狙撃と盾
「護れ――」
俺が詠唱を終えると、あたりは光りに包まれた。
光の中で、俺はコルトと会話をした。
「アルトくん、ごめんね。」
「いや、いいんだ。俺こそごめん……お前を、守れなかった……」
俺は拳を強く握りしめる。
「いいんだよ。君は悪くない。」
コルトは俺の手をそっと包む。
「僕は、いつでも君のそばにいるよ。」
俺はその言葉に涙を流し、コルトに抱きついていた。
「さあ、君の隊の仲間を、ヴェルクくんとノーゲンさんを一緒に助けに行こう!」
「あぁ、コルト。一緒に!」
気づくと、王国の魔法が目の前に来ていた。
おそらく爆発魔法だろう。
ここで爆発すれば、俺もろとも隊員は全員死んでしまう。
後ろで倒れている、2人も死んでしまうだろう。
「俺はッ――!!」
俺は杖を飛んでくる魔法に向ける。
「みんなを、守るんだァァァ!!」
魔法が炸裂し、大きな爆発が起こった。
だが、俺たちは無傷だった。
そこには、俺の全身を囲むように、球状に展開された、防御魔法があった。
魔法使い達は追加の詠唱を行い、これでもかと魔法を打ち込む。
だが、その魔法は届かない。
「あの力は……防御魔法……?」
魔法使いたちの魔法は、確実に当たっていた。
あの爆発を無傷とは……
「ゼノン様。あれは……防御魔法なのでしょうか……?」
「私にもわからん。だが、これがアイツの能力……」
ゼノン様は面白いというふうに微笑んでいる。
「ゼノン様。」
「なんだ、メアリー。」
「私は、今からあの歩兵を狙撃します。」
あの歩兵はここで殺しておかなければ、危ない気がする。
「好きにしろ。」
「ありがとうございます。」
私はケースから狙撃銃を取り出し、狙撃魔法を詠唱する。
「誓いの弾丸は、敵を貫く――」
あの魔法が防御魔法の類だとすれば、防げないような高火力の魔法を打ち込めば破壊できるはずだ。
「白銀の弾丸!!」
弾丸は歩兵を捉え、猛スピードで飛んでゆく。
「――ッ!?」
とても強い魔術反応。
先程の狙撃だろう。
「今度こそはッ!」
俺は杖を構える。
「守りッ!」
弾丸が防御魔法にあたり、凄まじい光と衝撃が体を襲う。
パリンッという音とともに、防御魔法が壊れた。
だが――!
「切るッ!!!」
俺は弾丸を右腕で掴み、止めてみせた。
手から煙が上がり、血が滴る。
そして意識が薄れ、地面に倒れ込んだ。
「う……嘘でしょ……?」
あの歩兵が、私の弾丸を止めた?
「なるほど……今の攻撃を止めるか……」
ゼノン様は、とても興味深そうな顔で奴を見つめる。
私は、ゼノン様の目の前で、大恥をかいてしまった。
歩兵の一人も倒せないなんて、その程度で【白銀の狙撃手】なんて、情けない。
「歩兵ごときが!!」
私はもう一度銃を構え、スコープを覗く。
「殺すッ――」
「メアリー!」
しまった、こんなことにムキになるべきではない。
「すみません、ゼノン様。」
「私はお前に失望などしない、安心しろ。」
ゼノン様は羽織っていたコートを翻した。
「さあ、帰るぞ。奴らの援軍が来る。」
遠くに目をやると、帝国の援軍が見えた。
「はっ!」
私達は、王都へと帰った。




