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ケツァルコアトル 魔弓

ミレアの言葉が落ちた直後。

 わずかな沈黙。

 それを破ったのは――

「……ふーん」

 デミラだった。

 細めた目で、じっとミレアを見る。

 まるで獲物を観察するように。

「探知魔法ってところか」

 口元が、わずかに歪む。

「ご明察」

 軽く肩をすくめる。

「その通りだよ。これは――魔導士から作られた“魔石”さ」

 弓を、軽く掲げる。

 埋め込まれた赤い石が、不気味に光る。

「こいつがあれば、戦士であるあたしらだって魔法が使える……」

 楽しげに言いながら、

「例えば——」

 弓を引く。

 ギィィン……

 機械的な駆動音。

 石が、脈動するように輝く。

「こんな風に」

 放たれた矢。

 一直線に飛び――

 その瞬間、先端から炎が噴き出した。

 燃え上がる矢が、ミレアへと向かう。

「ッ!」

 ユージンが身構える。

 だが、その前に。

「……チッ」

 ニクスが一歩前へ出た。

 氷のドームの前。

 腕を横に薙ぐ。

 次の瞬間――

 ゴォッ!!

 扇状に広がる炎。

 ぶつかり合う火と火。

 爆ぜるような衝突のあと、矢は完全に焼き消された。

 煙が、揺れる。

「……胸糞わりぃな」

 ニクスの声は低かった。

 明確な怒り。

 隠そうともしていない。

「へぇ……」

 デミラが笑みを浮かべる。

「やるじゃん」

 だが、表情に焦りはない。

 ただ面倒そうに肩を回す。

 その空気を断ち切るように――

「……何者だ、お前ら」

 ファルガが一歩前へ出た。

 刀を構えたまま。

「目的はなんだ」

 静かな問い。

 だが、芯は重い。

 それに対し、

「……知る必要はない」

 ガリューンが冷たく返す。

 視線すら向けない。

 完全な拒絶。

 その瞬間。

「答えろよ!!」

 レオンが一歩踏み出した。

 声を張る。

「お前ら……セイルの仲間か!?」

 その名に――

 ガリューンの動きが、わずかに止まった。

 ゆっくりと、視線が向く。

「……なるほど」

 目を細める。

「セイルが取り逃したとか言っていた……例の“レア者”か」

 低く呟く。

 そして、

「……どいつもこいつも」

 言葉に、明確な棘が混じる。

「貴様のような……才に恵まれた者が」

 一歩、前へ。

 握る剣に、わずかに力がこもる。

「持たざる者の気持ちなど……分かるわけもないだろうな」

 吐き捨てるように。

 そこにあるのは、怒りでも誇りでもない。

 ――歪んだ劣等感。

 こびりついた憎悪。

「……は?」

 レオンの眉が歪む。

「何、訳わかんねぇこと言ってんだよ」

 一蹴。

 迷いはない。

「勝手に決めつけてんじゃねぇ」

 そのまま、踏み込む。

「答えろって言ってんだよ!」

 地面を蹴る。

 一気に距離を詰める。

 剣を構え――

 斬り込む。

 戦闘が、再び激しく動き出した。

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