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ケツァルコアトル 襲撃

「レオン!!」

 ファルガの声が飛ぶ。

 だが――

 レオンは止まらない。

 一直線に、ガリューンへと踏み込んでいく。

「チッ……!」

 舌打ちひとつ。

 だが次の瞬間、状況は一変した。

 ガサガサガサッ――!

 霧の中から、一斉に影が躍り出る。

「来るぞ!!」

 ニクスが叫ぶ。

 ガロウの群れ。

 四方八方から、ドームを中心に襲いかかる。

 完全な包囲。

「数が……!」

 ユージンが息を呑む。

 だが、前に出る影が一つ。

「下がってろ」

 ファルガだった。

 そのまま、群れの中へ踏み込む。

 ――速い。

 一閃。

 二閃。

 三閃。

 視認するより先に、ガロウが断たれていく。

 無駄がない。

 的確に、急所だけを斬り裂く。

 だが――

(多い……!)

 数が減らない。

 次から次へと、押し寄せてくる。

 一方、ドーム内部。

「……!」

 リシェルが手をかざす。

 氷の槍が生成され、外へと放たれる。

 ガロウを撃ち抜く。

 だが、

 次の瞬間、別の個体がドームへと体当たりを仕掛ける。

 ドンッ!!

 衝撃。

 氷が軋む。

「……っ」

 リシェルの表情が、わずかに歪む。

 すぐに魔力を集中。

 ドームの厚みを増す。

 防御を優先。

(……攻撃に、回せない)

 手数が足りない。

 守るので、精一杯。

 その隙を突くように――

「……甘い」

 グラナスが動いた。

 一直線。

 槍を構えた突進。

 狙いは、ドームそのもの。

「ッ!」

 ユージンが身構える。

 だが――

 その前に。

 ギィンッ!!

 火花が散る。

「悪いな」

 ファルガが、そこにいた。

 一瞬で割り込み、槍を弾く。

 勢いを殺され、グラナスの体勢が崩れる。

「ニクス!」

「任せろ!」

 すでに動いている。

 両手を突き出し、

 ゴォッ!!

 一直線に放たれる火炎。

 グラナスを飲み込む――はずだった。

 だが、

「……無駄だ」

 グラナスは槍を前へ突き出す。

 そのまま回転。

 グルグルと高速で回る槍。

 埋め込まれた青い魔石が、強く発光する。

 次の瞬間――

 水が、渦を巻く。

 盾。

 渦状の水の防壁が展開される。

 ゴォォッ!!

 炎と水がぶつかる。

 激しく蒸気を上げながら――

 炎は、かき消された。

「はっ、便利なもん持ってんな!」

 ニクスが歯を食いしばる。

 その背後。

 デミラが静かに弓を引いていた。

 狙いは――

 ファルガ。

「……もらい」

 放たれる矢。

 今度は先ほどとは比べ物にならない。

 業火。

 矢の先端から、爆発的な炎が噴き出す。

 一直線に迫る。

 回避は――間に合わない距離。

 だが。

「——なんの!」

 ファルガは動じない。

 すぐ横にいたガロウ。

 その脚を掴む。

 そのまま――

 投げた。

 ブンッ!!

 無造作に、盾代わりとして。

 次の瞬間。

 ドォンッ!!

 業火の矢がガロウに直撃。

 突き刺さり、

 爆ぜる炎。

 ガロウの体は、一瞬で焼き尽くされ――

 消滅した。

 炎の残滓だけが、空中に漂う。

「……チッ」

 デミラが舌打ちする。

「ほんと、やりにくいなアンタ」

 ファルガは何も言わない。

 ただ、刀を構え直す。

 周囲には、まだガロウの群れ。

 そして――

 奥には、三人の敵。

 戦況は、依然として劣勢。

 だが――

 崩れてはいない。

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