66、水着を貰いました
橘 信司は暑さに負けかけていた。
「こんにちは、おひさしぶりです」
「こんにちは、ユーリア様」
「あら、ロイ君はいないのね。それでまた新しい方がいらっしゃるのね」
ユーリアは信司に声を掛けた。
「アレスと申します」
「アレスさん、初めまして。ユーリアと申します」
信司がユーリアの言葉の後に付け加えた。
「ユーリアさんは猫様達に素敵なお洋服を作って下さった方なんですよ」
アレスは感心した声を上げた。
「そうなんですか? それはすごいですね」
「今日は夏になったから、水着を作ってきたんです」
そう言って、ユーリアは荷物から小さな5着のセーラー服風猫用水着を取り出した。
「水着ですか?」
「はい」
ユーリアは笑顔で頷いている。
「それでは、早速着替えさせましょう」
信司はユーリアから水着を受け取ると、猫達に着させた。
猫達は嫌がるそぶりもなく、大人しく水着姿になった。
「可愛い!!」
アレスは口元を押さえて、震えていた。
「よかった。サイズ、にゃんにゃんは変わっていませんでしたね」
ユーリアはホッとした口調で言った。
「にゃー様たちのは少し大きめに作って下さったのですね」
信司は水着でくつろぐ猫達を眺めながら言った。
「ええ、まだ成長してると思って」
ユーリアはちょっと得意そうに微笑んだ。
「本日はお洋服のお礼にサービスさせて頂きます」
「それじゃ、お言葉に甘えて。オムライスと紅茶をお願いします」
「承りました」
信司は台所に入って、オムライスと紅茶の準備を始めた。
「お待たせ致しました」
「あ、やっぱりヘタウマの絵は変わらないですね。可愛いです」
「……ありがとうございます」
信司は微妙な顔で微笑んだ。
ユーリアは食事を終えると、店を後にした。
「いろんなお客様がいらっしゃるんですね」
アレスが言うと、信司は頷いた。
「ユーリア様は、猫様の気持ちをくんだ、良い服を作られます」
その日、猫達は水着のまま一日を終えた。




