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破壊者は絆を断ち切らない  作者: 唐紅 那智
『銀の少女』
23/53

1-21 終焉は佇む


 意外と手入れされていたようで、音も立てずに開いた扉。潜り抜けた先に続く薄暗い廊下を、ティアとセフィは進む。そこは相変わらず薄暗く、所々にぼんやりと灯った明かりだけが唯一の光源で、時々足元が全く見えない場所もある。

「明り、要りますか?」

「いや、オレはいい。お前が必要なら、つけてくれ」

 ティアは夜目が効く。言い出した、セフィも結局明かりをつけなかったところを見ると、彼もそれなりに見えているのだろう。


「……ティアさん。一つ、聞いてもいいですか?」

「何だ?」

 唐突に言ったセフィは、惑うように揺れる声で問う。

「怖く、ないんですか?」

「……」

 セフィの問いは酷く抽象的で、ティアは何と答えるべきか迷った。

「…お前が、どういう意図でそれを聞いたのか、それは解らないけどな。オレにだって、怖いものくらいはある。でもな、怖いからって立ち止まるようなことだけは、したくないんだ」

「何が、怖いんですか?」

「………」

 その問いに、ティアは答えなかった。代わりに、問いを返す。

「お前は、怖いのか?」

「いいえ、今は何も。でも…さっきから、嫌な予感がするんです。創世属性じゃないので、はっきりと解らないんですけれども…この先に、何か恐ろしいことがあるような、そんな気がするんです」

「恐ろしいこと…か」

 セフィの言ったその言葉を繰り返して呟き、ティアは足を止めた。

「間違っちゃいないと思うぜ、その予感。見ろ…終着点だ」

 ゆっくりと片手で指し示す、長かった廊下の終着点。そこにあるのは、遠目に見ても解る、頑丈そうな扉。

「流石に、ここまでくれば解る。終焉属性の気配が…12。よくもまあ、集めたもんだ。あとは、火属性っぽいのが2、地属性っぽいのが1、それと…霊属性が1、風属性が3、水属性が1、か?」

 気配を読み取って、ティアはセフィに告げる。

「よく解りますねぇ。あ、人数は14人ですよ」

「慣れてんだよ。お前だって、しっかり解ってんじゃねえか」

「まあ、一応風属性ですし」

「流石は監視能力持ち、か。便利なもんだ」

小さく笑ってそう言うと、気持ちを切り替えて考える。

「まず、水属性持ちを狙うぞ。あの回復能力は厄介だ」

「じゃあ、その次に狙うのは地属性ですか?」

「…いや、霊属性の精神攻撃を先に消そう。回復は厄介だが、地属性は防御が固い。人数減らしてからじゃないと、逆にこっちが足止めされる」

 読み取った気配を元に、小声で作戦を立てながら、オレ達は扉に歩み寄っていく。

「あと…終焉属性の攻撃は、オレが相殺する。攻撃は、基本お前がやれよ」

「解りました」

 扉の前で立ち止まり、ティアはセフィを少し横に避けさせた。

 とりあえず、大技で扉を破壊するべく、呪文を紡ぐ。上手くいけば、何人か巻き添えで倒せるかもしれない。


「終焉は我が思いを導く…」


 ティアは、手を高々と振り上げた。



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