37、乱暴なお客さんが来ました
橘 信司は戦慄した。
「にゃー様になにをする!?」
「えー? ただ遊んでただけですけど」
そう言いながら二人組の女性のお客さんが、猫じゃらしでベチベチとにゃーを叩いていた。
「いい加減にしないか!」
そう言って、信司はお客さんから猫じゃらしを取り上げた。
「お代は結構です! 今すぐ店から出て行って下さい!」
「にゃーん」
にゃーは信司の足の後ろに隠れた。
「こんな店二度と来ないからね!」
「友達にも言っておくから!!」
信司は冷たく答えた。
「こちらからお断り致します」
信司はお客さんを追い出すと、塩をまいた。
「信司さん、お客さんをおいだしちゃって良いんですか?」
ロイが心配そうに信司に尋ねた。
「ロイ君、猫様を大事にしない人間は、お客ではありません」
信司は言い切った。
「にゃー様、無事ですか?」
信司はそう言って、にゃーに怪我がないか、おびえてないかを細かく観察した。
「にゃーん」
にゃーは機嫌良く鳴くと、信司にすり寄った。
「私としたことが不埒な輩を店に上げてしまい、申し訳ありませんでした」
信司はそう言って猫たちに謝った後、店に居た他のお客さんに頭を下げた。
「お詫びに、本日は一杯ずつ紅茶をサービスさせて頂きます」
信司は残っていた6人のお客さんに、紅茶をサービスした。
「信司さん、売り上げにひびきませんか?」
信司はロイに向かって、首を振った。
「ロイ君、この店は猫様が一番なのです」
信司は言葉を続けた。
「猫様を大事にして下さるお客様も、またありがたいものです」
信司は言った。
「一時的な売り上げよりも、質の良いお客様を大切にする方が店のためです」
「そうですか」
ロイは頷いた。
その後は、和やかな雰囲気に包まれた。
信司はその日、深く反省していた。
「本当に人とは思えないことをする奴がいるものなのですね・・・・・・」




