11、王宮に呼び出されました
橘 信司は戸惑っていた。
信司が店を開ける前に、兵隊がやって来て告げた。
「王宮へ来るように」
「え? 私は何もしていませんが・・・・・・」
「とにかく、王女様が呼ばれているのです。すぐに来て下さい」
信司は、少しだけ準備の時間をもらうと、猫たちに言った。
「今日は、一緒にいられません。猫様達のお食事はおいておきますね」
信司はそう言って、猫たちのおやつと食事を机の上に置いた。
「準備が出来ました」
「よし、ついてこい」
信司は兵についていくと、大きな王宮が見えてきた。
「ここが王宮・・・・・・。立派だな」
「たちどまらずについてくるように!」
「はい」
信司は兵の後をついていく。王宮の中に入り、大広間に通された。
大広間には玉座があり、一人の少女が座っていた。
人形のように長い髪をしていて、かなりの美少女だった。
「はじめまして、橘殿」
「はじめまして」
「私はこの国の王女、リリアです」
「王女様!? 私に何の用でしょうか?」
信司はリリアに質問すると、リリアは微笑んだ。
「猫カフェと言う怪しい店を開いていると聞きました」
「猫様を愛でる場所です!! 怪しくなど有りません!!」
信司は慌てて否定した。
リリアは言った。
「でしたら、私もそこへ連れて行って下さい」
「猫様達に悪さをしなければ良いですよ」
信司が真面目な顔でリリアに答えると兵が怒った。
「口を慎め!」
「猫様が一番だと俺はいつも言っている!」
信司の様子を見て、リリアは頷いた。
「噂通りですね」
「店に来るのですか?」
「はい」
信司は驚いた。
「それでは、今から行きましょう」
リリアは町民の格好に変装すると、兵が二人ついてきた。
信司は王女達三人を連れて、店に戻った。
店の中では猫たちが眠っていた。
信司は猫たちを起こさないように気をつけながら、台所に向かった。
「これが猫カフェですか? 猫たちは綺麗な毛並みですね」
「毎日ブラッシングをしていますから」
信司はそう言いながらパンケーキを焼き、ドーナツをあげ、紅茶を入れた。
「メニューはこれだけです。どうぞお召し上がり下さい」
「まあ、可愛らしい。頂きます」
リリアは猫たちを見ながら、パンケーキとドーナツをを一口ずつ食べた。
「どちらも美味しいです」
「ありがとうございます」
信司がそう言ったとき、にゃんたがリリアの膝の上に移動してきた。
「まあ、なんて可愛らしい猫」
「はい、にゃんたと言います」
リリアがにゃんたを撫でると、にゃんたはのびをした。
「そろそろ、お時間です」
兵達がリリアに言った。
「もう、ですか」
リリアはそう言うと、残っていたパンケーキとドーナツを食べ、紅茶を飲み干した。
「良いお店ですね」
「ありがとうございます」
「また来ても良いですか?」
「はい、お構いは出来ませんが」
信司はそう言いながら、猫たちの様子を観察していた。
リリア達は、お辞儀をして店を出た。
「ちょっと、今の王女様じゃないかい!?」
飲み屋の女将が、下から覗いてきた。
「はい、猫カフェを視察にいらっしゃいました」
「また猫に悪さをしたとか怒鳴ったりしてないかい?」
女将が心配して信司に聞いた。
「いいえ、リリア様は大人しく猫を愛でていらっしゃいました」
「へえ、アンタの店は客層が広くなってきたね」
信司の言葉に、女将は感心していた。
午後はいつも通り、店を開けた。
お客は新規の客ばかりだったが、猫に悪さや過度にかまうお客さんはおらず、信司は安心していた。
そして、店を閉めた。
「猫様達の可愛らしさは、噂が王宮まで届いてたのですね」
信司は猫たちをブラッシングしながら呟いた。




