71、きのこを貰いました
橘 信司はボンヤリしていた。
「おはようございまーす」
「これは、アリサ様。まだ開店前ですが……おはようございます」
信司は店のドアを開け、アリサに挨拶をした。
「あの、おばあちゃんから大量にキノコをもらってしまって。お裾分けに来ました」
アリサは胸の前に、ちょっとした木箱を抱えていた。
「そうですか、それはありがとうございます」
「遠慮無く貰ってください。家にまだあるんで」
アリサが持ってきたキノコは、シメジ、エリンギ、しいたけのように見えた。
「それでは、猫様達にも上げようと思います」
「え!? 猫ちゃん達も食べられるの?」
「はい、少量でしたら」
信司はそう言うと、木箱を受け取った。
「ずいぶんありますね。今日のオムライスはキノコソテーを添えましょう」
「あら、素敵ですね。じゃあ、私もまたお昼に来ます」
アリサはそう言うと、店を後にした。
「じゃあ、さっそくキノコのソテーの下準備と、猫ちゃん用のきのこペーストを作りましょうか?」
店の掃除をしていたアレスが言った。
「そうですね。今日はアレスさんにお願いします」
信司は時計を見て、店の看板をOpenにした。
お客さんが来た。
「オムライス一つ」
「はい、かしこまりました」
アレスは注文を受け、信司に伝えた。
「お待たせ致しました」
「あら、今日はキノコのソテーが添えてあるのね。……うん、美味しい」
お客さんからの反応は上々だった。
「こんにちは!」
「アリサ様、いらっしゃいませ」
アレスは入店時間を書いた紙をアリサの首にかけた。
「紅茶と、オムライスお願いします」
「はい、かしこまりました」
アレスが注文を信司に伝えるしばらくすると、信司が紅茶とオムライスを運んできた。
「アリサ様、猫様達もきのこをよろこんでいたようです」
「よかった。きのこのソテーも美味しいです」
アリサは笑顔で信司に言った。
「アリサ様のおかげです。今日のお代は結構です」
「え!? なんか逆に悪いです!!」
アリサの答えに信司はちょっと悩んでから、思いついた表情を浮かべた。
「それでは、クッキーをお土産にお持ち下さい。先日、がっかりされていたので一セット取っておいたんです」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
アリサは店を出るときに、信司からにゃんにゃん達の似顔絵の入ったクッキーを受け取った。
「ありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ。また来ますね!」
アリサは嬉しそうに店を後にした。




