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失踪事件 発覚

翌朝。

 教室の扉を開けた瞬間――違和感があった。

 ざわめき。

 小さな声が、あちこちで交錯している。

「まだ戻ってないって……」

「そんな……ありえないだろ……」

「連絡もつかないらしい……」

 レオンは無言で席へ向かう。

 すでに来ていたユージンが、静かに口を開いた。

「数名の生徒がまだ未帰還だそうだ」

「……誰だ」

 わずかな間。

「ニクスとミレアも含まれている」

 その名前。

 胸の奥が、わずかに引っかかる。

(……昨日、別れたばかりだろ)

 違和感を感じるも2人の安否を心配する

 その時――

 教室の扉が開いた。

 ディルクが入ってくる。

 一瞬で空気が張り詰める。

「全員、着席」

 ざわめきが止まる。

「状況を説明する」

 静かに、だが重く言葉を落とす。

「昨夜より、本校の生徒数名が帰還していない」

 誰も声を出さない。

 動揺が広がる。

「現在、失踪と判断している」

 淡々とした言葉。

 だがその中身は重い。

「外部勢力の関与も視野に入れ、昨夜から捜索隊が出てる」

 一拍置く。

「私もこの後捜索に出る…安全の為生徒諸君には待機命令を出す。」

 その一言で、空気が凍る。

「勝手な行動は一切許可しない」

 明確な命令。

「以上だ」

 短く言い切る。

 ざわめきが戻る。

 不安、焦り、苛立ち。

 だが――誰も動けない。

 その中で。

 レオンは、立ち上がった。

 椅子がわずかに音を立てる。

 視線が集まる。

「……どこへ行く」

 ディルクの声。

「…探しに行く」

 短く。

「待機命令だ」

「知ってる」

 即答。

 だが止まらない。

 数歩、前へ出る。

 教室の空気が張り詰める。

「……連れて行け」

 低く言う。

 それは命令ではない。

 だが、懇願でもなかった。

 真っ直ぐな意思。

「俺も行く」

 沈黙。

 ディルクはレオンを見つめる。

「理由は」

「……分からない」

 一瞬、視線を逸らす。

 だがすぐに戻す。

「でも、このまま待ってるのは違う」

 それだけ。

 言葉は少ない。

 だが――十分だった。

 ディルクはしばらく黙る。

 やがて。

「……規則違反だ」

 静かに言う。

「分かってる」

「危険だ」

「それでもいい」

 即答。

 迷いはない。

 さらに一歩、踏み込む。

「連れてってくれ」

 教室の空気が張り詰める。

 その時――

「私も同行する」

 ユージンが立ち上がった。

 ざわめき。

「回復役は必要だ。負傷者がいる可能性がある」

 理屈を通す。

 ディルクの視線が移る。

「……お前も規則を破るのか」

「勝手に探しに行かれるよりマシだと思います。」

 淡々と返す。

 さらに――

「私も行く」

 リシェル。

 静かな声。

「捜索なら人員は多い方がいい」

 ディルクは目を閉じ、息を吐く。

 数秒。

 沈黙。

 やがて――

「……条件付きで許可する」

 教室がざわつく。

「私の指示に絶対に従え。単独行動は禁止」

 視線が三人を捉える。

「一度でも逸脱した場合、即時帰還させる」

「……分かった」

 レオンが頷く。

「準備しろ」

 ディルクが背を向ける。

「すぐに出立する…ついてきたいなら急いで準備しろ…」

 ざわめきの中。

 レオンはその場に立っていた。

(……ミレア…ニクス)

 ユージンが隣に立つ。

「無茶をするな、と言ったばかりなんだがな」

「……悪い」

「だけどそれでも行く」

「……ああ」

 ユージンは小さく息を吐く。

「だろうな」

 リシェルが淡々と言う。

「時間がない。準備を」

「ああ」

 レオンは扉へ向かう。

 その先。

 まだ見えない場所。

 だが確実に――

 何かが起きている。

(……行く)

 止まる理由は、もうなかった。

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