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破壊者は絆を断ち切らない  作者: 唐紅 那智
『混濁の英雄』
50/53

プロローグ3 胎動


 しばらく間が空いてしまいました、申し訳ありません。

 人物設定を挟んでから3部始動の予定でしたが、余りにも謎というか、明かしていない設定が多すぎるため、後にまわすことにしました。


 それでは、第3部の始まりです。

 


 一人の女性が、座っていた。

 広い部屋の一番奥、他の場所より数段高くなっている場所にあるその椅子は、「玉座」と呼ばれるもの。落ち着いた黒を中心としたその部屋は、恐らくは謁見の間だ。

 女性の前には、淡く輝く平板が浮かんでいる。目まぐるしく色が移り変わるそれを見つめて、女性は僅かに微笑んだ。

「アクラルーシェに向かわれるのですね」

 指を僅かに動かすと、平板が消失する。


 そうして、女性…リュスティナは、満足そうに頷いた。

「ベリスクレス、ルイティ。わたくしの大事なお友達ですわ。くれぐれも失礼のないように」

 いつの間にやら眼下に控え、臣下の礼を取っていた二人に声をかけ、リュスティナは玉座から立ち上がる。

 名を呼ばれた男女は、礼を深くすると、そのまま姿を消した。


「待っておりますわ、アストランティア様」

 後に残ったのは、夢見る乙女のように手を組み、うっとりと視線を東に向けるリュスティナだけ。





   *   *   *





 豪奢ながらも品のいい、宮廷にも似た場所を男女が歩く。

 男は、白い髪に青い瞳。騎士の地位を表す鎧を身に纏った、青年の域を脱しつつある彼は、ベリスクレス=ウェイン。

 女は、灰色の髪に黒い瞳。ぞろりと長いローブを纏い、茫洋とした雰囲気を持つ若い彼女は、ルイティ=アーレスラム。

「すぐに、アクラルーシェへ、向かいます、か?」

 途切れ途切れに抑揚なく、ルイティが話す。

「ああ…いや、必要なものを揃える」

「わかり、ました。控え室で、お待ちしております」

 そうしてぎこちなく一礼し去っていくルイティの背を見て、ベリスクレスは溜息をつく。口に出しては言えない思いを吐息に乗せて、彼もまたゆっくりと歩いていった。




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