42、鰯を貰いました
橘 信司は喜んだ。
「女将さん、良いんですか!?」
「ああ、今日は市場で鰯が大漁だったからお裾分け」
下の階の飲み屋の女将さんはそう言うと、信司に10匹程度の鰯を渡した。
「今日は、猫様の食事を特別にしよう」
そう言って信司は鰯をさばくと、骨を外した。
そして、いつもの猫たちの食事の上に、細かく刻んだ鰯を少しだけ乗せた。
「旬の野菜も入れましょう」
信司は一匹あたり四分の一枚のキャベツをゆでたものを刻んで乗せた。
「よし、これで良いでしょう」
信司は猫たちの食事の昼の分と夜の分を冷蔵庫に入れた。
猫たちの朝朝ご飯を並べているとロイがやって来た。
「あれ? 今日の猫ちゃんのご飯豪華ですね」
「ええ、ロイ君。下の女将さんから鰯の差し入れを頂いたんです」
「へえ、良かったですね」
信司は残った鰯をさばき、酢で締めた。
「良かったら、ロイ君もどうぞ」
「ありがとうございます」
ロイは一口、それを食べた。
「美味しい!」
「良い鰯です。猫様も喜んで食べています」
「酢で締めた鰯も上げるんですか?」
「いいえ、猫様達は鰯などの青魚を食べ過ぎると病気になってしまいます」
そう言って、信司は人間用に調理した酢締めの鰯も冷蔵庫にしまった。
猫たちは、夢中で特別な食事をむさぼるように食べている。
「たまには、こういう贅沢も良いでしょう」
信司は店の看板をOpenにした。




