光と回想
体が熱い……
何が起きた?
狙撃?
いや、爆破か?
タイミングが読めなかった。
魔術反応の範囲外?
いや、敵の拠点までの距離は350メートルほどだったはずだ。
まさか……
【白銀の狙撃手】は敵拠点にはいなかった……?
「ゴホッゴホッ……」
俺は辛うじて、生きていた。
爆発に巻き込まれたが、咄嗟に盾を構えたおかげでどうにかなった。
だが、おそらく左腕は折れているだろう。
散解していた小隊員も、爆風に巻き込まれたようだ。
ヴェルク少尉とノーゲン少尉が後ろで倒れている。
とりあえず全身が痛い。
コルトの懐中時計が、地面に転がっていた。
俺はそれを拾い上げ、胸にかざした。
このまま帝国の最新兵器を奪われるわけにはいかない。
魔導師と魔法使いが、壮絶な魔法の打ち合いを繰り広げている。
爆発で小銃は壊れた。
つまり、攻撃方法がない……
――いや、あるじゃないか。
先程の攻撃で味方を巻き込んだのか、王国の杖がそこに落ちていたのだ。
運が良かった。
王国の杖には魔法が込められている。
魔力を流せば、俺も使えるはずだ。
俺は、再び立ち上がり、右手で杖を構える。
「天を駆けるは鳥、流星は輝きを放つ――」
詠唱が脳に直接伝わる。
魔力が杖に集まるのが感じられる。
「一筋の光は、大地を照らす――」
周囲に、魔力の光の塊が浮かび始める。
昔の記憶が思い出された。
大きな野原を走る、兄の背中が……
それを微笑みながら見ている、両親の顔が……
「我が力は、友のために……」
塊が収束し、魔力が一層強く輝く。
王国の魔法使いが俺に気づき、魔法の詠唱を始める。
発動された魔法は、一直線に俺へ向かって飛んでくる。
記憶の中の幼い俺は、兄を追いかけているうちに、転んでしまった。
「大丈夫かい?」
コルトが、俺に手を伸ばす。
俺はその手を握り、立ち上がった。
「ありがとう。さぁ、行くぞ!」
杖を空にかざし、唱える。
「護れ――!!」
私達は任務を終え、飛行魔法で王都へと戻ろうとしていた。
するとゼノン様が、いきなり立ち止まった。
「どういたしましたか? ゼノン様。」
ゼノン様は顔に笑みを浮かべ、面白いといった様子で拠点を見つめた。
「メアリー、魔術反応に意識を向けてみろ。」
「魔術反応ですか……?」
私は魔術反応に意識を向ける。
帝国の魔導師と、王国の魔法使いが戦っている。
明らかに王国が優勢だが……
「――ッ?!」
異様な魔術反応だ。
魔術反応のあった方を見ると、先程対したはずの歩兵に、光がどんどん集まっている。
王国の防御魔法だが、これは何かが違う。
「ゼノン様、これは……?」
「フフフ……」
ゼノン様の笑みが大きくなる。
光はどんどん集まり、収束している。
「これは……」
「ハハハハハッ!! これがお前の力か! アルトォ!!」
詠唱が終わり、歩兵が杖を掲げると、光が戦場を包んだ。




