第十一章 株価乱高下 1
それから数日経った、とある日のマルコー赤羽営業所。
昼食を済ませた研史はスマホでニュースをチェック。
(若者にステーキブーム。ファーストフード感覚で気軽に厚切り肉をというコンセプトのステーキ店、いつでもステーキが人気を集めています)
研史はいつでもステーキを経営するミートフードサービスの株価をチェックする。
「おー、上がっているぞ!俺は300株27万円で買ったんだ。今32万円という事は、プラス5万円だ。すげー!」
それから数日後、昼休み会社の事務所、研史はスマホで株価をチェック。ミートフードサービスの株は少しづつ上がり続け300株40万円を超えた。
「どうしよう?今売ったら10万円以上の利益が出る」
そして3時休み、作業場で株価をチェック。43万円になる。
「よし、売るぞ」
300株を成行で売り注文。全量約定。27万円で買った株を43万円で売却。16万円の利益となる。
研史は大満足だ。
それからミートフードサービス株価は毎日上がり続け2週間後、1株2,500円。300株だと75万円となる。そしてその1週間後、1株3,400円。300株だと100万円を超える。
「あー!俺ってバカだな。100万円以上になる株を43万円で売っちゃったよ」
その後、ミートフードサービスはこの上昇の波に乗るべく(いつでもステーキ)の店舗数を増やした。
株価はさらに上昇していった。
そしてミートフードサービスは、(いつでもステーキ)をアメリカ・ニューヨークに支店を出す。立食スタイルにすることで極力値段を下げ、ファーストフードのように気軽に食べられるステーキがニューヨーカーに受けた。
ニューヨークのメディアにも取り上げられアメリカの投資家がミートフードサービス株に目を付ける。
そしてミートフードサービス株は1株8,000円を超える。この時点でミートフードサービスは株式分割化(2分割)を行う。つまり研史が株を売らずに持っていたとしたら600株持っていたという事になる。
2分割後も株価は上昇。
「まだ売らずに持っていたら250万円以上になっていた」
研史は、もうミートフードサービス株価を見るのが嫌でずっと見なくなった。
木曜日、浩は風邪をひいたとの事で会社を休む。
研史が昼食を終えて自分の机にくると先輩の直江が話し掛けてくる。
「ミートフードサービス、分割後でも1株5,000円を超えた。研史が売らずに待っていたら300万円越えだ」
「あーーー!」研史は大声をあげ、そのまま走って外へ出て行ってしまった。
午後の仕事中、研史は思った。
(まだ持っていて今売ったとしたら300万円かぁ・・・・あーー!金河さんもミートフードサービスの株持っているぞ!)
3時休み事務所で研史は直江先輩と綾瀬さんと話をする。
「この急騰のミートフード株、金河さんも持っている。最近は怖くて株価を見られないって言っていたから急騰には気が付いていないはず。何株持っているんだ?お食事券が3,000円分届いたから300株以上は持っているという事だ。あ、あと買い増ししたって言っていた。400株か500株か?」
直江も株の事は少しは知っているのか、まっとうな事を言う。
「明日以降も上がるのであれば、まだ売らずに持っていたほうがいい。でも今がピークなら今売ったほうがいい」
そして浩の事が心配な綾瀬が口を開く。
「ねぇ、研史さん。株がまだ上がるのか、それとも下がるのか、分かる人、例えば株式評論家とか経済評論家の知り合い居ないの?」
「そんな知り合い居ないよ。・・・あ、評論家じゃないけど株の専門家が身内に居た!」
5時、勤務終了。
研史は思う。(金河さんは体調悪いみたいだから今日、電話するのは止めよう)
そして研史は証券会社勤務の伯父さん・藤波宅に電話をかける。すると奥さんが出る。
「もしもし岡谷研史です。ご無沙汰しております。伯父さんはご在宅ですか?」
「あ、研史君。久しぶりね。今うちの人、出張中なのよ。ニューヨークに」
「いつ戻られますか?」
「日曜日の午後に帰ってくるんだけどさ、私に車で羽田まで迎えに来いって言うのよ。確かに車にはナビが付いているから迷いはしないだろうけど私は普段、車の運転はスーパーに買い物行くぐらいだし慣れていない道は走りたくないのよ」
「伯父さんに話があるんで会いたいんですよ」
「あ、研史君日曜日会社休みでしょ。一緒に羽田へ行きましょうよ。研史君が運転してくれるんだったら助かるわ」
「OKです。一緒に行きましょう」
「午後1時くらいにうちに来てくれる。羽田空港の中にフルーツサンドの美味しいお店があるから一緒に食べましょうね」




