#19 叔母との愛が深まる
僕は開いた口がふさがらなかった。まさか叔母がそのような事を言うとは思わなかった。
「え? なななななんで? どうして、そうなるの?」
「このまま放っておいたら、女遊びが激しくなりそうだから、そうなる前に教えとこうと思って」
ますます混乱した。というか、『教える』ってどうやってやるんだ。
「え、AVとかを一緒に観賞するの?」
「そんな訳ないでしょ。第一あれの大半は演出で本当のセックスとはかけ離れているわ」
「じゃあ、春画でも見せてくれるの?」
「いつの時代の話よ。そうじゃないわ……」
叔母はなぜかシャツの第一ボタンを外した。僕は頭の片隅では理解していたが、理性がそれを忌避するかのように分からないフリをしていた。
しかし、現実が迫ってきた。叔母は前屈みになり今までにない女豹のような眼光を煌めかせて、僕に忍び寄るように近づいてきた。
「私が手解きをしてあげるってこと……」
叔母と僕との距離が目と鼻の先まで来た。普段だったら少しドキッとしてしまう感じだが、今回は蒸気機関車のボイラー並に鼓動が激しかった。
「最初のレッスンは雰囲気が大事……お互いしたいかどうかを目で判断するの。私を見て。瞳の奥まで……」
彼女の幻想のような声色に僕は自然と視線を動かして見つめ合った。そんなに深く読み取らなくても、叔母は覚悟を決めているみたいで揺らぎがなかった。
「いいの?」
そう尋ねても、叔母は少し呼吸が荒くなっただけで、何も返って来なかった。どうやら本当に目で回答しなければならないらしい。僕は唾を飲み込んで、叔母と見つめ合った。互いの心情が一つになった気がした。磁石みたいに互いの唇が近づいていく。
最初に衝突したのは叔母の方だった。
*
「ありがとう。叔母さん。僕は、叔母さんとエッチが出来て良かったよ」
僕はそう言って叔母に抱きついた。 叔母は「私もよ」と頭を撫でてくれた。
タイミングを合わせる事もなく自然と目があった。僕と叔母は吸い込まれるように互いの顔が近づいていって、何度目かの唇を重ねた。
洗面所で歯磨きを終え、僕らは叔母の部屋に向かった。美智子さんが疲れて眠ってしまったのか、床の上で寝ていたのでソファまで運んで布団をかけた。
それが終わると、叔母の部屋に戻って一緒のベッドに入った。もちろん、エッチな事はしなかったが、叔母のパジャマ越しでも分かるくらい大きな膨らみは至近距離で見るとかなりの迫力だった。
僕の視線がすぐに分かったのだろう、叔母は呆れたように溜め息をついた。
「もう見過ぎよ。まさかまたして欲しいとか言うんじゃないでしょうね」
「いや、もう、さすがに……でも、本当に楽しかった」
「私も久しぶりに出来たから……うん、なんか若返った気がする」
「またしたくなったらしてもいい?」
僕がそう聞くと、叔母は「うーん」と渋い顔をした。
「さっきのは智に正しい性知識を得るためにやった事だから……」
「じゃ、じゃあ、また教えて! 僕、もっと正しいエッチの仕方を知りたい!」
僕はベッドから上半身だけを起きあがらせて熱意をぶつけた。が、叔母は「うーん、でもなぁ」と眉間に皺を寄せた。
「そっか。そうだよね。わがまま言ってごめんなさい」
駄目か――と諦めて再びベッドに横になった。背を向けて。
「彼女が出来るまでの間、だったらいいよ」
すると、突然思いもよらぬ提案をしてきた。僕は寝返りして叔母の顔を見た。
「え? いいの?」
「彼女が出来るまで、ね。でも、毎日はやらないわよ。私がオーケーを出したら……ね?」
「うん、約束する! ありがとう、叔母さん! 大好き!」
僕は嬉しさのあまり、ダイブする勢いで叔母に抱きついた。顔全体が柔らかいクッションに包まれているみたいで、とても寝心地が良かった。
「もういつまでも甘えん坊なんだから……」
叔母は呆れたような言い方だったが、その声は母性のある柔和な声色だった。ソッと僕の頭に叔母のしなやかな指先があたり、愛でるように触りながら子守唄を歌ってくれた。
これほどに叔母からの愛を感じた事はなかったので、本当に赤ちゃんにでもなったかのような心地で叔母の歌声を聞きながら眠りについた。




