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REGALIA'S CODE  作者: 素白
2/11

牢獄と悪魔

「アルト・レガリア。面会の時間だ。」

衛兵が俺を呼んだ。

「わかりました。」

俺はベッドから起き上がり、床に足をつく。

独房の石畳が、ひんやりと冷たく感じられた。

ギィィという音を立てて、独房の扉が開かれる。

俺は衛兵から質素な靴を受け取り、つま先をトントンと床に打ち付けた。

腕に手錠がつけられ、衛兵の後をついて行く。

衛兵の革靴の足音が、静かな牢獄に響く。

薄暗いライトに照らされた煉瓦の壁が、そこはかとない物寂しさを感じさせる。

やがて面会室に到着し、衛兵が鉄のドアを開ける。

面会室には、コルトが来ていた。

「アルトくん……」

コルトは悲しいような、悔しいような顔をしていた。

俺は面会室の椅子に座り、コルトと向かい合った。

金網越しにコルトの顔が見える。

「ごめんな、俺のせいで迷惑かけた。」

「そんな……迷惑だなんて……」

机の上に置かれていたコルトの拳が、強く握られる。

「アルトくんはすごいですよ……」

コルトは首をゆっくりと横に振る。

「君はいつも、僕達を導いてくれる…… 君はすごい人ですよ……」

「そうかな…… 今回も俺の勝手な行動で――」

「アルトくん!」

コルトは俺の言葉を遮って、勢いよく立ち上がった。

そのまま、目の前の金網に手をかける。

「コルト・レイ少尉! 今すぐ、その手を離しなさい!」

衛兵が拳銃を構えながら叫ぶ。

コルトは金網から手を離し、椅子に深々と座る。

「君の行動は蛮勇だったかもしれない……」

コルトは俯きながらに言う。

「君は上官に銃を向けた。それは確かに反逆行為だ。けど――」

コルトは顔を上げ、笑ってみせる。

「君は正しい。それだけ伝えたかったんだ。」

俺はその言葉に、少し涙ぐんでしまった。

「そろそろ、時間です。」

衛兵は冷たく告げる。

「他の部隊の上官に、君を釈放してもらうように頼んでおくよ。それまで待ってて。」

「ありがとう、コルト。」

コルトは席から立ち上がり、鉄のドアに手をかける。

「じゃあ、また。」

「あぁ、またな。」

コルトがドアを開け、外に出る。

バタンという音を立てて閉まったドアを、俺はしばらく見つめていた。


ここに来てから数日が経った。

「お! 新入りやん! よろしゅうな!」

食堂、それは全囚人が一斉に集まる、唯一の場所。

そして俺は、厄介そうなおじさんに声をかけられていた。

「ワシの名前はジョンドルフ・ゼレイヴや。あんたが兵士やったんなら、俺の名前は聞いたことがあるんちゃう?」

「ジョンドルフ・ゼレイヴって……まさかあなた……?!」

「せやで、【上官殺し】のゼレイヴや。」

ジョンドルフ・ゼレイヴは上官3人を殺し、同期を2人殺したという元軍人だ。

士官学校の教本には、【13日の悪魔】という内容で載っていたはずだ。

「――ッ!」

俺は急いで後ろに飛び退き、構えた。

「いやいや、攻撃の意志はないで。ワシはただあんたみたいな若造が、なんでこんなとこに来たんかが気になったんや。」

「なら……まぁ……」

「じゃあ、隣失礼するで。」

ゼレイヴはヨイショという声を出して隣に座った。

「で、兄ちゃんはなんで捕まったんや? 盗みか?」

「いや、違いますよ。上官に――」

俺はどういう経緯でここにいるかを話した。

「ハハハハ! あんた滑稽やな!」

「そうですかね……まぁ、ここにいるだけでもう滑稽ですかね。」

「それもそうやな!」

ゼレイヴは腹を抱えて笑っている。

正直、殺人鬼だと警戒していたが、どうもこの人が人を殺したとは思えない。

「けど、兄ちゃん。あんたは大マヌケや。」

ゼレイヴはいきなり笑いを止め、こちらを静かに見つめる。

その顔は、とても哀愁が感じられる顔だった。

「この軍を変えようとしたって、どうせ無駄なんや。」

ゼレイヴはお盆を持って席から立った。

「あんたにはチャンスがある。せいぜい俺みたいにならんように頑張りや。」

「それはどういう――」

ゼレイヴは後ろで手を振りながら、部屋へ戻っていった。

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