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不老双子の死に場所探し  作者: マリー@海老
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国境越え

~アルフォント王国国境付近~


警備をしている兵士の声に俺とフェルノは聞き耳を立てる


「よし、21時少し前だな 警備交代しに行くぞ」


「ああ 魔物を放ってから行くぞ」


「そうだったな」


そういった兵士の一人が灰色の直方体の箱を取り出す。


見た目は手のひらサイズの金属の箱のような物だ。


兵士はその箱を地面において、たったまま箱に手をかざし何か唱え始める


だがこちらからは遠くて聞き取れない



兵士が口を閉じると箱が淡く白に光り出して、同時に「グルルル」という低いうなり声も聞こえた


多分このうなり声をあげているのが兵士の言っていた魔物だろう


やがて箱がまばゆい光を放ち始めて、箱と国境の壁の間に結界のようなものが張られる


それと同時に箱からライオンのような魔物が現れた


その様子を結界の外から兵士二人が眺めている



「なあ、たった2人の人間にここまでする必要あるか?」


兵士が話し始める


「お前知らないのか 『殺戮の双子の悪魔』の話を」


「? なんだそれ?」


「ほんとに知らないのか……… まあ教えてやる

はるか昔神々から強大な力と永遠の命を授かった双子が居た。 その双子は 何百年もの間この国の戦力として戦ってきたが、 ある日 双子の兄の方がこの国の兵士百何人をも 一瞬のうちに殺害した その罪から 城の 地下牢に 厳重な警備をつけて 幽閉していたが 40年前、見張りの兵士の裏切りによって脱獄したという話だ」


「あー なんか聞いたことある気がする でも何で今になって警備を強化するんだ?」


「それなんだが、まあ弱ってる状態で40年も目撃証言が無かったからもう死んだと思われてたんだが 最近になってこの国の国民の何人かに闇の魔法が使われた痕跡があるのが発見されたんだ」


「それが双子に何か関係あるのか」


「闇の魔法は常人が持てる力じゃないんだ だが神から力を授かったのなら持っていてもおかしくないってことでまだ生きてるんじゃないかっていう説が出てきて警戒を強めていたんだ。そしたら双子の弟の方を町を巡回してる兵士が見つけて 捕まえられなかったんだが生きてることが分かったんだ」


兵士の話を聞き俺は横にいるフェルノに無言で「お前のせいでこんなめんどくさいことになったのか」という圧をかける 確かに兵士の言う通りフェルノは闇の魔力を持っている、喋らなくても意思疎通ができるし、記憶の改ざんとかもできるから便利だと思ったんだがこんなところで阿多になるとはな


「まあいい交代しに行くぞ」


兵士達が離れていく あの魔物を倒さないと国境の壁を越えるのは難しそうだな


いつでも引き抜けるように腰に指している剣に手を添える 


フェルノは俺の準備が整ったのを確認すると「行くよ」と合図を出した


フェルノの合図とともに俺達は物影から飛び出す


「グオッ」


魔物がこちらに気づき大声を上げようとする


『風よ 我が魔力を糧に 空気の動きを止め眼前にいる我が敵の声を封じよ』

《ウィングサイレント》!


風の魔法で声を封じる 魔物は悔しそうにうなり声をあげて高速でこちらに突進して来る


「くっ」


この速さでは避けられない 俺は防御力がほぼないからまともに食らったら多分即死だ


「フェルネ危ない!」 

『大地よ 我が魔力を糧に 巨大な腕となり眼前の敵を捕らえよ』

《アースアーム》 


「グワッ」


フェルノが魔法を唱えると、地面から巨大な土の腕が生え魔物を捕らえる


「今だよ! やって!」


後方からフェルノの声が聞こえる


「はぁっ」


腰から剣を引き抜き振り上げて力一杯魔物に向かって振り下ろす


魔物の首がちぎれ血が飛び散る


「そんなに強くなかったねこの魔物」


フェルノはそう言って鞄から試験管を取り出す


「それ、どうするんだ?」


フェルノに近づき声をかける


「あ~ この魔物の血、珍しい薬の材料になるから」


そう言ってフェルノは器用に魔物の血を試験管に流していく


「よしっあんまり時間も無いから 早く行こ」


「おい! お前たち両手を挙げろ!」


言いかけたフェルノの声を戻ってきた兵士の声がかき消した


「チィ 来やがったか。ぐはっ」


逃げようと方向転換しようとした俺の肩に兵士の魔法であろう水の刃が貫通し、血が吹き出る


「くっ」

『光よ 我が魔力を糧に 我の身体に残りし傷を癒やせ』

《ライトヒール》


肩の傷が見る見るうちに塞がっていく


ようやく歩けるようになると、フェルノの腕をつかんで走り出そうとしたとき


フェルノは兵士に向かって殺気を放っていた


「フェルネを傷つけるとは相当の覚悟があるようだね」


久しぶりに本気を出せるよ そういったフェルノの周りに黒い煙が立ち込め咳き込む


再び見えたフェルノの頭には赤黒い大きな角が二本生えていた

 

「半竜化を使ったか……」


俺達の父は”怒竜”と呼ばれる四大竜種の1柱だ


竜の血を引いているからとはとはいえ竜の力が使えるわけではない、膨大な憤怒の感情を引き出すことで竜の力の一端が使えるようになる


ただ俺の場合はこの力を引き出すときに憎悪の感情に支配されて、ただ殺戮を繰り返す化け物になってしまう


それに対しフェルノは感情の制御が上手く、半竜化をしても暴走しない


半竜化状態の時は竜のような赤黒い角としっぽが生え、魔力と身体能力が向上する


それに加えてフェルノの場合は防御力、俺の場合は攻撃力が大幅に上がる


そんなことを考えている間に兵士が3人に増えていたがフェルノは善戦していた


「兵士にしてはなかなかしぶといな~ 仕方ない」

『闇よ 我が魔力を糧に 眼前の敵の力を奪い我が物にせよ』

《ダークエナジードレイン》


そう唱えたフェルノは右手に黒煙をまとらせ兵士の1人に殴りかかる


「この程度… くっ ちっ力が奪われた!?」


兵士の1人が膝を付いて倒れる


「フェルノ! 余計な面倒ごとを起こすな! とっとと逃げるぞ!」


「えー まあフェルネが言うなら仕方ないか ちょっと記憶を奪わせて貰うよ」

『闇よ 我が魔力を糧に 我が敵の記憶を奪え』

《ダークメモリーイレイサー》


3人の兵士がバタリと倒れ、その頭から紫色の霧が出てフェルノの手に収まる


それと同時にフェルノの角や尻尾が黒いもやとなって消える


もやが晴れるとフェルノの青い瞳が近くのランタンに照らされて、オレンジ色に煌めいていた


「お前の瞳はいつも綺麗だな」


そんな俺の言葉にフェルノは振り向き笑う


「戦いの後はいつもそう言うね」


「まあな、と言うか早く国境をこえるぞ 追っ手が来たら面倒だ」


「うん 行こう!」


フェルノは俺に近づき手を取って歩き出す


「ああ」


それにつられて俺も歩き出す、この先の国の話をしながら



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