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20話:霧崎先輩とある約束を交わしていく

 俺はそれからも先輩の愚痴をひたすらと聞いていった。


「……って事で本当に酷い彼氏だったわ。はぁ、全くもう……」

「いや本当にお疲れさまですね。でも先輩は全然悪くないですし全然気にしなくて良いですよ」

「あはは、そう言ってくれると助かるよ。本当にありがとね」


 霧崎先輩は最初の方はしんどそうな感じだったけど、でも鬱憤をまとめて吐き出した事によってかなりスッキリとした顔になっていた。


 それだけでも俺は先輩の愚痴をひたすらに聞いてあげて良かったなと思った。


「いえいえ。まぁでも世の中には良い男の人も沢山いると思いますし、こんな事でめげずにこれからも頑張っていってください。それに先輩は優しい人ですし必ず次はもっと良い男の人と出会えますよ!」

「あはは、慰めてくれてありがとね。まぁでも今回の彼氏は流石に地雷男過ぎたし、しばらくは彼氏とかはいいかな。しばらくは独り身を楽しんでいくとするよ」

「そうですよね。まぁでもそれじゃあしばらくは友達と遊んだりとかして気分をリフレッシュさせていってくださいよ。愚痴とか溢したい時はいつでも俺が聞きますからね!」

「ん、そうだね。そう言ってくれてありがと、王子君。んく、んく……」


 そう言って霧崎先輩はまたジュースをごくごくと飲み始めていった。


「んく、んく……ぷはぁ。ふふ、それにしても君は何だか不思議な男の子だよね。私みたいなゴリゴリのギャルに物怖じせずに話してくれるんだからさ」

「え? 霧崎先輩に物怖じせずって……どういう事ですか?」

「んー、いやまぁそのさ……私みたいな恰好って男子受けあんまりしないんでしょ? だから話しかけるのとかちょっと怖かったりするかなって思ったりしてさ」

「は、はい? いやそんな先輩が怖いとかは別に……って、どうして先輩はそんな事を思うようになったんですか?」

「いや実は昨日元カレに“お前のそのギャルな見た目は威圧されてるような感じがするから一緒に外を歩きたくない”って言われちゃったんだよね。それが正直結構ショックだったんだよねぇ……」

「い、威圧? 元カレにそんな事言われたんですか?」

「うん、めっちゃ言われたよー。まぁ威圧感があるってのは私もそう思うし、そういう所がカッコ良いと思ったからこそ私はこういうギャルの恰好とかファッションをしてるんだけどさ……でもやっぱり私の好きなものをそんな直接的に非難されるのはキツイよね。あはは……」

「先輩……」


 霧崎先輩はちょっと寂しそうな笑みを浮かべながら俺にそう言ってきた。俺はそんな寂しそうな先輩の表情を見てちょっとだけ切ない気持ちになっていった。


(どう考えても自分の好きなファッションとか見た目を否定されるのは滅茶苦茶に辛いよな……)


 そして俺は先輩がさっきまで一人でベンチに座って寂しそうにしていた理由がようやくわかった。元カレに振られたのが悲しかったというよりも、先輩の好きな物を思いっきり否定されたから悲しかったんだな……。


 そしてそれに気が付いた俺は、先輩に元気になって貰いたいと思ってすぐにこんな事を言っていった。


「……いや、先輩はさっきそのファッションは男受けしないって言ってましたけど、でも俺は先輩のそのギャルファッションは凄く大好きですよ! というか先輩の事を俺はいつもすっごいオシャレな女子だなーって思ってますからね! 今日のスカジャンだって凄くカッコ良くて似合ってますよ!」

「え? 王子君? ほ、本当に?」

「はい、もちろん本当ですよ!」


 先輩はキョトンとした表情でそう言ってきたので、俺は本心からそう思ってると全力で伝えていった。


 すると先輩はちょっとだけビックリとした表情をしながら続けて俺に向かってこんな事を言ってきた。


「え、えっと、それってお世辞とかじゃなくて? 本当に王子君の目から見て似合ってるかな?」

「はい、もちろんお世辞なんかじゃないですよ。そもそも俺はずっと田舎に住んでたんで、先輩みたいなオシャレなギャルを見たの初めてだったんです。こんなにも凄くオシャレで出会った頃からずっと尊敬してます!」


