72、魚市場に行きました
橘 信司は早朝、目が覚めた。
「うーん、今日は珍しく早い時間にめがさめましたね。せっかくだから魚市場にでも行ってみましょうか」
信司はアレスがもし来ても良いように、置き手紙をした。
<魚市場に行ってきます。 信司>
魚市場に行くと、いろいろな魚が売っていた。
「よお、兄さん! きょうは良い鯛が入ってるよ!」
「それじゃ、鯛を一匹頂きます」
「はいよ」
信司は鯛を店に持ち帰り捌いた。アレスはまだ来ていない。
「猫様は一匹につき、刺身半分くらいまでたべられるはず。残りはまかないにしましょう。いつもオムライスやチャーハンでは、アレスさんも食べ飽きているはずです」
信司は鯛の頭は塩焼きにして、残っている身を刺身にして醤油につけた。
「鯛の漬け丼と、鯛の骨の吸い物、鯛のお頭焼き。うん、立派に出来ました」
信司がまかないの仕込みを終えた頃、アレスがやって来た。
「おはようございます、信司さん。あれ? なんだか凄く良い香りがしてますね」
「おはようございます、アレスさん。今日のお昼のまかないは鯛づくしですよ」
「うわ! 良いんですか? 信司さん」
「たまには良いでしょう」
信司は店の片付けをして、看板をOpenにした。
「よお、信司、アレス。あれ? 今日は猫達がご機嫌だな?」
「はい、ライン様。猫様達に鯛を出したら好評でした」
信司は笑顔でラインに答えた。
「今日は、まかないも鯛づくしなんですよ」
「へー。そりゃ美味そうだな」
「はい、レイン様」
アレスはうっかりと口を滑らした。
「アレスさん、まかないのことは言わないで頂けますか? お客様が不快になるかも知れません」
「あ、そうですね。申し訳ありません、信司さん」
信司はちょっと後ろめたい気持ちになった。
「特別メニューでお客様にも用意しておけば良かったですね。次回は気をつけます」
アレスにそう言うと、信司は台所に戻った。
昼になると、店は一層忙しくなった。
二時を回って、お客さんが一段落したところで信司とアレスは交互にまかないを食べた。
「信司さん、これ凄く美味しいです」
「良かったです、アレスさん」
「信司さん、ごちそうさまでした」
「はい、では交代で私もいただきます」
信司は鯛の漬け丼と吸い物、兜焼きを食べた。
「美味しく出来ていました。やっぱり新鮮な魚は良いですね」
アレスと信司は笑顔になった。




