#40 楽しい日々
そんなこんなで夢のテーマパークに辿り着いた。美智子さんと叔母さんは女子高生みたいにはしゃいでいた。僕も小さい頃に戻ったようにパークの中を進んでいった。
本当に幸せな時間だった。美智子さんは思っていたより絶叫が苦手で、僕と一緒に乗ったはいいけど、しっかりと腕を掴んで離れなかった。
叔母も普段の十倍ぐらいは弾けていた。お気に入りのキャラクターを発見すると周りの目も気にせず突進するかの如く向かっていた。僕はカメラマンに徹していた。着ぐるみと写真を撮る時、職業病が出るのか、まるで雑誌の表面に乗るかのようにかっこよく決まっていた。
※
まだまだ遊び足りないが、旅行はまだ始まったばかりなので、今日はこれくらいにしてホテルに戻った。ホテルも一種のテーマパークみたいだった。まるでショッピングモールみたいに買い物に行ったり、ゲームセンターで遊ぶ事ができた。
叔母と美智子さんは服で買いたいものがあるらしいので、先に部屋に戻るか、どこかブラブラ見てていいよと言われた。ホテル内だったら迷子にならないからそう言ったのだろう。
僕は部屋に戻る方向に進みながら商品を見ていると、見覚えのあるシルエットが現れた。一瞬他人の空似かなと思った。まさかこんな場所で出くわすなんて思わないからだ。
しかし、段々近づいていくと、その人は僕を見ると手を振って近づいてきた。
「やぁ、智くん!」
神谷さんだった。いつの間にか、下の名前で呼ぶようになっていた。
「神谷さん? どうしてここに?」
「たまたま友人と一緒に泊まっていたの。でも、本当に偶然ね」
神谷さんはそう言って僕の隣に歩いた。せっかくなので、二人で話しながら部屋に戻る事にした。
「あなたの叔母さんは?」
「友人と一緒に買い物に」
「そうなんだ〜! 今日はどこのエリアに行ったの?」
「SFの所に行きました」
「あれ、いいよね〜! 銃でエイリアンを撃ちまくるアトラクションは最高だよね!」
神谷さんはまるで友人みたいに親しげに話しかけるようになっていた。僕は改めて彼女の事が不思議に思えてきた。偶然とはいえ、こんなにも頻繁に会う事はあるのだろうか。何か運命的なものが絡んでいるのかもしれない。
※
神谷さんと別れて、部屋でスマホゲームをしながら待っていると、誰かがドアをノックしてきた。開けてみると、叔母と美智子さんだった。
二人ともかなりの買い物をしてきたみたいで、両手が塞がるほど紙袋を持っていた。僕も手伝ってあげると、叔母と美智子さんは上機嫌に他愛も無い話に盛り上がっていた。
部屋の中でゲームをしたり、豪華なビュッフェに舌鼓したりとバカンスを満喫していた。不思議なことに性的な気分にはならなかった。それは四連続止まっても同じだった。きっと夢のテーマパークの魔法的なものがかかって、そういう気分をさせないようにしているのだろう。
だが、それがないからといって僕の旅行の楽しみが半減することはなかった。そんなこんなで最終日になった。




