右腕に華、左腕に血みどろ野郎
「マーキュリーさん。なんでここに!?」
「・・・・はて?私、名乗りましたか?」
しまった!!
「あー、いや、その、私一度見たことがあって・・・」
一度どころじゃなくて、お茶したこともあるんですけど・・・・
『おい!!』
「ッ!!」
ドスンドスンと、先ほどの揺れのインターバルが短い揺れ・・・というか――
私は今一度、巨人の方に視線を移す。
――巨人が動き出した!?
しかも、足の角度的に向かっている先は――
「マーキュリーさん!!」
私は、一瞬で踏み込み、蹴り、マーキュリーさんの元へと駆ける!!
「きゃっ!!」
そのまま、マーキュリーさんを右腕で抱えながら、駆ける!!
ごめんなさい。マーキュリーさん。
とにかくここを離れないといけないんです!!
駆ける!駆ける!!
それでも、あの巨人は追ってくる!!
しかも、さっきよりも断然早い!!
クッソ!ちぎれない!!
『おい、この先って・・・』
「??・・・・・あっ!!」
忘れてた。この先には・・・・さっきの騎士がいるんだった!!
「大丈夫ですか!?重くないですか!?」
「いえ。マーキュリーさん、意外と軽いんですねっって!そんなことは今どうでもいいんですよ!!」
この鎧の効果もあって妖精族は綿菓子並に軽いとかどうでもいいよ!!今は!!!
今は、あの騎士を回収、より安全なところにマーキュリーさん共々送って、あの巨人を何とかしないといけない!!
・・・見つけた!!割と離れてた。
「おい・・・ちょまっ・・・」
「黙って!!今大変なの!!」
騎士野郎を左腕に抱えて、さらに駆ける!!
「・・・・すいません。・・・って、イブリス商会のマーキュリー支配人!?」
「・・・・ど、どーも・・・」
「二人とも、私の両腕で喋らないで」
「「・・・・すいません」」
クッソ、妖精族と違って騎士がめっちゃ重い!!
『妖精族=綿菓子』なら『騎士=冷蔵庫』ってくらい重い!!
「さっさと倒さないと、私の腕が持たない!!」
「アレ・・・・普通の人間が倒せるもんじゃねぇ!!」
「・・・同感です」
「そんなことない!!カイリキ君と一緒でどこかに水晶が――」
「水晶・・・・俺見たかも・・・」
今なんて!?
「本当!?」
「ああ・・・・多分な・・・・」
「多分は困る!!」
「・・・・覚えている限りじゃ・・・ある」
良し。確証を得た。これで勝てる!!
―――――
駆ける!駆ける!!駆ける!!!
私は駆ける!!
今からやることに比べれば、軽い!!
それに・・・・準備運動にはちょうどいい!!
「ちょ、ちょ、ちょ!!」
「まぁ、まっってくだひゃい!!」
両脇の二人がなんか言っているけど、何も聞こえない!!
巨人の速度はさっきとほぼ同じ。
おそらくここが限界点!!
離せるだけ、離す!!
そのまま二人を抱え込んだまま、私は路地裏に入る。
ここで、壁キック!!
「ウェ!?」
「えぇぇええ!?」
タタタタン――リズミカルに登る!!
パルクールやっててよかった!!
建造物の屋上に到着。
私はガラス細工のように丁寧に二人を下ろす。
「二人はここにいてね」
「うぇ!?」
「どうするんですか??」
「ぶっ飛ばしてくる!!」
私は親指を立て、建造物から飛び降りる。




