痴女
律ちゃんって羞恥心あるんですかねぇ?
いわゆる「好きな人にのみ羞恥心がある」タイプなんでしょうか?
某超人見知り無詠唱女魔術師さんみたいに・・・
「ば、化け物!!」
騎士の一人は目の前の光景を見て、絶望し、呟いた。
それは途轍もなく大きい。
住宅以上の背丈を誇り、横幅もまた広く、街道の六・・・七割五分ほどを占める。
その姿はまるで、巨人のようだ。
――――――
少し前、地面がかすかに揺れていた。
その揺れは瞬く間に王都中に広がり、永続した。
驚くことに、その揺れは時がたつほど大きくなっている。
原因が解明できない中、突如としてソレは現れた。
ソレは、王都の関所門を破壊、破壊された関所門は瓦礫の山と化した。
子供が癇癪を起こすが如く、地団太を踏むが如く、大きな揺れを起こしながら関所門近くの建造物や橋の悉くを破壊。
王は『緊急事態宣言』を発令。
騎士団のほとんどを人命救助と巨人擬きの討伐に捧げることを決定した。
その決定からわずか数分、騎士たちは蹂躙された。
上級魔法、剣術、魔法剣技すべてが軽傷で終わった。
そして、容赦のない、避けられない反撃を喰らった。
そして騎士団は壊滅した。
善戦という言葉すらおこがましい。圧倒的な惨敗。
そんな彼我の戦力差や実力差を、騎士団は身をもって感じたのだった。
――――――
騎士の男は体の芯から震えている。
自分の何倍も大きい化け物を前にして、士気や勇気などというものは湧いてこない。
先ほどの惨状を見た彼からすればむしろ、そんなものが湧いてくる者がいるというのなら、正しく英雄というものだろう。
巨人擬きの目は半分閉じられ、開いている半分は白目だ。
見えているのか見えていないのかすらわからないが、絶望の前にはすべてがどうでもよく見える。
「あぁ・・・あぁああぁぁぁあああ」
それが、うめき声のような、ため息のような、悩ましいような声を上げる。
「・・・化け物め!!」
もう、男はそれしか言えない。
せめてもの、暴言。
眼は諦念しかない。
その暴言を聞いてか、巨人擬きは、その巨大な手で以て、男を掴む。
バキッ!!メシッ!!バキバキ!!
「ッ!!!」
善神の骨が折れた音がした。
男を握った手はやがて口元へと運ばれ――
「おりゃぁああああ!!!」
――突如として現れた鎧の少女の拳が巨人擬きの腕に当たり、巨大な掌によって握られていた男は宙に解放された。
―――――
な・・・・なにが・・・・おきた・・・??
あの化け・・・物の手に掴まれて・・・折られて・・・そんで、そんで・・・・
変な鎧女がきて・・・スッゲェ揺れて・・・
ていうか・・・この浮遊感は何だ・・・
・・・・落ちているのか・・・俺・・・・
ああ・・・・死ぬのか・・・・俺・・・・
あぁ、メリオ・・・・
もっと・・我が子を抱き上げたかったなぁ・・・
「ッ!!」
「大丈夫?」
痛ってぇ・・・
・・・・誰かに抱き抱えられている!?
俺は、俺を抱きかかえている奴を見る。
黒髪黒目の美少女。
少女の体を包む装甲は、胸部・尻・股間という「女性として絶対に隠すべき箇所」を緻密に覆い、それと腕やら足やら肩やら「攻撃から守るべき重要部位」を除くすべてを大胆にそぎ落とされた鎧。
しかも・・・・しかも・・・・コイツ!!
コイツ!!鎧の下に服着てねぇ!!
俺は・・・・この女のあまりの非常識さに、思わずつぶやいてしまう。
「痴女・・・??」




