68、かき氷はじめました
橘 信司は思い立った。店を閉めた夕方、信司はアレスに言った。
「明日から、かき氷を作りましょう」
アレスはそれを聞いて言った。
「いいですね。最近、暑いですからね」
信司は早速街でかき氷機とシロップを買ってきた。
「氷は冷凍庫で作りましょう」
「ちょっと時間がかかりそうですね、信司さん」
「明日には出来ているはずです、アレスさん」
翌日、氷が完成していた。
氷は室温に少し置いて、柔らかくしてから削った。
かき氷の形は球体に三角の耳をつけたものにした。
「あ、これは信司さん、ねこちゃんの頭ですね。可愛い」
「そうです。分かって良かったです」
信司は店の看板をOpenにした。
「いらっしゃいませ」
「おう、久しぶりだな、信司、アレス」
「これはライン様、レイン様、いらっしゃいませ」
アレスはラインとレインの首に入店時間を書いた紙を下げた。
「今日は、おや? 新商品か? かき氷をもらおう」
「シロップはイチゴとレモンとみぞれがございますが、どれに致しますか?」
「じゃあ、俺はイチゴ」
ラインが言うとレインも続けて言った。
「俺はみぞれ」
「かしこまりました。信司さん、イチゴとみぞれをお願いします」
「はい」
一足先に台所に入っていた信司は、お椀方の容器にたっぷりと氷を削り、丸くしたあと耳をつけた。かき氷を二つ作り終わると、それぞれにイチゴとみぞれのシロップをたっぷり掛けた。
「おまたせいたしました」
「おお、デカいな」
「はい、ふわふわですから、落とさないように気をつけてお食べください」
「猫に上げても良いか?」
ラインの言葉に信司が反応した。
「猫様がお腹を壊す原因になるので禁止です」
信司の目が冷たく光る。
「そんなおっかない顔しなくても、駄目ならしないって」
レインは困ったような顔をして笑った。
「いただこうか」
「そうだな」
ラインとレインはかき氷を食べ始めた。
「冷たくて美味いな」
「ああ、甘くて冷たいな」
氷を作るには一日かかるので、かき氷は一日10食の限定メニューになっていた。
「ごちそうさま」
「ありがとうございました」
ラインとレインは店を後にした。
しばらくかき氷の注文が続き、今日の分の氷が終わった。
「信司さん、かきごおり大成功でしたね」
「はい、そうですね」
信司は夕方になる頃、店の看板をCloseにした。




