プロローグ3 胎動
しばらく間が空いてしまいました、申し訳ありません。
人物設定を挟んでから3部始動の予定でしたが、余りにも謎というか、明かしていない設定が多すぎるため、後にまわすことにしました。
それでは、第3部の始まりです。
一人の女性が、座っていた。
広い部屋の一番奥、他の場所より数段高くなっている場所にあるその椅子は、「玉座」と呼ばれるもの。落ち着いた黒を中心としたその部屋は、恐らくは謁見の間だ。
女性の前には、淡く輝く平板が浮かんでいる。目まぐるしく色が移り変わるそれを見つめて、女性は僅かに微笑んだ。
「アクラルーシェに向かわれるのですね」
指を僅かに動かすと、平板が消失する。
そうして、女性…リュスティナは、満足そうに頷いた。
「ベリスクレス、ルイティ。わたくしの大事なお友達ですわ。くれぐれも失礼のないように」
いつの間にやら眼下に控え、臣下の礼を取っていた二人に声をかけ、リュスティナは玉座から立ち上がる。
名を呼ばれた男女は、礼を深くすると、そのまま姿を消した。
「待っておりますわ、アストランティア様」
後に残ったのは、夢見る乙女のように手を組み、うっとりと視線を東に向けるリュスティナだけ。
* * *
豪奢ながらも品のいい、宮廷にも似た場所を男女が歩く。
男は、白い髪に青い瞳。騎士の地位を表す鎧を身に纏った、青年の域を脱しつつある彼は、ベリスクレス=ウェイン。
女は、灰色の髪に黒い瞳。ぞろりと長いローブを纏い、茫洋とした雰囲気を持つ若い彼女は、ルイティ=アーレスラム。
「すぐに、アクラルーシェへ、向かいます、か?」
途切れ途切れに抑揚なく、ルイティが話す。
「ああ…いや、必要なものを揃える」
「わかり、ました。控え室で、お待ちしております」
そうしてぎこちなく一礼し去っていくルイティの背を見て、ベリスクレスは溜息をつく。口に出しては言えない思いを吐息に乗せて、彼もまたゆっくりと歩いていった。




