12、にゃんたが起こされました
橘 信司は嫌な予感がしていた。
店を開いてすぐに、10代後半くらいのカップルが入ってきた。
信司は二人の首に入店時間を書いた紙をかけた。
「それじゃ、お勧めセットで」
男性が言った。
「はい、パンケーキと紅茶ですね」
信司はメモを取った。
「私は、お勧めセットとドーナツをお願いします」
「はい、かしこまりました」
信司は台所に入った。
しばらくすると、女性の声がした。
「やだーどうしよう・・・・・・」
信司が見てみるとにゃんたが、女性の膝の上で寝始めていた。
「おい、どけよ!」
男性がにゃんたを突いて起こした。
にゃんたは不機嫌になった。
「こら! 何しやがるんだ、若造め!!」
信司はできあがったパンケーキと紅茶を台所に置いたまま、にゃんたの元に駆けつけた。
「にゃんた、大丈夫ですか?」
「にゃーん」
信司はにゃんたに怪我がないことを確認してから、男性に言った。
「猫様の眠りを妨げるなんて、ひどいことを!!」
信司は怒っていた。
カップルは萎縮していた。
「店を出て行きますか? それとも、もう金輪際、今のような事はされませんか?」
信司は静かに聞いたが、その姿は迫力があった。
「おい、こんな店出ようぜ」
「え、猫ちゃん達ともうちょっと一緒にいたいな」
「もういいだろ!? 猫なんて街中にいくらだっているじゃねえか」
カップルが帰り支度を始めたので、信司はパンケーキと紅茶とドーナツをテイクアウト用の器に移した。
「お代は、2500ギルです。席料は今回は結構です」
信司は冷たい顔で、カップルにそう言った。
男性は、投げるように2500ギルを払うと、不機嫌そうに扉を開けた。
「ありがとうございました」
信司はそう言って、扉を閉めた。
「猫様の眠りは何よりも優先すべきもの。困ったものです」
信司は呟きながら、にゃんたを抱っこして、撫でた。
にゃんたはあくびをした。
その後はラインとレインが来た。
そして、普通にお客さんがパラパラとやって来た。
お客さんが10人を超えたところで、いつも通り店を閉めた。
今日は猫たちのお風呂の日だった。
お湯で猫たちの体を洗い、良く乾いたタオルで猫たちを拭く。
ついでに信司は、洗い立ての猫の匂いを嗅いだ。
「良い匂いです」
お風呂が終わると、猫たちは昼寝を始めた。
「私も一緒に寝ることにしましょう」
信司は床に寝転がると、猫たちの寝息を聞きながら昼寝を始めた。




