44、夏毛になりました
橘 信司は苦慮していた。
猫たちが夏毛になって、抜け毛が店内に沢山落ちていたからだった。
「皆さん、猫様達の毛が抜ける季節になりました」
「はい」
ロイ達は返事をした。
「掃除をこまめにやっていきましょう」
「そうですね、信司さん」
アレスが答えた。
レイナも頷いている。
「今日は良い天気ですね」
窓を開けながら、信司が言った。
「ええ、そうですね」
レイナは掃除をしながら答えた。
小さな店に4人の従業員がいるので、店は少し手狭になった。
店の看板をOpenにすると、すぐにお客さんがやって来た。
「いらっしゃいませ!」
「こんにちは」
やって来たのはアリサだった。
「あら、店員さんが増えたのね」
「アレスさんとレイナさんです」
信司が紹介すると、アレスとレイナは会釈をした。
「今日はちょっと、お店の中に猫さんの毛が落ちてるね」
アリサがそう言うと、信司は申し訳ないと言うように頭を下げた。
「猫様のブラッシングと、掃除をしてはいるのですが」
「お帰りの際、お召し物にブラッシングさせて頂けますか?」
信司はアリサに聞いた。
「大丈夫ですよ」
アリサはそう言って、台所の傍の定位置となった席に座った。
「今日はオムライスをお願いします」
アリサの注文に信司が頷いた。
「かしこまりました。ロイ君、お願いします」
「はい、信司さん、アリサさん」
そう言うとロイは台所に入った。
しばらくすると、ロイのお手製オムライスができあがった。
ソードの似顔絵入りだ。
「あら、ロイさんのオムライスはずいぶん写実的なんですね」
アリサの所に、にゃんにゃんがやって来て太ももをフミフミし始めた。
「えっと、どうしよう、食べにくいなぁ」
アリサはにゃんにゃんを上手によけながら、オムライスを一口食べた。
「美味しい! 信司さんのと同じくらい上手!」
「ありがとうございます」
ロイは頭を下げた。
その日はアリサを含め、10名のお客さんが来た。
アレスとレイナはひたすら、猫たちの抜け毛を拾い続けていた。
お客さんが帰る際には、信司たちがお客さんの服に付いた猫達の毛を服ブラシで丁寧に取り除いた。
「猫様の換毛期は、皆で努力して乗り切りましょう」
信司がそう言うと、ロイ達は笑顔で頷いた。
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