 そもそも俺は先輩の事は最初から凄くオシャレな女の子だなってずっと思ってたんだ。ド派手なスカジャンをいつもオシャレに着こなしてるし、こんなの普通に尊敬するよな。


「……ふふ、そっかそっか。私のスカジャンとかギャルメイクを見て純粋にそう褒めてくれるのは王子君が初めてだなー。よし、それじゃあそんな優しい事を言ってくれる王子君には棒キャンディをあげよう。今日は何味が良い?」

「ありがとうございます。それじゃあコーラ味ください」

「ん、りょーかい。それじゃあ、はいこれ」

「ありがとうございます!」


 そう言って先輩はポケットの中からコーラ味の棒キャンディを取り出して俺に渡してきてくれた。俺は感謝を伝えてから早速その棒キャンディを口に咥えていった。


「先輩に貰うようになってこの棒キャンディを食べるようになったんですけど、これめっちゃ美味しいですよね。というか何で先輩はいつも棒キャンディを持ち歩いてるんですか?」

「うんうん、本当にこのキャンディ凄く美味しいよねー。いや実は私甘い物が好きだからさ、ついついポケットの中にキャンディを入れちゃってるんだよね。ほら、女の子一人でスイーツ屋さんとか行くのちょっと恥ずかしいからさ、だからこうやって甘いキャンディを一人でコッソリと舐めてるってわけよ」

「え? って、あ、そっか」


 先輩は恥ずかしそうに笑いながらそんな事を言ってきた。俺はそれを聞いてちょっとだけビックリとしたんだけど、でもすぐにある事を察した。


(そうか。貞操逆転世界だからそういう認識も逆転してるのか)


 どうやらこっちの世界では甘い物が大好きなのは男子の方が大多数になっているようだ。という事は女子だけでそういうお店に入るのはかなり勇気がいる行為なんだろうな。


 だって元の現実世界でも男一人でパンケーキ屋さんとかスイーツ系のお店に行くのはかなり勇気いるしさ……。


 そして俺はそんな先輩の話を聞いてとある事を思いついた。なので俺はすぐにそのとある事を先輩に提案していってみた。


「なるほど、先輩は甘い物が好きなんですね。あ、そうだ。それじゃあ良かったら今度一緒に甘い物でも食べに行きませんか?」

「え、甘い物? おぉ、それは何だかとっても魅力的な提案だね? もしかして王子君も甘い物は好きな感じなのかな?」

「はい、俺も甘い物は大好きですよ。それに俺は今まで田舎住みだったからオシャレなスイーツ屋さんみたいなのは一つも無かったので、そういうお店に行ってみるのがちょっと夢だったんですよ。だから甘い物好きな先輩と一緒に良かったらそういうお店に行ってみたいです!」

「おー、そっかそっか! そんな提案をしてくれるのは私としてもすっごく嬉しいなー! 女の子一人でそういうお店に行くのって結構勇気いるからさ、だから王子君がそう言ってくれるのは凄く嬉しいよ!」


 先輩は先ほどまでの寂しそうな表情から一転してとても嬉しそうな表情をしながらそう言ってきてくれた。


「よし、それじゃあ是非とも今度一緒にケーキ屋さんでも行こうよ! あはは、それでこうなったら久々にやけ食いでもしようかなー!」

「あはは、それは凄く面白そうですね。それじゃあ俺も先輩のやけ食いに付き合うんでいつでも言ってくださいね!」

「うんうん、ありがと、王子君! ふふん、それじゃあ王子君のために都会っぽいオシャレなケーキ屋さんを探しておくから楽しみにしておいてね!」

「はい、わかりました!」


 こうして俺は霧崎先輩と一緒に今度ケーキ屋さんに行くという約束を交わしていったのであった。


 まぁ何はともあれ先輩が悲しそうな表情から一転してとても楽しそうに笑みを浮かべていってくれるようになったので本当に良かった。


 そして俺としても仲の良い霧崎先輩と一緒にケーキ屋さんに行けるのは凄く嬉しい事だ。という事で今から先輩と一緒にケーキ屋に行ける日が凄く待ち遠しいな!

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