バトルⅤ-Ⅲ
《第一回、魔法少女ルナのバトル予想》
はい、けっこう疎外感が半端ない魔法少女ルナです。
えっと、読者の皆様はご存じでしょうが、俺は魔法少女ですが魔法はまったく使えません。
いま俺の前では魔族の王女と魔族の王子が戦いを始めようとしています。
そして、今回のバトルについて、読者の皆様の為に俺独自の予想を立てて、解説してみたいと思います。
いや、決して暇だからという訳ではありません。
本当に暇だからじゃないからな?
さて…基本性能ですが、どう考えても魔族の王子であるテラに軍配があがりそうです。
これは実際に戦った俺が体感した実体験を元にしています。
テラは並のレベルじゃない。特SSSなんだから、その時点で並じゃないんですがね。
ぶっちゃけ、また戦っても俺は負けると思います。
ソルはどうなのか?
ぶっちゃけソルも強いです。
俺はあのSSランクだったマンモスより強いと思っています。
直径一メートルの超重量の鉄球を軽々しく振り回せるパワー。そして俺のパンチで砕けなかった鉄球の硬度。
そんな武器を所有しているソルの戦闘力はかなり高いと予想しています。
しかし、それでもやっぱりテラの方が力量は上だと予想します。
という事はどういう結論になるのか?
そう、俺の予想ではソルが負ける!
くそ…ソルめ…ヤバイだろ?あのテラが相手とかマジでヤバイだろ…
どうする?どうする?俺はどうするんだ?
って…こういう時に男がとる行動は?
一つしかないだろ?
男はな…女を助ける為に存在するんだ!by魔法少女ルナ
ルナは勢い良く飛び出す。
「やめろ!」
掛け声を上げながらソルの前に立ち、テラに向かって両手を広げた。
その姿をみたソルとテラは驚いた表情でルナを見た。
それと同時にテラはギリっと悔しそうに歯を噛み締め、むっちゃ悔しそうな表情を浮かべた。逆にソルは嬉そうに微笑む。
【ルナ様!私の為に…】
感無量。嬉しさのあまり背中にぎゅっと抱きつくソル。そしてふにゃんとまたしても柔らかい感触が…
もう、少年少女の時とは比べ物にならないくらいにすっげーぼわん!って感覚が俺の背中にきてるんだよ!
今は女の姿でもな…俺は男なんだ!中身は男なんだぞ!わかってるのか?
そんなにぷにゅぷにゅされたらもう…あーうぁぁ!
心の中で叫ぶルナ。
でも…魔法少女になってよかったって今だけは思う。役得ってすばらしい!
【ルナよ…ソルを助けるつもりか?】
険しい表情でルナを睨むテラ。マジで怖い。
って!そうだよ!おっぱいの感触に喜んでる場合じゃないんだ。
「ち、違う!言っておくがソルを助ける為に飛び出した訳じゃないからな?俺はお前らが訳のわからない理由で喧嘩をしているから…それで納得がいかねーから飛び出したんだ!」
【ほう…何が納得ゆかない?魔法少女ルナよ、何が納得がゆかないのだ?】
テラの言葉にルナの体が無意識に震えた。
うわぁ…始めてあった時と同じ感じの威圧感と同じだ…体が無意識に震える…でも、俺は負けない!
ちょっと心が強くなったかもしれないルナ。頑張ってます。
「ぜ、全部だよ!全部が納得できねーんだよ!だいたい、俺を物扱いするんじゃねーよ!俺は俺なんだよ!誰の物でもない!わかってんのかよ!」
【いや違うな。お前は俺のものだ。お前では俺には勝てない。解ってるだろ?】
テラはふっと笑った。
「それは…解ってる。俺よりお前の方が強い。だけど、だからって、俺はお前の物になるつもりはない!」
【何故だ?俺は魔界でも最強クラスに強い。俺の側にいればルナは一生安泰なのだぞ?さぁ…来るのだ。こちらへ…】
すーっと手を伸ばすテラ。
その瞬間、ルナの脳裏にはテラにおっぱい攻撃を受けたシーンがリピート再生された。
「な、何が一生安泰だ!お、俺を硬直させておっぱい…吸ったじゃないかぁぁ!」
その一言にハッと目を開くテラ。驚いてルナの背中を離すソル。
「きっとまたあれだろ!またエッチな事をするつもりだろ!既成事実を作るって言ってたよな?そ、そうか!俺を性奴隷にするつもりか!」
【し、しない!何を言っているのだ!?】
焦るテラ。動揺しまくりである。そして、その台詞を聞いたソルがルナの前に飛び出した。
そしてソルは鉄球をぶるんぶるんと振り回し始める。
【ルナ様を…ルナ様をすでに弄んでのですね…】
【ま、待て!私は弄んでなどいない!】
【では先ほどのルナ様の言っていた事は嘘だとおっしゃるのですか?】
【………う…嘘だといいな】
結構、正直なテラ。
【…どうやら事実のようですね?】
【いや、待て!それには理由がある!それは、ルナが言う事を聞かないからだ!だから無理にでも私のものにしようとしたのだ】
本当に正直なテラ。
【…無理やりに…ですか?】
そこでルナはここぞと言わんがばかりにテラを指さして言い放つ。
「そうだ!無理矢理だ!こいつは俺を金縛りにして…手籠めにしようとしたんだ!」
ソルは後ろにいるルナの方を振り返った。
【ルナ様。それは本当なのですね?】
ルナはこくりと頷く。
【…許しません…許しません!】
そう言ってソルは有無を言わさずにテラに向かって鉄球を投げつけた!
「ちょ、ちょっと待て!まだ早いから!」
無理です。もう投げた後です。
【ソルよ!実の兄に手を上げるつもりか!くっ!お前の攻撃などっ!】
テラの手が光る!あの魔法が炸裂する!
激しい閃光が部屋中に広がる。
ルナは手で光を遮る。
同時に《ガゴーン》と衝撃音が響き、金属が床に落ちる音が聞こえる。
ソルの投げた鉄球は、まるで発砲スチロールかの様に簡単に砕け散った。
【流石ですわ…相変わらずの威力ですね。お兄様の暗黒魔法は…】
テラの魔法はソルの言う通りで相変わらずの威力だな…恐ろしい…
それも何だ?暗黒魔法って名前だったのか?名前も怖いじゃないか!
ソルはテラを睨む。しかし、テラは無言で何も話さない。
そしてここでルナは気が付いた。
あれ?何でだ?圧倒的に有利なはずなのに、何でテラはあんなに優れない顔をしているんだ?
逆にソルの表情に余裕が出てきてるだと?
ルナの言う通り、ソルは微笑み、テラは顔を顰めている。
【ルナ様を性奴隷にしようなんて、私は許しませんからね?】
【わ、私はそんな事は考えていない…】
【どうだか…お兄様は変態ですし…金縛りにして無理矢理やろうとした訳ですよね?】
【だから、あれはルナが言う事を聞かないからだ】
【女性を力尽くで我が物にしようとする、その考えが駄目です。という事で…決着をつけましょう!】
ソルは素手でテラに飛び込んだ。
「馬鹿っ!無茶だ!お前じゃテラには勝てない!そして、俺は女じゃない!」
テラは反射的に先ほどの魔法を再び放つ!
すると、部屋の中は先ほどよりも明るく輝いた。
ルナは油断していた。魔法に気が付いて光を遮ろうとしたが、遅かった。
閃光はルナの視界を奪った。




