1-8 不本意な相方
次の日。ティアとセフィは討伐隊へ志願に行った。その受付付近で、かなりの人数がペンを動かし書類を書いている。いかつい男達が書類の欄を埋める中、時々、係員と思しき男性がペンを動かしていることもある。『代筆承ります』と書いてあるということは、恐らく文字の書けない人にも配慮してあるのだろう。
二人も登録用紙を貰うと、適当な場所で書き始める。
まずは名前が、アストランティア=ライゼル。検問で名乗った名。
出身地は、レヴィンの家のあった場所でいいだろう。クラウンヴィーレ国ユラスの森。
年齢、16歳。
職種は、魔戦士。
属性、闇。間違っても、終焉とは書けない。何しろ、その終焉属性を討伐するんだから…と、心の中でだけ苦笑を浮かべる。
使用武器、バスタードソード。ティアの体格には少々大きめだが、大抵片手で振り回してる。
最後にあった、希望パーティという欄の意味がわからず首を傾げ…結局白紙とした。
「ティアさん、書けましたか?」
「え、えぇ」
オレは子供じゃない…と口には出さずにぼやきつつ、持った紙を見せる。
と、セフィは一緒に出してきてあげます、と言って、ティアの手から書類を取り上げる。内心、余計なお世話だよ! …と、思わなくもなかったが、口に出して言うわけにもいかず、仕方なくしたいようにさせてやった。
「へえ。ティアさんは闇属性なんですか」
一々確認取るな、とまたしても心の中で呟き。そろそろ我慢も現界かもしれない…と、危ない考えが頭を掠める。
「そうですよ、ホラ」
そんな思いは胸にしまいこみ、フードの縁からちょいっと黒髪を引っ張り出して、セフィに見せる。
「僕、風属性なんです」
「目、緑ですからね」
見れば解る、という意味を込めてティアは言う。
「で、良かったらパーティ組みませんか?水属性か闇属性の人と組みたいと思ってたんです」
(つまりは、回復役がほしい、ってことか。まあ、妥当だな)
風属性は、攻撃と防御はそれなり、回復がやや苦手、といった属性だ。バランスはいいが、やや決定力に欠ける。しかし、セフィと早く別れたいティアとしては、頷くわけにはいかない。
「いえ、あの、出来れば私は一人のほうがいいな、と思いまして」
「それは無理ですよ。単独行動した人が何人もやられているので、原則二人以上のパーティを組むように…って、条件に書いてありますけど。見ませんでした?」
何!? と、張り出された募集要項を見てみると…あった。小さな文字で、隅に書いてある。
(どうする…? 諦めて街出て単独行動するか…?)
そう思っている内に、セフィが勝手に書類を提出してしまった。しかも、どうやらご丁寧にも、書類の希望パーティ欄に自分の名前書いて出したらしい。
(こいつ…単なるお人好しかと思ったら、意外とちゃっかりしてやがる。…結局、まだこいつとの縁は切れない、って訳か)
ティアは諦めたように肩を落とし、誰かが見ているかもしれないことなどお構いなく、深い深い溜息をついた。




