1-21 終焉は佇む
意外と手入れされていたようで、音も立てずに開いた扉。潜り抜けた先に続く薄暗い廊下を、ティアとセフィは進む。そこは相変わらず薄暗く、所々にぼんやりと灯った明かりだけが唯一の光源で、時々足元が全く見えない場所もある。
「明り、要りますか?」
「いや、オレはいい。お前が必要なら、つけてくれ」
ティアは夜目が効く。言い出した、セフィも結局明かりをつけなかったところを見ると、彼もそれなりに見えているのだろう。
「……ティアさん。一つ、聞いてもいいですか?」
「何だ?」
唐突に言ったセフィは、惑うように揺れる声で問う。
「怖く、ないんですか?」
「……」
セフィの問いは酷く抽象的で、ティアは何と答えるべきか迷った。
「…お前が、どういう意図でそれを聞いたのか、それは解らないけどな。オレにだって、怖いものくらいはある。でもな、怖いからって立ち止まるようなことだけは、したくないんだ」
「何が、怖いんですか?」
「………」
その問いに、ティアは答えなかった。代わりに、問いを返す。
「お前は、怖いのか?」
「いいえ、今は何も。でも…さっきから、嫌な予感がするんです。創世属性じゃないので、はっきりと解らないんですけれども…この先に、何か恐ろしいことがあるような、そんな気がするんです」
「恐ろしいこと…か」
セフィの言ったその言葉を繰り返して呟き、ティアは足を止めた。
「間違っちゃいないと思うぜ、その予感。見ろ…終着点だ」
ゆっくりと片手で指し示す、長かった廊下の終着点。そこにあるのは、遠目に見ても解る、頑丈そうな扉。
「流石に、ここまでくれば解る。終焉属性の気配が…12。よくもまあ、集めたもんだ。あとは、火属性っぽいのが2、地属性っぽいのが1、それと…霊属性が1、風属性が3、水属性が1、か?」
気配を読み取って、ティアはセフィに告げる。
「よく解りますねぇ。あ、人数は14人ですよ」
「慣れてんだよ。お前だって、しっかり解ってんじゃねえか」
「まあ、一応風属性ですし」
「流石は監視能力持ち、か。便利なもんだ」
小さく笑ってそう言うと、気持ちを切り替えて考える。
「まず、水属性持ちを狙うぞ。あの回復能力は厄介だ」
「じゃあ、その次に狙うのは地属性ですか?」
「…いや、霊属性の精神攻撃を先に消そう。回復は厄介だが、地属性は防御が固い。人数減らしてからじゃないと、逆にこっちが足止めされる」
読み取った気配を元に、小声で作戦を立てながら、オレ達は扉に歩み寄っていく。
「あと…終焉属性の攻撃は、オレが相殺する。攻撃は、基本お前がやれよ」
「解りました」
扉の前で立ち止まり、ティアはセフィを少し横に避けさせた。
とりあえず、大技で扉を破壊するべく、呪文を紡ぐ。上手くいけば、何人か巻き添えで倒せるかもしれない。
「終焉は我が思いを導く…」
ティアは、手を高々と振り上げた。




