#9 叔母の親友との秘密の会話
二人の酒盛りは深夜一時過ぎまで続いた。最終的には叔母がダウンしてテーブルの上に突っ伏して寝てしまった。
美智子さんは一人だけになったからか、静かに残りのワインを味わっていた。僕は彼女のアルコールの耐性の強さに驚きつつグラスや空瓶を片付けていた。
「智くん、ありがとね。こんなオバさんの愚痴に付き合ってくれて」
「いえいえ、元気になってくれて嬉しいです」
僕はキッチンに向かおうとすると、美智子さんに「明日、学校とかあるの?」と聞いてきた。
「いえ、休みですよ」
「じゃあさ、冷蔵庫から好きな飲み物持ってきてさ、一緒に飲まない?」
「いいですよ。じゃあ、これを置いたら行きますね」
まさか美智子さんから飲みの誘いを受けるなんて。嬉しさのあまり持っているおぼんを放り出してしまいそうだったが、逸る気持ちを抑えてキッチンに置くと、冷蔵庫からグァバジュースとコップを取り出して向かった。
「お待たせしました!」
「おぉ〜! やる気満々だね! いいね!」
「それじゃあ……乾杯」
「うん、かーんぱ〜い!」
控えめに注いだグァバのグラスと溢れそうなほど満たされた白ワインのグラスが重なった。美智子さんは一息で飲み干した。とても大量にアルコールを摂取したとは思えないほど良い飲みっぷりだった。
「うーん、おいし♡ おかわり!」
「凄い飲みますね。アルコールにはお強いんですか?」
「うん、そうそうそう! 昔っからだね。もちろん二十歳越えてからだけど……その頃からガバガバと浴びるように飲んでたね」
「そうなんですね」
「けど、マナちゃんは弱かったね。今はそこそこ飲めるようになったけど、昔は少しだけ飲んだらバタって倒れるくらいだったもん」
「へー!」
叔母の昔の話が聞けて嬉しいなと思って一口飲むと、美智子さんが「彼女とかいるの?」とグラスを回しながら尋ねてきた。
「いえ、いないですね」
「じゃあ、好きな子は? いるの?」
「うーん、良い子がいなくて」
「そうなんだ……恋愛には興味がない感じ?」
「えーと、うーんと、そういう訳では……」
「そっか」
美智子さんは空のグラスを差し出してきたので、僕は慌てて注いだ。角度のせいか、彼女の胸元が視界に入ってしまった。
こちらも叔母とは違って緩やかにくだる谷間に釘付きになりそうだったが、前回の二の舞いだけは避けようとサッと視線を逸した。
「ありがと。智くん」
美智子さんは妖しそうな笑みを浮かべて一口飲むと、静かに置いた。
「じゃあ、エッチな事には興味があるの?」
思わぬ質問に僕は動揺してしまったが「あ、あんまり」とすぐに答えてグァバジュースに口を付けた。
「ふーん、じゃあさ、なんで私の胸を見てたの?」
危うく噴き出しそうになり咳き込んでしまった。美智子さんは「大丈夫?」と背中を擦ってくれるが、その際谷間が近くまで迫っていたので何とか逸らそうと必死になっていた。
「ほら、また逸した」
まるで弄ばれているかのように耳元で指摘すると、少しだけ離れて目を合わせた。
「正直に言って。興味ある? ない?」
「……実は……あります」
このまま隠しても良くないなと思った僕は本心を述べると、美智子さんは「やっぱり」と勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「マナちゃんのも見てたでしょ?」
「え? あ? うーん……」
「大丈夫だって。マナちゃん、朝まで起きないタイプだから……この話は私と智くんだけの秘密♡ ね?」
「わ、分かりました……えっと、はい。がっつり」
「だよね! エロいって思った?」
「え、う、うん……はい」
「そうだよね……」
ここで何故か僕の答えを沁みるように感じたのか、グラスを一口付けた。
「私が智くんの歳だったら、毎日ムラムラしっぱなしだと思う。マジで答えて欲しいんだけど……マナちゃんでオナニーしたことある?」
禁断の質問が来てしまった。僕の身体はたちまち硬直してしまった。それを見抜いていたのか、美智子さんは蠱惑的に微笑みながら前かがみになった。
「もし答えてくれたら良いことしてあげる♡」
「い、良いこと?」
「そう。良いこと♡ これ以上は……分かるでしょ?」
美智子さんは身体を小刻みに揺らして、胸の官能的な動きを強調させていた。僕はつい唾を飲み込んでしまった。
言うべきか言うまいか――背後にいる叔母を振り向いて寝息を聞いた後、美智子さんと目を合わせた。
「……はい」
「いつから?」
「ちゅ、中学生からです」
「そっか。今もしてる?」
「え、えぇ……たまにですけど」
「そっか……大変だよね。マナちゃんの妖艶なボディに欲情して、その捌け口が自分の手だけなんて……」
彼女はそう言って僕の腕を掴むと、自分の胸を押し付けてきた。不意の触感に危うく心筋梗塞を起こしそうになった。
「み、美智子さん?! な、なにを……」
「智くん、日頃から溜まってるんでしょ? だから、私が慰めてあげる♡」
美智子さんは妖しく笑むと、さらに強く押し付けてきた。下着の硬さとそれでも分かるくらい大きさと弾力の刺激が僕の手を通じて脳に撃たれた。
彼女の身体から漂う酒気が僕を惑わし、欲情を起き上がらせた。




