47、信司は心配症でした
橘 信司は心配していた。
ロイは上手く店を回しているだろうかと。
「信司さん、心配してるんですか?」
アレスが信司に尋ねた。
「ええ、少しだけですが、心配はありますね」
信司は笑って答えた。
「ロイ君達なら大丈夫だと思うのですが、初日はやはり心配ですね」
「そうですか」
アレスも困ったように笑った。
二人が話していると、最初のお客さんがやって来た。
アリサだった。
「あれ? ロイ君ともう一人の従業員さんは?」
アリサの問いかけに信司は答えた。
「二人とソード様達には、2号店に入ってもらいました」
「そっか。確かに猫ちゃんも昔と同じ5匹になってるね」
アリサはそう言うと、いつも通り台所の傍の席に座った。
「ご注文は何にしますか?」
アレスがメニューを渡してからアリサにたずねた。
「今日はドーナツとコーヒーお願いします」
「承りました」
アレスはそう言うと、台所に居る信司にオーダーを通した。
「アレスさんも猫好きなんですか? 信司さんみたいに」
アリサが尋ねると、アレスは頭を掻いていった。
「いえ、私は猫が好きと言うよりも家が近いので従業員に応募したんです」
アリサは驚いた。
「え。信司さん、猫好きじゃなくても雇うんですか!?」
信司は答えた。
「アレスさんは猫様にも人間にも礼儀正しかったので採用しました」
「良かったです」
アレスは信司の答えに胸をなで下ろした。
猫達は、ロイとレイナと、ソード達が居なくなり、少し広くなった店内でくつろいでいる。
しばらくすると店が混んできた。
「信司さん、オーダーお願いします」
「はい」
二人はテキパキとオーダー通りの品物をお客様に届けた。
「ロイ君も上手くやっているといいんですが」
「そうですね」
信司もアレスも、2号店の成功を祈っていた。
6時を過ぎた頃、信司はお客さんが12人を超えたので店を閉めることにした。
「ちょっと2号店の様子を見てきます」
「はい、行ってらっしゃい」
信司はエプロンを台所に置くと、外へ出た。
そして、2号店に早足で向かった。
「ロイ君、大丈夫ですか?」
「はい、6時にお店を閉めました」
「ソード様達は元気ですか? トイレ掃除は出来ていますか?」
信司の心配そうな顔に、ロイは吹き出してしまった。
「全部大丈夫でした。レイナさんも良く気がついてくれて、問題ありませんでした」
「それは良かった」
信司はソード達の様子や店内の様子を見て、安心した。
これなら二人に店を任せても問題ないだろうと。
店内の片付けを終えると、信司はソード達を1号店に連れて帰った。
「夜は猫様達を置いて、店を閉めるわけには行きませんからね」
ソード達も嫌がる様子もなく、信司に抱きしめられていた。




