20、酔っ払いがやって来ました
橘 信司は困惑していた。
よっぱらいがやって来たからだ。
「俺の名前はレオン。ちょっとは聞いたことある名だろう!?」
「いえ、私は存じません」
信司はマイペースのまま、冷静に答えた。
「は!? 知らないだと!?」
「お客様は酔っ払っていらっしゃるようです。当店では入店をお断り申し上げます」
レオンはそれを聞くと怒っていった。
「お前、良い度胸してるな! 表に出ろ!」
「はい、分かりました。ここでは猫様に迷惑がかかります」
信司はレオンの後に続いて、店を出ると、表の広場に移動した。
「お前、覚悟は出来ているだろうな?」
「覚悟とは?」
信司がレオンに問いかけると、レオンは殴りかかってきた。
信司はひょいとよけると、レオンの足を軽く蹴った。
レオンは転んだ。
「大丈夫ですか?」
信司が手を差し伸べると、レオンはその手を払った。
「貴様、覚えてろ!」
レオンはそう言うと去って行った。
「困ったお客さんですね・・・・・・」
信司はそう呟いて、店に戻った。
「ただいま戻りました。猫様達は・・・・・・変わった様子はありませんね」
信司は安心して、自分のために紅茶を入れた。
猫たちはキャットタワーで遊んだり、信司の足下にすり寄っていたり、好き勝手にすごしている。
信司は足下に来たにゃんにゃんを撫でると微笑んだ。
「いつも、お客様の相手をして下さってありがとうございます」
「にゃーん」
「今日は、大きな声を聞かせてしまって申し訳ありませんでした」
「にゃーんにゃーん」
にゃんにゃんは気にしていない風で、信司の足の間に座り込んだ。
レオンが帰った後は、いつものように穏やかなお客さんに囲まれて、和やかな時間が過ぎた。
「酔っ払いはこまりますね」
信司はレオンを思い出して、ため息をついた。




