表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
181/233

魔鉱岩探索⑤

 転がり落ちた魔鉱岩を、ヒルデが素早く抱え上げる。


 透明な鉱石はマグマの灯りを受け、まるで夕日のように淡く輝く。


「取れたぞ!! 撤退だー!!」


 脇に魔鉱岩を抱えたまま振り返ると、ヒルデの右腕が再び変形する。


 ゴギギギ……!!


 金属音を響かせながら砲身へと変わった腕を後方へ向ける。


「道を開け!!」


 ドンッ!!


 砲撃。


 爆音と共に魔弾が飛び、迫っていたフィアーオークを吹き飛ばした。


 熱風と土煙が舞い上がる。


「おっしゃぁ!!」


 アッシュが剣を振り上げる。


「切り拓くぞレオン!!」


「わかった!! 遅れるなよユージン!!」


 レオンが前へ飛び出した。


 ユージンも息を切らしながら頷く。


「うん!!」


 杖から溢れた淡い光が仲間達を包み込む。


 疲労を和らげる回復魔法。


 焼け付くような身体が僅かに軽くなり、レオン達はそのまま魔物の群れへ突っ込んだ。


 ガギィィン!!


 レオンの剣がフィアーオークの棍棒を弾き上げる。


 そのまま踏み込み、一閃。


 赤黒い血飛沫が熱気の中へ散った。


 アッシュも横から飛び込み、豪快な一撃で別の個体を斬り伏せる。


「邪魔だァ!!」


 重い斬撃。


 巨体が吹き飛び、岩肌へ叩き付けられた。


 しかし。


 グルルルル……!!


 黒いカーバンクル達の額の宝石が妖しく輝く。


「っ!?」


 地面が唸りを上げた。


 ゴゴゴゴッ!!


 鋭い岩の棘が一斉に隆起し、レオンへ襲い掛かる。


「レオン!!」


 レイの叫び。


 だがレオンは止まらない。


 剣へ一気にマナを流し込む。


 白い光が刀身を包み込んだ。


「――ッ!!」


 真横へ薙ぎ払う。


 ドォンッ!!


 蓄積されたマナが爆発的に放出され、衝撃波となって広がる。


 襲い掛かった岩の棘が一斉に砕け散った。


 飛び散る岩片。


 その隙を、レイは見逃さない。


「はぁぁッ!!」


 しなやかな踏み込み。


 銀閃が走り、フィアーオークの胸を貫いた。


「グガァァッ!?」


「アッシュ!!」


「おう!!」


 アッシュも続く。


 身体を捻りながら豪快に剣を振り抜き、別の個体の首を斬り飛ばした。


 悪精達を切り倒しながら、レオン達は一直線に駆け抜けていく。


 次々と雪崩れ込む魔物達。


 レオンとアッシュが前線で斬り伏せ、二人の隙を埋めるようにレイの剣が閃く。


 後方からはヒルデの魔弾が飛び、接近する悪精を正確に撃ち抜いていた。


 まるで一本の槍だった。


 止まることなく。


 勢いを失うことなく。


 向かってくる敵を薙ぎ倒しながら突き進む。


 あまりの迫力に、知性の乏しい悪精達でさえ本能的な恐怖を覚えたのか、僅かに後退する個体すら現れていた。


「見えた!!」


 ユージンが叫ぶ。


 熱気の向こう。


 レオン達が降りてきた奈落の壁。


 細い足場がうっすらと見え始めていた。


「もうすぐだ!! 頑張れ!!」


 ケンジャの声が飛ぶ。


 だが。


 その瞬間だった。


 ゴバァァァァッ!!!


「っ!?」


 脇を流れていたマグマが爆ぜる。


 赤熱した飛沫が飛び散り、その中から巨大な影が躍り出た。


 ラヴァルシザー。


 マグマを纏った巨体。


 巨大な鋏が高く掲げられる。


「危ない!!」


 ユージンが叫んだ。


 咄嗟に。


 レオンとレイの背中を突き飛ばす。


「うおっ!?」


「きゃっ!?」


 次の瞬間。


 ガァァァァンッ!!!!


 巨大な鋏が岩盤へ叩きつけられた。


 轟音。


 地面が割れ、激しい衝撃が地下空洞を揺らす。


 舞い上がる土煙。


 そして。


 レオン達とユージン達の間に、巨大な亀裂が走っていた。


「ユージン!!」


 レオンが叫ぶ。


 土煙の向こうから声が返る。


「大丈夫だ!!」


 だが。


 レオン達の前にはラヴァルシザー。


 退路を塞ぐように鋏を構え、低く唸っている。


 アッシュが剣を握り直した。


「チッ……!!」


 レオンとレイも武器を構える。


 一方。


 反対側。


 ユージン達の間にも緊張が走る。


 ヒルデの表情が僅かに険しくなった。


「……っ」


 熱風に混じり、別の音が聞こえる。


 カツ……


 ズルッ……


 カツ、カツ……


 不揃いな足音。


 まるで何体もの何かが、ゆっくりと歩いてくるような音だった。


 ユージンが息を呑み、ゆっくり振り返る。


 赤く照らされた暗闇。


 揺らめくマグマの光の中。


 そこに――。


 赤い瞳が浮かんでいた。


 一つではない。


 二つ。


 三つ。


 いや、それ以上。


 低い唸り声。


 岩肌を擦る爪の音。


 暗闇の奥から、新たな魔物達が姿を現す。


 ゆっくりと。


 だが確実に。


 ユージン達へ近づいてきていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