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価値の無い才能4

ディルクは一歩下がる。

 教室の端へ歩く。

 そこには、訓練用の武器が立てかけられていた。

 剣、槍、木製の模擬武器。

 その中から一本、剣を取る。

 装飾のない、実用的なもの。

 それを、レオンに差し出した。

「持て」

「……これを?」

「そうだ」

 レオンは一瞬迷う。

 だが、ゆっくりとそれを受け取る。

 重さが手に伝わる。

 杖とは違う。

 だが——

(……こっちの方が)

 しっくり来る。

「振ってみろ」

 ディルクが言う。

 レオンは頷く。

 構える。

 自然に、体が動く。

 足の位置。

 重心。

 すべてが“知っている形”に収まる。

 振る。

 迷いはない。

 ——バシュッ

 同じ音。

 同じ感触。

 だが今度は——

 はっきりと“乗っている”。

 見えない斬撃が、真っ直ぐに走る。

 一直線に。

 壁へ。

 ——ドンッ!!

 さらに深く、抉れる。

 完全な静寂。

「……なるほどな」

 ディルクが小さく呟く。

 納得したように。

「媒介が違うだけか」

 レオンを見る。

 その目は、さっきまでとは違っていた。

ディルクは杖を軽く掲げる。

「これは返す」

 机の上に置く。

「だが——」

 剣を指す。

「当面は、そちらを使え」

 それは、選別だった。

 魔法の道ではない。

 別の道。

 レオンは剣を握り直す。

 さっきよりも、強く。

 横を見る。

 ニクスと目が合う。

 その表情は——

 明らかに変わっていた。

 嘲笑はない。

 軽視もない。

 だが——

 納得もしていない。

「……気に食わねえ」

 小さく呟く。

 だが、その声には重みがあった。

 それが、最初の“認識”だった。

 レオンは前を向く。

 手の中の剣。

 流れる感覚。

 まだ理解はできない。

 だが——

 この場所で、自分の戦い方が

 初めて“形”になった。

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