めた。


「眩しい……、俺昨日ちゃんと眠れなかったからなあ」


 そう言うと、眠そうな目を擦る。


「そうだな。かなり(うな)されていたから、寝不足だろう? 眩しいところを見ていると、頭が痛くなるぞ」


 光彰はそう返しながら、未だに目が覚めきれていない黎の姿を、目を細めながら眺める。何度も欠伸を噛み殺す彼を見ながら、昨夜のことを思い返していた。


 彼らは八木の言う通り、寮も同室だ。昨夜、黎は何度も魘されていた。布団を握りしめて何かを謝り続ける黎の隣で、光彰は一晩中その額の汗を拭い、手を握り続けていた。熱がある訳でもなく、どこかが痛む訳でもない。ただ悪夢に魘されている幼馴染を、ひたすらに気遣っていた。


 そして、これは今に始まったことではない。春休み中から時折起きていたことだ。休み中はホラー映画を見過ぎた影響かと思っていたため、光彰もあまり気に留めていなかった。


 しかし、始業式を迎えても変わらないのであれば、さすがに原因を突き止めなくてはならないだろう……そう思っているところへ飛び込んで来た温田見の騒動だった。

 もし本当に温田見の騒動に千夜が関わっているのならば、それは黎にどんな影響を与えるのだろう。光彰には、それが気になっていた。


「さっきの話だが、市岡が落ちてくる温田見を見たと言っているんだろう? それなら、学校の判断は自殺っていう事になるんじゃ無いのか? それが真実かどうかは分からないけれどな……」


「そう、噂ではそう言われてるな。でも、生徒が学校の中で死んでて、警察が調べに来てる割には、動きが少ないらしい。お前の言う通り、市岡先生が見たっていうあの噂が本当なら、自殺ってことなになるのかもな。殺人事件とかも嫌だけど、五年で五人くらい時計塔から落ちて死んでるんだろう? いくらなんでもおかしいよな。それはそれで学校が何かしないのかって思うんだよ。これ、今回も『高いところは危ないから気をつけるんですよー』っていう注意喚起くらいで済ませるつもりなんだろうか」

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